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農文協増刊現代農業>「グリーンライフ」が始まった!_編集後記

「グリーンライフ」が始まった!

現代農業2005年5月増刊

【編集後記】

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 1990年、まだ日本に「グリーンツーリズム」の言葉がなかったころ「増刊現代農業」は当時の大規模リゾート開発に対抗して『手づくりリゾート・ふるさとづくり』を特集した。

 それから15年、全国の巨大リゾートは壊滅したが、昨年11月の「全国グリーンツーリズムネットワークみやぎ鳴子大会」には全国から約600人が参加した。また今年1月には300人が参加し東京で「日本グリーンツーリズムネットワークセンターNPO認証記念フォーラム」が開催された。

 フォーラムの席上、『手づくりリゾート・ふるさとづくり』の執筆者であり、この春からの教科書『グリーンライフ』の監修・執筆者でもある佐藤誠さん(熊本大学教授)は「これまで日本には観光学会と観光研究学会しかなく、それより上位の概念であるツーリズム学会が存在しないことがツーリズム普及の阻害要因だと考えてきたが、さらにツーリズムから農的暮らしや半農半Xにまで概念を広げて『グリーンライフ学会』を結成しよう」と呼びかけた。「グリーンライフ」は高校の新科目ではあるが、大学が独立行政法人化によってよりいっそうの地域貢献を求められている現在、大学生・院生世代に増えつつある農的暮らし志向ともあいまって、「グリーンライフ学会」が各大学・研究者に広がる可能性は高い。また、普通高校の「総合的な学習の時間」に「グリーンライフ」が導入され、小中学校の「総合的な学習の時間」を農業高校が「グリーンライフ」で支援する動きも広がっている。「グリーンライフ」は、この十数年間に農村の現場でつぎつぎに生まれたグリーンツーリズム、市民農園、直売所、定年帰農、地元学、食の文化祭など、人と地域の新しい生き方の集大成でもあり、バブル崩壊後の大都市・大企業が「喪われた10年」などと自失しているあいだに農村が切り拓いた「再生と自己回復の10年」の集大成でもある。その10年を切り拓いた農村女性・高齢者の「元気」が、農村のみならず日本全体の若者に引き継がれる「グリーンライフ」誕生を心の底から喜びたい。(甲斐良治)

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