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稲作・水田活用

人を基準に効率化し、160haの仕事を回す
密着!横田農場の春作業

茨城県龍ケ崎市・(有)横田農場

苗を植える横田修一さん。横田農場の田植えは「前を4割、後ろを6割見るイメージ」(写真はすべて依田賢吾撮影)

「今年(2020年)は10haほど増えたので、160haになりました」と語るのは、横田修一さん(45歳)。社長を務める(有)横田農場は、この面積の田んぼを田植え機1台、コンバイン1台だけで管理している。本誌19年12月号では、その収穫・調製作業に密着取材した記事をお届けし、同農場流の「人を基準とした効率化」の考え方は、規模の大小を問わず読者のご好評をいただいた。
 今回は、その春作業編−−。

横田農場のライスセンター。昨年は水田約160ha、10品種を従業員9人で栽培。水田は半径約2kmの圏内に集約されているため、自転車などで簡単に移動できる(本誌164ページ)

 

どこに何人充てるのか

 横田農場では、「自律じりつ分散型ぶんさんがた」の考え方を基本としている。つまり、上から指示を出されて動く「ピラミッド式」ではなく、職員それぞれが何をすべきか考え、自分の仕事を作り出しつつ、互いに助け合って農場の仕事を進めていく考え方だ。「村の中での『ゆい』に似ていますよね」と、横田さん。めいめいが仕事を自分ごととして考えるからこそ、効率化のアイデアも次々生み出される。

 

横田農場の「自律分散型」の考え方。強力なリーダーが引っ張るのではなく、職員各々が考え、助け合って仕事を作る

 

 では、実際の人員配置はどうなっているのだろう。横田農場では作業ごとに職員を専属化して、プロフェッショナル性を高めている。この「分業化」は、村の中での結とはまた違う、一経営体としての強みだろう。取材時の人員配置は左の通り。耕耘や田植えなど、時間のかかる作業や1人だと大きく効率が落ちる作業に多く人を割り当て、時間をかけてもいい作業、2人いると手持ち無沙汰な時間ができてしまう作業は、人員を削っている。

 昨年の田植えは4月21日〜6月17日の約2カ月間。作業を滞りなく回すには、「人を基準とした効率化」が欠かせないのだ。

2020年5月の場合

元肥散布:1人
耕起:1〜2人
代かき:1人
水管理・田んぼの除草剤散布:1人
田植え:2人
育苗管理、直播など:1人
畦畔の除草剤散布:1〜2人
*状況に応じて変動。代かき後のワラ・ゴミのかき出し作業なども手分けして進める

 

横田さんのお父さんと2人で担当。水がない時期から進められる作業なので、代かきまでに各圃場最大3回ほどしっかり耕しておく

 

耕起でしっかり耕した分、代かきは一発仕上げ。5m幅のドライブハローで1日最大6haほどこなす。小さな田んぼが続くと、1日1haほどのこともある

 

入水口の設置、代かき前・田植え前の水深設定が仕事(代かき・田植え担当も、作業直前に水深は確認)。すべての圃場間を歩き回り、1枚1枚調整する。田植え後の除草剤散布も担当

 

基本的にアゼの雑草対策は除草剤で。背負いの散布機を使い、生育期間中に数回散布する

 

この記事には続きがあります。本誌100〜111ページをぜひご覧ください!

 


取材時の動画が、ルーラル電子図書館でご覧になれます。「編集部取材ビデオ」から。
https://lib.ruralnet.or.jp/video/

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

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この記事の掲載号
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