|
私と「現代農業」の21年
中国江蘇省鎮江市 趙亜夫
(写真は「第4回アジアアイガモシンポジウム」で報告をする趙氏)
最初に「現代農業」を読んだのは、1982年に愛知県安城市箕輪町の農家で研修をしている時の事でした。親切なご主人、近藤牧雄さんはたくさんの農業書を私たちの学習のために探してきてくださいました。その中で「現代農業」に掲載されていた滋賀大学橋川潮先生の文章が私の注意を引きました。その文章は理論と実際のやり方から水稲疎植栽培技術を説明したもので、これはまさに私が中国国内で研究課題としてきた“水稲稀播壮秧少本挿(水稲強壮苗疎植)”と関係するものではないかと思い、非常に興奮しました。
忙しかった秋の収穫が終わり、近藤さんは私を連れて滋賀の橋川先生を訪問しました。もともと彼は日中農業友好交流に熱心な方で、私たちは話をしながら意気投合することができました。研修を終え、帰国してすぐに橋川先生を何度か中国にお招きし、鎮江や山東、湖南などの地域で水稲の多収栽培技術を指導して頂きました。この先進的な技術は私たち江蘇省鎮江市や常州一帯だけでも、80年代中期に20万ha以上に普及し、目覚ましい増収効果をあげることができました。当時、私が「現代農業」を愛読しているのを見た箕輪町の友人達は、私のために「現代農業」を購入してくださいました。帰国後は小包にして送ってくださいましたが、その後私は人に頼んで代理購入してもらうことにしました。
研修から帰って、農民を支援して農業産業構造の調整をすすめ、彼らの収入を向上させるために、私は日本での研修で得た知識を利用して、重点的にイチゴ、ブドウ、モモ、イチジク、カキなどの果樹栽培技術を研究しました。私を支援してくれた熱心な日本の先生方からは離れてしまったが、「現代農業」という、しゃべることはないがとても親切な日本の先生がいつも私のそばにいてくれたので、日本の現代農業技術を継続的に学ぶことができたのです。
現在江蘇省鎮江などの地域では、日本のイチゴや多種多様な果樹栽培の新技術が8万haまで普及しており、長江三角州地域の特色ある時宜にあった鮮果生産地となっています。イチゴを例にあげると、1ha当たりの年収は一般に12万元に達しており、一戸の農家が0.2haのイチゴ生産で2.4万元に達する年収を得ることができます。これはほとんど都市住民の平均収入水準に匹敵します。ブドウ、ナシ、イチジク、モモなどの果樹も同様に日本からの技術を導入しており、外観が綺麗でとても美味しいです。市場での売価も一般のものより2〜3倍高く、消費者も生産者も非常に喜んでいます。
何年か前、私は研究の重点を有機農業に移しました。これも長年得るところの多かった「現代農業」が“農業は環境と調和しなければならない”と絶えず主張してきた影響でしょう。「現代農業」は、減農薬や無農薬技術、土着菌、発酵堆肥、天敵、酢、米ぬか、間作、輪作、合鴨水稲同時作、アゾラ・・・・・など有機農業技術についての報道を掲載しており、私たちにとってとても参考になっています。例えば私たちは自然発酵果実酢の方法を勉強して農業用酢を作り、カキの葉の病害防除に効果を上げ、その後も継続的に研究開発をしています。
私たちは中国の伝統的農業技術を研究するのと同時に、日本の先進的で適用できる技術を組み合わせて実用的な有機農業技術大系を作り、それを農民に紹介し普及してきました。そして農民もこれらの技術にとても興味を持つようになってきています。例えば私の同僚である沈暁昆さんが日本の合鴨水稲同時作を導入する際に「現代農業」はよい助けとなりました。この技術は2〜3年の間に鎮江市の農村において500haあまりに広がり、安全で品質のよい米と鴨肉を生産して農民の収入を向上させ、農民からも歓迎されています。
「現代農業」は中国人民に対して心から友好的であり、中国の農民に対しても、アジアの農民に対しても友好的です。そして日中の農民・農業交流についての文章を何度も発表してきました。建国40周年記念の時に「現代農業」が中国建国記念日を祝う特別号を発行したのを覚えていますが、とても感動させられるものでした。
「現代農業」は永遠に私の良き先生であり友人なのです。
|