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すし なれずし

 

 日本列島に伝承されてきたすし、なれずしを収めました。

 一口にすしといっても、のり巻きやいなりずしのように、魚を使わないものから握りずしや押しずしのように魚を使うものまでさまざまです。また、同じく魚を使うといっても生魚を使うものから塩ずけ・ぬか漬けした魚を使うもの、さらには10日から数ヶ月も漬け込み、ごはんやこうじによって乳酸発酵させたなれずしまで、これまた多様です。もちろん土地によっても季節によっても利用する魚が異なります。

 日本人が大好きなすし。全国津々浦々で伝承されてきたふるさとの家庭料理『すし なれずし』をお楽しみください。

 

すし


のり巻き、いなり、ちらしずしから握りずしや押し寿司まで、ふるさとのすしを集めました。
すしはことあるごとにつくられてきた日本人の大好きな食べものです。

 

  はえずし

愛知県稲沢市下津片町

材料 [米/もち米/はや/しょうが/はらん/酢/砂糖/醤油/塩]

 川ばえ(はや)は、4月ごろから10月ころまで近くの川でとれるので、この間に祝いごとがあるときよくつくる。

 はえ250匁(930g)くらいを水洗いし、ざるにあける。醤油1合(180ml)ぐらいに砂糖7匁(280g)、しょうがのみじん切りを適量入れて煮立てる。そこへはえを少し入れると煮たちがいったんおさまるので、再び煮立つまで待ち、はえをまた少し入れる、これをくり返して煮汁がなくなるまで煮つめる。こうするとはえが固く煮あがり、くずれにくくなる。

 すし飯はもち米を1割ぐらい混ぜて3升炊き、合わせ酢を手早く混ぜる。

 すし箱(横1尺2寸、縦8寸、深さ1寸ぐらい)にはらんを敷き、すし飯を詰め、はえをきれいに並べ、はらんをのせてふたをする。このすし箱を3段重ねてしめ木の間に入れて押しをし、味をなじませる。

 食べるときは、すし箱を裏返して縦5等分、横三等分の15個に切り分け、はえを押してあるほうを上にして出す。

(話者 大野志づ子/採録 村手登美子)

 

収録されているその他のすし


 

なれずし


漬け込む魚をごはんや※こうじで乳酸発酵させて自然のうまみを引き出したのがなれずし。
すしの原形に近いすしです。

 

  唐すし

山口県山口市秋穂二島

材料 [米、おから/ このしろ/麻の実/しょうが/酢/砂糖/塩]

 このしろを三枚におろし、薄塩をしてしばらくおいて酢洗いし、酢、砂糖、塩を加えたおいしい酢に漬けておく。しょうがはみじん切りに、麻の実は炒っておく。  

 白米飯に、魚を漬けておいた酢と、しょうがのみじん切り、麻の実も入れてよく混ぜ、酢に漬けたこのしろで包む。  

 すし飯のかわりに、おからを使うこともある。この場合は、おからを煎って、魚を漬けた酢で味つけし、しょうがと麻の実を入れて魚で包む。どちらも唐すしという。

(話者 浅原りゅう/採録 細井花子・高下須磨子)

 

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