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自然の中の人間シリーズ 花と人間編

全10巻

農文協 編
A4変型判 36ページ

1. 暮らしのなかの花(花の民族誌)
2. 植物はなぜ花を咲かすのか〈花の科学〉
3. 四季に花を咲かせる〈品種改良と栽培技術〉
4. 花をつくる、花をとどける〈花の流通〉
5. 花と人間の新しい関係を求めて〈花の未来〉
6. 花と人間のかかわり〈花の文化史〉
7. 花に魅せられた人々〈発見と分類〉
8. 花を生ける〈花と芸術〉
9. 日本の庭・世界の庭〈暮らしと庭〉
10. 環境をつくる花〈都市環境と花〉
 

“花と人間編”の発刊にあたって

1 暮らしのなかの花
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暮らしのなかの花(花の民族誌)

並河 治(元 神奈川県フラワーセンター大船植物園長)著

正月、節供、彼岸や盆など、冠婚葬祭や行事をとおして、古来より花にひかれ楽しんできた、日本人と花とのかかわりの原点。

もくじ
1 日本人の暮らしと花
2 門松は年神様の通り道(正月)
3 長寿と健康への願いをこめた七草がゆ
4 田の神宿るサクラの花鎮めから花見へ
5 邪気を祓い病気を防ぐモモの花(上巳・桃の節供)
6 死者の霊をよみがえらせる彼岸の花
7 悪霊や病気から身を守るショウブ(端午・菖蒲の節供)
8 タケの生命力は神が宿る証(七夕・竹の節供)
9 盆花は先祖の霊が座る場所(盂蘭盆会)
10 中国に憧れキクを愛した平安貴族(重陽・菊の節供)
11 農作業の適期を教えてくれた花
12 結婚式にふさわしい花、ふさわしくない花
13 心に浮かぶ秋の野の風景(秋の七草)
14 死・葬儀と花
15 日本古来の花の文化から、新しい花の文化が生まれる

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2 植物はなぜ花を咲かすのか
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植物はなぜ花を咲かすのか

鈴木正彦〈青森県グリーンバイオセンター所長〉著

花の誕生から、昆虫と花の不思議な関係、芽ばえの秘密、病原菌や虫との戦いなど、植物が生き花を咲かせるたくみな仕組みをさぐる

もくじ
1 花は広告塔
PART(1)…昆虫とともに生きる
2 花の誕生
3 昆虫にあわせて花の形は変わった
4 しかけたり、だましたり、盗んだり
5 はなさない、はなれられない
6 色や模様で昆虫に自分をアピール
PART(2)…生きる基本のしくみ
7 種子は春の訪れを感じる(芽生えのシグナル)
8 根は下に、茎は上に まちがわずに伸びるのはなぜ?
9 花芽をつくるタイミング
10 花は葉が変化してできる
PART(3)…アクシデントから身を守るしくみ
11 昆虫や小動物、細菌を寄せつけないしくみ
12 ストレスから身を守るしくみ(強すぎる光/低温や乾燥)
13 花同士の競争
14 病原菌に感染したら
15 試練をのりこえ、多様な子孫を残すとき

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3 四季に花を咲かせる
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四季に花を咲かせる〈品種改良と栽培技術〉

今西英雄(東京農業大学教授)著

美しい花を一年中楽しむために、新しい品種をつくったり、温度や光で開花時期を調節したりと、さまざまな工夫が今日も続けられている。

もくじ
1 花に囲まれたわたしたちの暮らし
PART(1)…新しい花をつくる
2 野生植物の栽培化と品種改良の始まり
3 人為的な交配で、新しい品種を作る
4 交配とバイオテクノロジーを組み合わせる
5 遺伝子組換えによる花の改良
PART(2)…花をふやす
6 セルトレーによる苗の大量生産
7 親とおなじ株をふやすさし木とつぎ木
8 大量増殖を可能にした組織培養
PART(3)…花を育てる工夫
9 株を小さく仕立てる
10 水やりと施肥の自動化で効率よく栽培する
11 日長で開花時期を調節する
12 低温で開花を早める
13 氷温貯蔵した球根で開花を遅らせる
14 エチレンを使って花を咲かせる
15 切り花の寿命を延ばす

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4 花をつくる、花をとどける
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花をつくる、花をとどける〈花の流通〉

長岡 求(フラワーオークションジャパン)著

花屋さんには一年中さまざまな花があふれている。日本だけでなく世界各地から新鮮な花が消費者に届けられる、流通の仕組みを紹介。

もくじ
1 1年をとおしてたくさんの花が並ぶ花屋さん
2 花の農家をたずねてみよう
3 茎の長さや花色など微妙なちがいまで気を配る切り花農家
4 多用な花を提案しつづける鉢物農家
5 鮮度のいい花を楽しめるよう、収穫と出荷準備にも気を配る
6 市場への出荷(協同出荷と個別出荷)
7 輸送中の花のストレスをやわらげる工夫
8 各地からたくさんの花が集まる市場
9 セリで決まる花の値段
10 花の栽培と販売の歴史
11 市場流通以外のさまざまな流通
12 世界中から輸入される花
13 花屋さんの1日
14 さまざまな小売店
15 生産や流通にかかわる人の思いが花の多様性を支えてきた

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5 花と人間の新しい関係を求めて
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花と人間の新しい関係を求めて〈花の未来〉

今西弘子(法政大学兼任講師、東京テクノ・ホルティ園芸専門学校)著

快適な環境や景観、コミュニティーや福祉など、人が花に求めるものも変わってきている。未来に伝える花と人との豊かな関係とは。

もくじ
1 暮らしの中の花
2 植物はすべての生きものの命を支える
3 なぜ人は花に魅せられるのか
4 ヨーロッパでの花の楽しみ方
5 中国での花の楽しみ方
6 江戸の花の楽しみ方に学ぶ(1)花と人との交流の豊かさ
7 江戸の花の楽しみ方に学ぶ(2)繊細な美意識と鋭い自然の観察力
8 変わる花の楽しみ方 観賞する花から育てる花へ
9 現代の日本人が花に求めるもの
10 コミュニティガーデンで新しい地域をつくる
11 期待される福祉と医療への利用
12 解明されつつある植物が人間に与える影響
13 絶滅から花を守る
14 現代の花生産の光と影
15 花と人の新しい関係を求めて

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6 花と人間のかかわり
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花と人間のかかわり〈花の文化史〉

田中 宏(元 玉川大学農学部教授)著

ネアンデルタール人は死者に花を手向けたという。人はいつから花を摘み、花を愛でてきたのか、世界の文化に見る花と人とのかかわり。

もくじ
1 人はいつから花を摘み、花を愛でてきたのでしょうか
PART(1)…古代文明と花
2 植物を墓に描いた古代エジプトの人びと
3 古代都市バビロンの空にそびえ立った空中庭園
4 花の由来を神話に書いた古代ギリシャ・ローマの人びと
5 樹木と深い関係を築いたヨーロッパ北部の人びと
PART(2)…宗教と花
6 聖書の中に登場する植物
7 白ユリを聖母のシンボルとしたキリスト教文化
8 庭園に楽園のイメージを重ねたイスラム世界の人びと
9 仏教と蓮華の花
PART(3)…ヨーロッパの人びとが描いた花
10 まわりを花で埋めつくした装飾写本
11 花が主役になったネーデルラントの絵画
PART(4)…日本の花文化
12 花に心を寄せ、歌に詠んだ古代の日本の人びと
13 四季折々の花々をていねいに写し取った能総束
14 数多くの植物が図案化された家紋
15 微妙な色合いを花の名で表現する

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7 花に見せられた人々
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花に魅せられた人々〈発見と分類〉

大場秀章(東京大学教授 東京大学総合研究博物館)著

植物分類法と学名を考えたリンネ、日本の植物を西洋に伝えたシーボルト、日本の植物の全貌解明に努めた牧野富太郎、ヒマラヤの植物を調査したフッカー。花や植物を追い求めて世界を旅したプラントハンターたちの物語。

もくじ
1 美しい花を求めて世界へ
2 チューリップ狂を生んだクルシウス
3 植物の分類法と学名を考案したリンネ
4 何千という新しい植物を発見したコンメルソン
5 莫大な財産を新しい植物の発見に使い果たしたバンクス
6 世界を駆けまわったリンネの使徒たち
7 日本の植物でヨーロッパの庭園を変えたシーボルト
8 江戸の園芸を支えた人たち
9 日本で最初の植物図鑑を著した岩崎灌園
10 世界中のバラを集めた王妃ジョセフィーヌ
11 南半球からヒマラヤへ 辺境の植物に魅了されたフッカー
12 日本の植物の全貌解明に全精力を注いだ牧野富太郎
13 植物の宝庫中国雲南からチベットを踏破したロック
14 世界ではじめてアマゾンの植物画集を出版したミー

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8 花を生ける
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花を生ける〈花と芸術〉

安達瞳子(花芸「安達流」主宰)著

花は自然のままが一番美しい。その美しさを「切る」ことで否定しなければ花を生けることはできない。なぜ花を生けるのか、生け花の心とは。

もくじ
PART(1)…花を生ける心
1 大地に生きる草木の美しさ
2 花を生けるということ
PART(2)…生け花の歴史
3 豊かな自然と風土が育んだ「生け花」
4 仏の花、そして楽しむ花
5 宗教空間から生活空間へ
6 花を立てる芸術の成立
7 作風の変遷1 天下泰平の時代
8 作風の変遷2 園芸の発達と生け花
9 作風の変遷3 生活の洋風化と生け花
PART(3)…花を生ける技
10 身近な花を生けてみよう
11 花、器、場の調和を考えて
12 大切にしたい季節感
13 知っておきたい基本の技法とプロセス
PART(4)…生活の中の花
14 生活の中に花があるということ
15 サクラの花を生ける

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9 日本の庭・世界の庭
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日本の庭・世界の庭〈暮らしと庭〉

鈴木 誠(東京農業大学教授)著

小さな庭、大きな庭、何もない庭、花いっぱいの庭……いろいろあるけど庭とはなんだろう。庭の歴史、成り立ちからその素顔にせまる。

もくじ
1 庭とはなんだろう?
2 家を守り快適に暮らすための庭=日本の庶民の庭
3 ヨーロッパの庭とは
4 歴史を通してみた日本の庭(1) 古代・飛鳥・奈良〜平安時代
5 歴史を通してみた日本の庭(2) 中世・鎌倉〜近世・江戸時代
6 歴史を通してみた日本の庭(3) 近代・明治〜現代・平成時代
7 歴史を通してみた欧米の庭(1) 古代から近代(ルネッサンス期)
8 歴史を通してみた欧米の庭(2) 近代から現代
9 伝統的な日本庭園(1) 池泉庭園
10 伝統的な日本庭園(2) 枯山水、茶庭
11 代表的な西洋庭園(1) 整形式庭園
12 代表的な西洋庭園(2) 自然風景式庭園、花・野菜・果樹の庭園
13 住まいの庭を形づくるもの
14 住まいの庭を飾るもの
15 庭でたのしむ 庭をたのしむ

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5 環境をつくる花
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環境をつくる花〈都市環境と花〉

輿水 肇(明治大学農学部教授)著

都市化が植物に何をもたらしたのか。植物は都市環境に何をもたらしてくれるのか。未来に向けた人と植物との新しい共存の姿をさぐる。

もくじ
1 都会にできた「もり」
2 「もり」のすばらしい贈りもの
3 都市化のあゆみと弊害
4 都市緑化の歴史
5 緑のネットワークをつくろう
6 事例(1)道路
7 事例(2)屋上
8 事例(3)壁面
9 事例(4)オープンスペース
10 事例(5)工場
11 事例(6)室内空間
12 事例(7)高速道路
13 身近な場所に花や緑を植えよう
14 いまある「小さな自然」をだいじにしよう
15 いまも緑はへりつづけている どうしたらいい?

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“花と人間編”の発刊にあたって

樋口春三

 遠いむかしから、人々の目にうつった「花」は美しいもの、愛らしいもの、華やかなものであったようです。それは、「花も恥らう……」「花も実もある……」「華ばなしい……」など、わたしたちの生活の中で「花」を織りこんだ言葉が多く使われて言う事からも想像できます。

 人間はいつごろから花への関心や興味を持つようになったのでしょうか。まだわからないことが多いのですが、花を愛でるということは、動物の目から見るとたいへん特異な、人間独特の行為にうつるのではないでしょうか。いまから100年ほど前、岡倉天心は花について、“原始時代の男が自分の恋人にはじめて花を贈ったとき、「けもの」から「にんげん」になった。そして、人間が生きていくうえで役に立たないと思ったものが不思議に役立つことを発見したとき彼は芸術の世界に入った”と述べています。つまり、人間が他の動物と別れて、人間らしい豊かな感性をもつようになったきっかけは花であった、というわけです。今日、この真偽を検証することは困難ですが、20世紀は「植物そして花が人間を変える」という多くの事実、たとえば喜び、悲しみなど人間の感情を伝えるメッセージ機能、あるいは心や身体の癒し効果などが発見された世紀でもありました。

 この「自然の中の人間シリーズ 花と人間編」は、花と人間のかかわりについて新しい研究成果を織りまぜながら、文化、歴史、環境、科学、ビジネスなど、多面的な視点から解説したものです。この本を通して、植物そして花への関心が高まり、より豊かな「植物と人間」「花と人間」との関係をつくるのに役立てば、著者一同このうえない喜びです。

(「花と人間編」編著 東京農業大学名誉教授 JFTD学園日本フラワーカレッジ校長)

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