現代農業 特別号
ルーラルネットへ ルーラル電子図書館 食農ネット 田舎の本屋さん

別冊現代農業 2009年3月号
購入する

むらを楽しくする生きもの田んぼづくり
アゼ草管理からカバープランツ、魚道、水路補修まで

B5版 192ページ 定価1200円

3年目に入る「農地水環境保全向上対策」は正念場を迎える。本書は先進的な取り組み事例はもちろんだが、実践していくうえでの具体的な技術(草刈り、アゼ管理に、田んぼを豊かにする魚道づくり、水路補修など)に重点をおきながら、農業の基盤となる田んぼや水路や用水などの維持・管理や環境保全、そこから始まる新たな地域づくりへの技術も紹介する。美しい景観も含めて、豊かな田んぼは地域の宝物に変身し、「食農教育」の場ともなって、子どもにも親にも元気が戻ってくる。

はじめに目次編集後記購入する

別冊現代農業2009年3月号

はじめに

 美しく管理された田んぼのイネやアゼをながめるのは、農家ならずとも気持ちのいいものです。まして、地域の田んぼのアゼや法面が鮮やかな花の絨毯に彩られれば、むらのなかを散歩するのも楽しくなります。田んぼや水路や池にトンボやカエル、いろいろな種類の魚たちが増えれば、むらのなかに子どもたちの歓声が聞こえるようになります。

 今回の別冊は、そんな地域に変えていくための技術と知恵を、『現代農業』の記事を中心に選りすぐって1冊にまとめました。体をラクに草刈りを楽しむ技や農具、アゼや法面の雑草を抑えながら美しく彩るためのグランドカバープランツ、子どもたちと一緒に学ぶ田んぼの生きもの調査、生きものいっぱいの田んぼに変身させる魚道つくり、大切なイネを育てるための水路の補修法など、地域のみんなで楽しく取り組むことができる技術情報満載です。

 過去に類例を見ない」と評価される「農地・水・環境保全向上対策」事業も、今年で3年目を迎えます。その目的は「農地・農業用水等の資源や農村環境を守り、質を高める地域共同の取組と、環境にやさしい先進的な営農活動を支援する」こと。その特徴の一つに、農家だけではなく、農家以外の地域住民も含めた多様な主体が参加して、地域ぐるみで取り組むことがあげられています。

 まずは、むらの力を合わせて農地や水路といった命の糧を生み出す基盤をしっかりと固め、そこから地域づくりを目指す取り組みの輪を広げていきましょう。本書が、その地域ならではの価値をより豊かにしていく活動のために活用されることを心から願っています。


▲トップに戻る


「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 農家が教える 生きもの田んぼづくり

「農地水環境保全向上対策」は正念場を迎える。本書は先進的な取り組み事例はもちろんだが、実践していくうえでの具体的な技術(草刈り、アゼ管理に、田んぼを豊かにする魚道づくり、水路補修など)に重点をおきながら、農業の基盤となる田んぼや水路や用水などの維持・管理や環境保全、そこから始まる新たな地域づくりへの技術も紹介する。美しい景観も含めて、豊かな田んぼは地域の宝物に変身し、「食農教育」の場ともなって、子どもにも親にも元気が戻ってくる。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

別冊現代農業 2009年3月号
購入する

むらを楽しくする生きもの田んぼづくり
アゼ草管理からカバープランツ、魚道、水路補修まで

目次

カラー口絵

草刈りをラクにすすめるコツ 刈り高さと草刈り機の操作法

こんな刈り払い機もあるぞ

グランドカバープランツ選び、ここがポイント

混植すると楽しみパワーアップ

地元の植物で懐かしさを演出

もっと楽しく田んぼの生きもの調査

クモの名前を覚えよう 田んぼでもっとも活躍している「益虫」クモを調べる

農道も水路も守る保全活動 萬古清風地域資源保全隊(秋田県湯沢市)

はじめに

巻頭特集 人が集まる、地域が変わる、農地・水・環境

「農地・水・環境保全向上対策」 ますます膨らむ期待と注文 福島県須賀川市 仁井田の自然環境を守る会・夢花彩道

農地・水・環境 知恵のしぼり方 DVD版・ビデオ版「農地・水・環境保全向上対策」支援シリーズ共同活動編より

農地・水の改善点とまだ不満なところ 某県某町「○○保全隊」事務担当者より

Part1 アゼの管理をラクに楽しく

「定年帰農」して編み出した体にラクな刈り方 本田 強

肩掛け式刈り払い機には両肩に掛かるベルトがおすすめ 山下正範

トラックに刈り払い機常備、毎朝、見まわりのときにちょっとずつ刈るとラク 久保田義信

斜面の草刈りに効果絶大 刃の角度調節機能付き刈り払い機 赤木歳通

土手の草刈りをラクにするスベリ止め道具 長野県野沢温泉村

傾斜地の多い人におすすめ  自走式草刈り機 佐藤憲之

大面積の草刈りに自走式草刈り機 2タイプを使い分け 中坪宏明

草の飛散、巻き付き、詰まり防止 切断物飛散防止機構付き刈り払い機 藤原吉人

ウンカを抑える応援団 子守グモを増やす畦畔の管理法 堀野俊郎

遊休地・畦畔、農地の除草 ヒツジにおまかせ 松田和廣

Part2 アゼに植えようこんな植物こんな植え方

食べて 眺めて 害虫退治に役立つこんな植物はいかが?
 子どもたちも大喜び イチゴのアゼ 菊池哲男/ハーブで覆ってカメムシ防除 香りと花は景観づくりに 三山秀

 アゼを美しく 癒しの観賞用品種 倉持仁志

【カコミ】アゼ草は地球を救う! 倉持仁志

ラクで 楽しく 失敗なし 植付けをラクにするアノ手コノ手
 草抑え、モグラよけ、きれい! ヒガンバナを泥団子で植える 大久保義宣/草刈りなしで定植作業 シバ植栽モミガラマット 西本修/定植をラクにする 不耕起ドリル植え 田中晟理/急傾斜のアゼでも植え付けラクラク センチピードグラスシート 高田健一

グランドカバープランツを生かした>ラクなアゼ管理と景観つくり 福嶋昭

地域の野生草花を景観づくりに 近藤哲也

Part3 田んぼの生きものを調べる、増やす、楽しむ

発酵肥料でエサいっぱい「ふなっ子米」 宮本洋允

害虫退治に大活躍中! アゼのカエルを数えてみた 高奥満

メダカも、ザリガニも、ヌマエビも 田んぼの生きものは宝の山 高橋孝憲

調査のポイントと田植え後40日までの生きものたち はじめての生きもの調査1 宇根豊

出穂期の生きものたち はじめての生きもの調査2  宇根豊

イネ刈り前の生きものたち はじめての生きもの調査3 宇根豊

100円ショップのツールを活かした田んぼの生き物観察法 武原夏子

転作ハス田育ちのドジョウ、タニシが大人気 吉田耕造

なんておもしろいんだ!「ダルマガエル米」 井藤文男

半不耕起にすれば、その年から生きもの豊かな田んぼに変わるよ 岩手県・千葉政治さん

アゼ草刈りでふえる生きものたち 宇根豊

減反田を生かして一石二鳥! ジュンサイつくってホタルを殖やす 阿部宣男

Part4 田んぼに魚を呼び込もう

メダカ飼育キットとまぼろしのメダカもち 宮城県・後藤雪男さん

【図解】田んぼ・水路・川の魚─捕る・殖やす 茨城県・鈴木 裕さん/栃木県・白井弥太郎さん

魚で元気になる 休耕田生かして「みずすまし水田」プロジェクト 上原和男

水路や田んぼは、魚にとってどんな場所?

ドジョウ・メダカ・ヨシノボリ…、ナマズだって登ったぞ!手作り魚道、付けてみた 宮城県築館町(現栗原市)・迫町(現登米市)より

魚再生プロジェクト 田んぼの中に、池を掘る 古野隆雄

アイガモ水稲同時作通信 「魚の湧く田んぼ」へ、また一歩 古野隆雄

田んぼと川、生きものの道をつなぐ 手作り魚道でドジョウやフナを田んぼに呼び戻そう

田んぼ空間をおもしろくする魚道のいろいろ 端憲二

米ヌカ+不耕起田で生きもの増えた 今年は地元の子どもを呼んでコイつかみをさせるぞ 滋賀県・山本隆男さん

休耕田での雑魚釣り キャッチ&リリースが楽しい 堀井政弘

Part5 簡単補修で水路を守る

水路補修の共同作業が、地域の絆を深めてくれた 秋田県湯沢市「萬古清風地域自然保全隊」の取組み

自分でできる水路の簡易補修1 水路によく見られる不具合とその見極め方編 森丈久

自分でできる水路の簡易補修2 目地とひび割れを補修する実践編 森丈久

Part6 集落の「農地・水・環境保全向上対策」

集落営農ビジョンがあったから進んだ「農地・水・環境」 非農家の協力なくして農業は続けられない 西村良平

地域のみんなで用水との関係を取り戻す 土地改良区(愛称「水土里ネット」)の役割 西村良平

土日の食農教育 田んぼの水・探検隊 山形県天童市・三郷堰土地改良区の実践

農地・水・環境保全向上対策もいよいよ3年目 水土里ネットは全力をあげて取り組みます! 青木一郎

編集後記


▲トップに戻る


編集後記

◆編集の作業が一段落して、改めて気づいたことがある。それはおおぜいの人たちがこの本に登場していることだ。これまでの「別冊」シリーズのなかでも人数は最多かもしれない。その表情が実にいい。たとえば、魚道をつくる人たちや、魚を増やす人たちの童心に帰ったかのような笑顔から楽しさが伝わってくる。

 ふと、福岡市近郊の農村部で過ごした子ども時代を思い出す。50年の時をさかのぼる。家の前の水路では小魚やドジョウを捕まえた。大きなコイを見つけて、仲間とどこまでも追いかけた。道を走る人間より、水路を泳ぐサカナのほうが速い。「サカナ追いし、かの川」の日々だ。

 この本では、農地・水・環境保全向上に役立つ工夫や知恵を盛り込んだ。こうした技術に加えて、もう一つ「楽しさ」が大きな軸として見えてくる。快適な作業の楽しさだけでなく、人といっしょに動くときの楽しさがある。そこから、すがすがしく、さわやかな笑顔、童心に返った笑顔が生まれてきているに違いない。

 そんなことに編集作業の最後で気づいたけれど、仕事から得た成果だと思う。編集もすがすがしく、さわやかな表情で進めていくことができるといいな。(西村良平)

◆本書のテーマを検討していたとき、友人からショッキングな話を聞いた。

 「久しぶりに家に帰ったんだが、近くの立派な水田が軒並み休耕していて、草が生えていたんだ。おやじは、水路が壊れてしまった、と話してくれた。水路を修復する人がむらにいなかったんだよ」

 どんな立派な田んぼも、水路に守られていたことを、今さらのように思い知らされた。もしむらに多くの人がいれば、また、誰でもできる水路補修の技術が開発され、その技術がむらの人たちに伝えられる仕組みができていれば、少しは違っていたのではないかと思った。

 「限界集落」という行政用語が幅をきかせる昨今ではあるが、だからこそ「農地・水・環境保全向上対策」事業が生まれた。全国で活動が始まって丸2年が過ぎ、「むらを何とかしなければ」と思い立った人たちの手によって、各地でいろいろな取り組みが始まっている。

 本書は、「どうしようもない」とあきらめようとしている人たちに希望を、そして、「やろう!」と決意した人たちにそのやり方の具体的な知恵と技術を届けたいという思いで企画・編集した。収録した記事の一つでもいい、地域の皆さまに役立ってくれればと願っています。(西森信博)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 農家が教える 生きもの田んぼづくり

「農地水環境保全向上対策」は正念場を迎える。本書は先進的な取り組み事例はもちろんだが、実践していくうえでの具体的な技術(草刈り、アゼ管理に、田んぼを豊かにする魚道づくり、水路補修など)に重点をおきながら、農業の基盤となる田んぼや水路や用水などの維持・管理や環境保全、そこから始まる新たな地域づくりへの技術も紹介する。美しい景観も含めて、豊かな田んぼは地域の宝物に変身し、「食農教育」の場ともなって、子どもにも親にも元気が戻ってくる。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 


▲トップに戻る