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毎朝1杯を20年 手づくり柿酢が健康の秘訣です

岡山・花房五百子

病身の夫のためにつくり始めた

 家のまわりの畑で自家用のイモや野菜を育てて暮らしています。

 私が20数年来、柿酢にこだわり、79歳になった今も柿酢をつくり続けていることについてお話ししたいと思います。

 農家に生まれ育った私は、小さい頃から百姓仕事の手伝いをよくしていました。22歳の時、縁あって大百姓の長男(サラリーマン)に嫁ぎ、義父母に仕えて農作業の働き手となりました。

 ところが、夫は30代半ばにC型肝炎が見つかって入院してしまいました。当時、子供たちは7歳と3歳とまだ小さかったので、どうしても夫に健康になってもらわねば……と、ケールとニンジンのジュースづくりを始めました。

完成間近の柿酢。毎年2斗のカメでたっぷりつくる。知り合いにもおすそわけして喜ばれている(依田賢吾撮影)

完成間近の柿酢。毎年2斗のカメでたっぷりつくる。知り合いにもおすそわけして喜ばれている(依田賢吾撮影)

 その甲斐もあってか無事退院できましたが、その後、夫は単身赴任となり、この間は私が食べるものの世話をすることはできませんでした。不規則で偏った食生活と仕事上の無理もたったのか、定年前の55歳の時に今度は脳溢血で倒れ、一命はとりとめたものの、1年間ほどリハビリ生活の後、身障者になってしまいました。

 自宅での生活はできるようになりましたが、C型肝炎は完治せず、私は夫の健康のためにジュースづくりを再開しました。その時、目にしたのが『現代農業』に掲載されていた柿酢のつくり方でした。

筆者。柿酢のおかげで大病知らず。足腰も丈夫でどんな坂道でもへっちゃら。毎日家のまわりの畑で自家用野菜づくりに精を出す(以下、すべて黒澤義教撮影)

 幸いなことにわが家には西条柿が3本あり、干し柿をつくっても、いつも熟した柿がたくさん残っていました。それを使って、さっそく、柿酢づくりに挑戦しました。これが、私の柿酢づくりのスタートでした。

何十年も家の横に生えている柿の木これ1本から飲みきれないほどの柿酢がつくれる

カメに入れて置いておくだけ

 私の柿酢のつくり方です。

 毎年、10月頃、熟し始めた柿をもいで使っています。2斗入りのカメにへたを取った柿を8〜9分目まで詰め入れて、発酵を助けるドライイースト1袋(3g)を散らし入れます。

 コバエなどの虫が入らないように布で覆い、上からビニールなどをかけて蓋をして、次の年の5月頃までそのままにしておきます。その後、ザルに布を敷いたうえにカメの中身を空け、搾ります。

 この時、酢の上には寒天のようなもの(通称コンニャク)ができています。これはいわば菌の固まりのようなもので、ビンに入れて冷暗所で保管しておきます。次の年の柿酢づくりのときには、これを柿と一緒にカメに入れます。そうすれば、ドライイーストは入れなくてすみます。

 搾った柿酢はビンに入れてふたをしたら完成です。製造年月日を記して冷暗所で保管します。

初夏につくるジュースの一例。写真は2人分の分量。ヨーグルトとハトムギ粉以外はどれも自家製

特製ジュースにして毎朝飲む

 わが家では、ほぼ毎朝つくる特製ジュースに、柿酢を加えて飲んでいます。

 ジュースの中身は日によっていろいろですが、必ずヨーグルトと大豆の水煮を入れています。季節によって、冬ならヤーコン、ニンジン、ナガイモ。夏はゴーヤー、コマツナ、パセリ、ステビア、レタスなどの葉物野菜やトマト、スイカ、メロン。その他、乾燥して粉にしたクワの葉やスタミナが欲しい夏場には自家製の黒ニンニクなどなど……。

 これらをミキサーに入れ、柿酢をキャップで1〜2杯、オリーブオイルを数滴たらして、スイッチを入れたらできあがりです。とにかく自宅でとれるものをたくさん入れ、いろいろな味を楽しんでいます。

 これまで大病したこともなければ、膝や腰が痛くなったこともありません。長い間、健康で元気で働いてこれたのは、この柿酢のおかげ。日曜日を除いてほぼ毎日、柿酢入りの特製ジュースづくりに励んでいます。

柿酢はキャップで1〜2杯。最後に味をまろやかにするため、オリーブオイルを数滴たらしてミキサーにかければ完成

 同居の娘家族も嫌がらず飲んでくれるので、つくり甲斐もありますよ。ちなみに夫は脳溢血の後遺症はあったものの20数年間このジュースを飲み続け、健康な日常生活を送ることができました。そして、6年前に78歳で天国へと旅立っていきました。

(岡山県美咲町)

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現代農業 2019年9月号
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現代農業 2019年9月号

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