胴接ぎで上は観賞用シシユズ、下はおいしいカンキツ10種
神奈川・石射祥光
胴接ぎした樹。シシユズが上方に、10種のカンキツが下方にぶら下がる
筆者(77歳)
カンキツの接ぎ木に夢中
私の父は神奈川県茅ヶ崎市で酪農を経営していましたが、技術系の会社員だった私は週末に手伝いをする程度でした。父が酪農をやめた後は、牧草地の一部にブドウ、リンゴ、ナシ、イチジク、カキ、ミカンなどの果樹を植え始めました。ネット通販の苗木専門店「グリーンでGO!」で、おもしろい果樹を見つけては取り寄せ、さまざま植えています。
定年後は地元でボランティア活動をするようになり、いろいろな人と知り合う機会が増えました。そんなとき、庭先に植えたキンカンの樹に夏ミカンとユズを接ぎ木してみごとに実っているという話を聞きました。実際にその不思議な樹を見に行き「こんなことができるのか」と大変驚き、自分も観賞用で植えていたシシユズの樹に食べられる実をならせてみようと、レモンの枝を2カ所接ぎ木してみることにしました。
それが見事に成功したので、気をよくしてわが家にあったカンキツ類すべてを接ぎ木しました。さらには友人に声をかけ、わが家にないカンキツの穂木をもらったり、珍しいカンキツがなっているのを見つけては事情を話して譲っていただいたりして、穂木の種類を増やしてきました。
枝の途中に接ぎ木する
私の接ぎ木は胴接ぎ(腹接ぎ)と呼ばれる方法で、シシユズの枝の途中に接ぎ木して他のカンキツを枝分かれさせます。昨年はレモン、キンカン、デコポン、オレンジ、温州ミカン、伊予柑、甘夏、湘南ゴールド、清見タンゴール、シークワーサーの実が、私の目線辺りの枝に賑やかに実り、上のほうにはカボチャほどの大きさのシシユズの実がなりました。
カンキツの手入れとしては、風通しがよくなるように毎年せん定をすることが大切だと思います。せん定を怠るとハダニが付き、葉が枯れてしまいます。また根元から木クズのようなものを見つけたら、ただちに針金を穴から入れてテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)を潰してしまうか、穴に殺虫剤を染み込ませた綿などで塞ぎます。放っておくと、虫にやられて樹が枯れてしまうことがあるからです。
(神奈川県茅ヶ崎市)
この記事の掲載号
『現代農業 2020年8月号』
特集:極める! 楽しみ果樹パラダイス |
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『だれでもできる 果樹の接ぎ木・さし木・とり木』
苗木として仕立て上げる、あるいは高接ぎ枝が結果するまでのケアこそが、肝心カナメ。切り方、接ぎ方、さし方の実際から、本当に大事な接いだあとの管理まで豊富な図と写真で紹介。初心者からベテランまで役立つ。 [本を詳しく見る] |
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