(田中康弘撮影)
野菜の作業に、屈まぬ日なし。
トラクタ作業は、座りっぱなし。
農繁期の終盤は、ギックリ腰が襲来!?
そんな日々とは、もうおさらば!
毎朝3分の操体法で体の歪みを未然に防ぐ
栃木・関塚 学
自分で歪みを治す
自分で体の痛いところ、例えば腰痛などを治してしまう方法があります。「操体法」と呼ばれる、体の歪みを治す療法です。
私が取り組み始めたきっかけは、有機農家仲間から腰痛で痛くて夜も眠れないという話を聞いたことです。自分もそうなる前に、何かしないといけないと考えました。他にもいろいろな整体があるようですが、自分が所属している日本有機農業研究会で頻繁に取り上げられていたこともあり、自然と操体を始めました。
操体法は仙台の医師である橋本敬三氏が確立したものです。操体法を大まかに説明したいと思います。
人間の体は左右どちらかにバランスを崩しやすいです。このバランスの崩れた体を患者自身が動かして治します。曲がっているところを是正してまっすぐにさせようとするのではなくて、それとは逆に曲がった方向に余計に曲がるように歪ませるのが操体法の特徴です。
体を前後左右に曲げたり、ねじったり、伸ばしたり縮めたりして、気持ちのよい方向と痛みや違和感のある方向を見定めます。自分の体の調子をみるわけです。
そして気持ちのよい、楽な方向にゆっくりと体を動かし、もっとも気持ちのよいと感じる位置で2〜3秒動きを止めて、タメを作り、一気にストンと全身の力をぬきます。
操体は自分で実践できるというのがなんといってもすばらしいところです。施術のコツさえわかってしまえば1人でできます。また2人でやるとより効果的な動きもあります。体に異変があっても、病院や施術院へ行く必要はありません。自分で操体を行なえば体の歪みを治すことができるでしょう。
足を腰幅に開いて上体を横に倒す。倒れるほうと反対の足に重心をかける。左右どちらかやりにくいほうがあれば、反対のやりやすいほうを強く1〜2回よけいにやると、やりにくかったほうもやりやすくなる。
筆者と研修生(左)。毎朝一緒にやる。現在の経営は野菜60種、水稲、平飼い養鶏
まずは毎朝、基本運動
操体には、基本運動というものがあります。立ったままするものと、寝たままの基本運動があります。
わが家では毎日、朝食後の仕事開始前に、立ったままの基本運動をしています。時間は3分くらいです。ちょっと腰が痛いとしても、基本運動をすれば、治ってしまいます。
基本運動はいつでもどこでも実践可能です。例えばお風呂から出た後、寝る前、朝起きたときなど、ちょっと体の異変に気づいたときに行なうと効果があります。
息を吐きながらゆっくりひねる。顔を向くほうの足に重心をかける。向きやすいほうは少し強くやってもよい。やりやすいほうは歪みを元に戻すバック運動になっている。やりにくいほうはそれ以上ムリをしない。
息を吐きながら、ゆっくり爪立ちしながら両腕を前方から上げる。天地に引っ張られるような気持ちで。グラグラしないようにして一呼吸して、一気にかかとと両腕をバサッと下ろす。腕は斜め前方や横からも上げる。
足心を意識する
基本運動ではどうしても治らないことがあり、操体で施術してくれる群馬県の「からだバランス調整院」へ腰痛を治しに行ったことがあります。そこで教えてもらったのが以下のものです。
私たちがふだん気にしなくてはいけないことの一つに、立っているときと歩いているときの重心があります。
これも操体と関係があるのですが、「足心」を常に意識し、足心をいつも踏みつけて踏ん張ります。足心は土踏まずの少し前で、押すとへこむところです(イラスト)。立っているときも歩くときも同様に足心を意識します。
足心は、土踏まずの少し前のほう、足裏の中心側の、押すとへこむところ。ここを意識して踏むことを意識する。(『万病を治せる妙療法 操体法』より)
こうすることで腰痛になりにくくなります。足の踏みつけが正しければ全体の構造は保たれ、土台が狂ってくると全体の平均が破れてきてしまうそうです。
普通に立っているとき、意識すると、意外に重心が足心以外にかかっていることが多いです。そのときに、この足心を意識するようにするのがコツです。
操体法の欠点としては、講習会等がものすごく少ないし、操体に関して重点的に施術してくれるところがあまりないところだと思います。ただし、自分で勉強しようと思えば本もあるし、DVDも出ているので、どんどん活用して実践してほしいと願っています。
(栃木県佐野市)
※操体法のやり方がよくわかる書籍やDVDもぜひご覧ください
この記事の掲載号
『現代農業 2019年9月号』
特集:農家の腰痛回避術 収穫作業編 |