(黒澤義教撮影)
自然災害からの復旧、耕作放棄地の再生、
水路補修や農地集積……。
行政の事業を待つよりも、自分でやれば安いし、早い。
業者じゃ気づかない、かゆいところに手が届く。
農道・水路の自主施工−溝掘り・側溝掃除
テコで泥を上げる側溝掃除スコップ
栃木・阿部雅美
自作の側溝掃除具で泥上げをする筆者
私は72歳の稲作農家で、発明が趣味です。日ごろからラクな作業方法や効率化を意識し、苗箱つかみ「ちょい楽ちゃん」や荷上げ機など様々な器具を考案してきました。2年ほど前に作った「側溝掃除具」もその一つ。
地元の用水堀はコンクリート側溝になっていないところがあります。崩れると水が流れにくくなるので、底に溜まった土砂をスコップで上げるのがたいへんでした。腰を曲げての作業は、腰痛の原因にもなります。そこで実験を重ねて、腰を伸ばしたまま側溝の泥上げができる器具を考えました。
材料は、建築用単管パイプ(2m1本、1m1本、30cm1本)、クランプ2個、1mm厚の鉄板、角型スコップ1本。ホームセンターで合計5000円くらいでそろいます。
作り方は簡単です。最初に角型スコップの三方に幅4cmに切った鉄板を溶接。これは一度にすくえる土砂の量を多くするためです。次に、スコップの柄をディスクグラインダーで切り、代わりに2mの単管パイプを溶接して柄を長くします。
そして、この2mパイプの真ん中あたりで1mパイプ(支柱)が直交するように自在クランプで留める。さらに、足掛け用の30cmパイプをクランプ留めすれば出来上がりです。
土砂が固まっているときは、足掛けを踏み込む
使い方は以下の通り。
① スコップを側溝の土砂の下に潜り込ませたら、1mパイプの支柱を垂直に立て左手でしっかり押さえる。
② 右手で2mパイプの柄を下に押すと、テコの原理で土砂が持ち上がる。
③ 支柱を手前、または奥に傾けるようにして土砂を側溝の土手に落とす。
側溝掃除具は除雪にも使えます。その場合は、スコップを大きくし、支柱の1mパイプが滑らないように底部にゴムを付けてください。
(栃木市)
動画がルーラル電子図書館でご覧になれます。
https://lib.ruralnet.or.jp/video/
この記事の掲載号
『現代農業 2020年12月号』
特集:安い、早い、かゆいところに手が届く 農家の土木 |