現代農業 特別号
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2007年3月別冊 購入する
体がよろこぶ健康術

操体法・自力整体、冷えとり、薬膳、薬草から話題の健康法まで

大判(B5版)196ページ 定価1200円

月刊現代農業で好評だった健康に関する記事を中心に健やかに暮らすためのわざを特集。棡原の食事、雑穀、日常食としての薬膳、からだにいい野草図鑑、冷えとりカラー口絵付き。ウォーキング、ぬれマスク、酢料理も。

まえがき目次症状(テーマ)別記事掲載ページ編集後記

別冊2007年3月号

まえがき

 ふつう我々は病気になると、病院で西洋医学を基本とする治療を受ける。もともと西洋医学は、ギリシャ、ローマ、イスラム、インド(アーユルヴェーダ)などの伝統医学がその源流といわれている。ヨーロッパで近代科学が成立すると、それをすみやかに取り入れて、急速に発展した。とくに、コレラや結核など感染症に対して大きな効力を発揮し、現代医療の主流になった。

 しかし、医療が専門化、巨大化し、生命現象の驚異的な複雑さが次第に明らかになるにつれ、西洋近代医学の問題点も指摘されるようになってきた。科学や医学の有効性を強調しすぎる傾向が強い。個々の患者の特性や事情を無視しがち。患者を子どものように扱う。また、生活習慣病のような慢性疾患や、原因のはっきりしない体調不良などには、有効な治療法がないなどである。

 現在では、インフォームド・コンセントや、QOL(生活の質)が考慮されるようになった。さらに、権威のある理論や新薬の実験データはじつは不確かであり、大規模な無作為の臨床試験の結果を広汎に検討し、個々の患者にとって最良の方法を選択するという考え方(Evidence-based Medicine)が広がっている。

 伝統医学に対する関心も高まっており、治療に取り入れる医師が増えている。たとえば、エイズ治療におけるカクテル療法(複数の薬を患者の症状や体質に合わせて組み合わせて投与する)は、中国伝統医学の影響を受けているといわれている。日本の医師のほとんどが漢方薬を処方したことがあるといわれ、医学部の九〇%で、漢方医学や東洋医学の授業が行なわれるようになった。

本書では、できるだけ、伝承医療が長い歴史を通じて蓄積してきた知恵や知識に学びながら、月刊『現代農業』で評判を呼んだ記事と中心に、自分で安全にできる健康法について掲載しました。

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目次

カラーページ

長寿の村棡原(ゆずりはら)の食

日常食としての薬膳料理

からだにいい野草図鑑

靴下で冷えとり

PART1 操体法・自力整体

疲れたからだを自分で治す …… 自力整体芹田妙子さん 秋田県大潟村小倉かよ(写真・文)

疲れが腰にズンときたとき/こりを探り、ほぐす「四つん這い体まわし」/そのままの姿勢で「手首腕ほぐし」/長時間の仕事で張りができたとき/身体の歪みが見える「親指ほぐし」/腰がホカホカ「おやすみ前体操」/朝、目が覚めたら「仰向けひざ倒し」/夜、寝る前に「ひじ関節ほぐし、三角筋伸ばし」/腕が上がらないときは「腕もみほぐし」/腕、肩、首が気持ちよくなる「腕わき伸ばし」/「座って」疲れをとる/骨盤の開きもわかる「正座」/「長座」で片ひざ引き寄せ、「立てひざ」の抱きかかえ/「開脚座」で脚・ひざをもみ、体をねじる/知らない間に体は歪んでいる/骨盤の歪みを整える/正しい歩き方/肩こりをとる「両わき伸ばし」/胃の疲れをとる「ツボ内関穴」/肩こりに備える、こりをほぐす/仰向けリラックスと尻上げ体操/首・胸・腰の「さび」落とし/腰椎のすきまを広げる「ひざ立ち骨盤ゆすり」/土踏まず、足指マッサージ/アキレス腱ほぐし/一人でやるむくみとり/二人でやるむくみとり/骨盤の歪みも矯正する/太もも踏み/経絡をほぐす「手の体操」/経絡をほぐす「足の体操」

自分で治す膝痛療法 …… 大重宗比古

操体法の原理

らくな気持ちのよい方向に動かせばよい …… 橋本敬三

肩こり、ひざ、腱鞘炎、足、腰痛

簡単に痛みがとれる操体テープ …… 辻良國

【図解】すっきりさせたい 便秘解消法 …… 飯島満

【図解】脂肪を減らす ダンベル体操 …… 飯島満

【図解】「せき」を気功で泊める 按摩気功 …… 飯島満

【図解】痛みのとりかた治し方 経絡気功 …… 飯島満

【図解】からだすっきり 朝食を抜く …… 飯島満

PART2 冷えとり健康法・ウォーキング

【図解】万病のもと「冷え」をとる 足湯 …… 飯島満

冷えとり健康法靴下の重ね履き、半身浴 …… 進藤義晴

生き方を変えて健康に …… 野村和子

静脈瘤、膝痛、頻尿から回復 絹の靴下はやめられない …… 百瀬卓雄さん・編集部

冷えとり健康法 相談室

【図解】一番手軽な ウォーキング …… 飯島満

ウォーキング歩くことが一番の良薬 …… 渡辺厳太郎

【図解】BUTS症候群 夏の冷え対策 …… 飯島満

【図解】血の循環をよくする 毛管運動 …… 飯島満

PART3 医食同源 食べもので健康

【図解】鍋の中の凝縮した小宇宙 陰陽調和料理 …… 飯島満

【図解】治る防げる カルシウムキッチン …… 飯島満

【図解】酢は天然の良薬 酢料理で健康 …… 飯島満

【図解】黒酢で血液サラサラ フルーツサワー …… 飯島満

【図解】ダイエット中でも …… 食べたいおやつ 伝統食おやつ …… 飯島満

日常食としての薬膳料理 …… 新倉久美子

冬 口福五飯/初雪白菜/長寿粥/冬宝巻/余寒鶏麺

春 春香寿司/萌黄揚げ/朧菜飯/踏青和え/惜春菜/早苗饗サラダ

夏 水無月サラダ/翡翠煮/養心冷汁/朱夏涼菜/涼菜麺/餞暑瓜

秋 白露茄子/仲秋揚げ/秋麗麺/金風和え/霜月団子/霜月ごはん

病気を防ぐ薬膳 口福そぼろ(老化予防)/爽心ハンバーグ(肥満予防)/春風ピラフ(花粉症)/清流スープ(高脂血症)/薫風サラダ(不定愁訴、不安神経症、うつ病)/仲夏菜(腰痛・肩こり)涼菜麺(高血圧)/盛夏菜彩(夏ばて)/爽快酢豚(便秘、下痢)/白秋シチュー(免疫力アップ)/金風揚鶏(風邪)/補腎口福菜(骨粗しょう症)

PART4 身近な野草、薬草

「もり植物園」 植物数約900、薬草は350種

薬草のおかげで健康回復 …… 杜性次

野山の健康野草効用とおいしい食べ方 …… 村上光太郎

 春の野草 ドクダミ/タンポポ/スイバ、ギシギシ/ナズナ(ペンペングサ)/ハコベ(ヒヨコグサ)/ハハコグサ(オギョウ、ゴギョウ)/アザミ/カキドオシ/ノビル

 夏の野草 イタドリ/クズ/アマドコロ/イワタバコ/スベリヒユ/クワ/スイカズラ/マタタビ/イノコズチ/ウワバミソウ

 焼いて食べると身体にいい タケノコ/アザミ/フキノトウ

木の葉や野草をブレンド 身土不二の薬膳茶 …… 新倉久美子

植物利用の知恵袋 …… 本澤渡さん・編集部(文)/赤松富仁(撮影)

【図解】自分でつくろう 健康茶 …… 飯島満

【図解】風邪を予防する ぬれマスク …… 飯島満

あっちの話こっちの話

タオルの腰巻で腰痛を軽減

神経痛がピタリとおさまる煎じ汁

菜の花を一日一回食べたら、花粉症に効く

虫歯にもよもぎ

ビワの葉茶で、お通じや肝臓がよくなった

お茶代わりに飲む、薬草汁で健康

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症状(テーマ)別記事掲載ページ

【体の痛みとコリ】

神経痛…10,12,88,167,175
リウマチ…10,164,167,175
関節炎…10
筋肉痛…12,178
腰の痛み、重さ…24,61,74,76,77,85,88,151
腕が上がらない…31
肩こり…32,38,40,59,61,69,85,151
背中のこり…59,61
膝痛…53,71,93,98,175
手首の痛み・腱鞘炎…26,73
足首の痛み…74
頭痛…30

【病い・ケガ】

風邪…4,9,134,144,147,155,190
高血圧…9,133,140,152,184
低血圧…174
動脈硬化…14,140,173
脳溢血…10,173,184
眼底出血…10,165
胃潰瘍…14,166,172
胃けいれん…164
糖尿病…135,168,171,187
痔疾…164,172
黄疸…176
喘息…178,182
咳・百日咳…13,82,166
骨粗しょう症…9,122,156,162
ガン…133,139
止血…167
高脂血症…8,149
アトピー性皮膚炎…141,180,182
花粉症…118,149
腫れ物、炎症…163,165,170,174
呼吸器系…143,179
BUTS症候群…114
歯槽膿漏…165,174
異常出血…165,167
抗菌作用・食中毒…170
解熱…136,137,163,172
虫歯…118,185
水虫…165
あせも…167
外反母趾…94

【自覚症状】

冷え…16,44,90,92,102,114,133,134,144,174,180
血のめぐり…116
目の疲れ…136
だるさ…116,136
夏ばて…8,124,140,142,143,152
暑気あたり…143
むくみ…44
便秘、下痢…12,15,78,153,164,172,187
不定愁訴・不安神経症・うつ病…150
イライラ…150
食欲不振…168
胃のつかえ…39
足の疲れ…43
頻尿…99
二日酔い…13,170
不眠症…174

【内蔵機能強化・元気回復】

腎機能強化…4,131,132
肝機能強化…5,13,15,135,136,137,138,170,187
肝臓の負担を補う…137
心臓機能強化…6,141
肺機能強化…7,144
健胃・整腸作用…9,13,39,144,153,163,168,171,185
造血作用…4,134
疲労回復…6,142,182
老化予防…8,147,171,182
胃腸を丈夫に…10,13,15
精力回復・強壮…10,12,15,120,163,167,174
免疫力アップ…9,154
解毒…14,136,174,186
利尿…139,141,175
血液サラサラ…126,150

【ダイエット美容その他】

肥満予防…8,80,128,148
ガニ股矯正…35
ヒップアップ…21,29,41
ダイエット…80,86,128,148
イボ、ニキビ…164,172
シミ、ソバカス、ホクロ…11,14,171

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編集後記

▽ クロード・レヴィ=ストロースの著書、『野生の思考』(1962年)には、未開の採集狩猟民たちが、植物や動物についてきわめて豊富な知識を持っていたことが紹介されている。たとえば、北米のホピ・インディアンは350種類、ナボォホ・インディアンは500種類の植物を知っていた。フィリピンのハヌノー族の植物語彙は2000語に近い。フィリピンでは、苦味をもった植物を胃病の薬に用いるが、同じ性質の外来植物がもち込まれると、すぐに諸部族の間で実験されるという。レヴィ=ストロースは、「具体の科学は、近代科学と同様に学問的である。その結果の真実性においても違いはない。精密科学自然科学より1万年も前に確立したその成果は、依然としていまのわれわれの文明の基層をなしているのである。」と記している。

 近年の研究によると、人類は約20万年前にアフリカで成立したとされている。8〜9万年前に、わずか数百人程度がアフリカを出奔し、世界中に拡がった。そして、彼らはすでに、現代人と変わらず知的であったことがわかっている。

 近代化によって、「具体の科学」は失われてしまったかのように見えるが、本誌に登場する医師や薬学者、そして農家の日常の暮らしの中に、脈々と受け継がれていることを改めて感じた。(本田進一郎)

▽今年のお正月、数年ぶりにぎっくり腰に見舞われた。ちょうど編集中の今回の別冊を参考に、操体法を試み、少し回復してからはウォーキング。まさに実践的な編集となった。

 体のどこかがおかしくなってみると、いろんなことが見えてくる。腰が痛いとき、背中は、首は、お尻は、足は…。歩きながら体のあちこちに触れてみる。普段歩いていたときには気づかなかった筋肉や関節の動きなど、人間の体の不思議なつながりが伝わってくる。

 本書には、月刊『現代農業』で好評を博した健康に関する記事を中心に、体を動かしながら自分の感覚で探って修正していく手法、さまざまな病の元凶となっていく「冷え」をとる手法、特別なことでなく日常の食事で健康を維持する料理の数々、そして身近な自然の恵みの薬草や雑草を活かす知恵など、経験と科学に裏打ちされた「健やかに暮らす」ためのわざをびっしりと盛り込んだ。

 最新検査機器を駆使して処方を定める西洋医学も欠かせないが、「まずは我が身を知る」ことから始めたい。そのための知恵が満載された一冊です。体のあちこちガタがきはじめた団世代としては、手放せない本になりそうです。(西森信博)


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