●学校での作り方

(1)植付準備

 じゃがいもは弱酸性(PH5.6〜5.8)を好むので、スギナの生えるような酸性の畑には適量の石灰を散布し、スコップや鍬であらかじめ25cm程度の深さに耕して平らにならします。

(2)種いも準備

種いもは、40〜60gのものは切らずにそのまま、60〜120gのものは2つに、120g以上のものは必ず目が集まっている頂部を通るように3〜4個に切り(決して胴切りにはしない)、切り口が乾燥して(約4日後)コルク化してから、必ず切った面を下向きにして植え付けます。

(3)植付け

畑の端から30〜40cmのところに、深さ幅とも15cmの植付用の溝を掘り、溝の中心から65〜75cmの距離に次の溝を掘り、底に有機肥料や化成肥料(1uあたり100〜200g程度)を施し、3〜5cmの土を被せます。

棒などで肥料を撹袢した後、この上に種いもを30cmの間隔で並べ、5cmの深さに土を被せます。土を被せる深さは、植付け時の土の乾燥具合によって調整し、適度の湿り気の土では浅めに土をかけ、芽が早く出るようにするのがポイントです。(深いほど出芽が遅れ、黒あざ病にかかり易く、茎数も減ります!)

(4)培土

植付の時期は、桜が咲く頃に芽が出るようにというのが目安で本州中部では3月上中旬が適期です。植付後、3〜4週間で芽が出はじめますが、この後、開花までの間に畦間の土を鍬で10cm程度の深さに耕し(中耕)、株の根元へ15cm程度の高さにカマボコ型になるように寄せ、山と谷の差を25cm程度の差とします。(これが「培土」です)

(5)収穫

じゃがいもの生育が終わり(本州では6月上旬)に近くなると、葉が黄色く色づいてくるので掘り上げ、日陰の風通しの良い場所に広げて十分に表面を乾かし、いもの温度を下げて貯蔵します。貯蔵は厚手の段ボール箱などにいれ、真っ暗で涼しいところに保管することが大切です。光に当たると緑色になり、エグ味を生じてまずくなるからです。

《じゃがいもの太り方》


● 桜前線とじゃがいも

北に長い我が国では、春作のじゃがいもは桜の花を1〜2カ月遅れで追いかけるようにして冬の沖縄で収穫が始まり、次第に北上して春に九州、初秋には北海道に達し、そして初冬に再び暖地の2回目(秋作) の収穫に戻ります。桜前線を追いかけるという意味で桜前線ならぬ『じゃがいも前線』といってもいいのではないでしょうか。


●ユニークな新品種

じゃがいもの優良品種の育種は、基礎的な病虫害抵抗性などに加えて、用途別の品質、成分、貯蔵性、加工適性等に注目して進められています。最近では、青果用で目の浅いもの、サラダやコロッケ、フライドポテトなどの加工適性が高いもの、病害抵抗性とでん粉収量の両方に優れたものなど、ユニークな新品種が次々と育成されているのです。

品 種 名

育成年

育 成 場 所

特 性

メイホウ 昭和61年 長崎・愛野(指) 食味良、青枯病に強い
キタアカリ 昭和62年 北海道農試 シストセンチュウ抵抗性、粉質、ビタミンC含量が多い
エゾアカリ 昭和62年 北海道農試 シストセンチュウ抵抗性、早生、多収、煮崩れ極少い
とうや 平成4成 北海道農試 早生・大粒、シストセンチュウ抵抗性、芽が浅い、剥皮褐変・水煮黒変が少い、業務用
ムサマル 平成4年 根釧農試(指) 大粒、多収、シストセンチュウ抵抗性、フレンチフライ加工適性大
ベニアカリ 平成6年 北海道農試 コロッケへの適性大
サクラフブキ 平成6年 根釧農試(指) シストセンチュウ抵抗性、高でん粉
アイノアカ 平成6年 長崎・愛野(指) 外観品質良好、煮崩れ少い、調理特性良
さやか 平成7年 北海道農試 大粒で調理加工適性に優れる
アーリースターチ 平成8年 北海道農試 早掘り可能なでん粉原料用
 注:(指)は、指定試験地の略で、国の指定助成により育種が行われている。

とうやベニアカリ アイノアカさやか


●品種別の料理適性など

(1)男爵薯とメークイン

 全国で幅広く栽培されている品種です。男爵薯は粉質なので、粉ふきいもやコロッケなどひととおり使えますが、目が深く、歩留りが劣り、大いもに空洞が出やすいという欠点があります。メークインは粘質なので、肉じゃが、シチューなど煮込み料理、カレーライス用にむきます。

(2)北海道の加工適性品種

 ホッカイコガネは目が浅く大粒でフライ用に適し、粘質で煮くずれせず煮物に向きます。黄肉で香りがよい粉質のキタアカリは、加熱時の火の通りが早く煮くずれしやすいのですが、ベークドポテトやサラダに向いています。「とうや」は、滑らかな肉質で変色が少なく、目が浅いため剥皮歩留りに優れ、ベニアカリは、紅皮で外観に特徴があるばかりでなく、高でん粉の極粉質で、コロッケなどに用いた場合の加工歩留りが高いのが特徴です。また、でん粉原料用のコナフブキは、ベニアカリと同様にすりおろして「お好み焼き」に使うこともできます。

(3)新じゃが

 長崎などの暖地の二期作専用品種は、ほとんどが調理用として市場出荷されます。春先に「新じゃが」と呼ばれるのはこれらの品種で,ビタミンCが多い生鮮野菜です。デジマは大粒淡黄肉で煮くずれが少なく、煮物に向いています。ニシユタカは煮くずれが少なく、でん粉価が低いため淡白な味の品種です。新品種のアイノアカは紅皮黄肉で、目が浅く楕円形をしており、調理しやすく滑らかな肉質であっさりしています。

(4)油加工適性品種

 ポテトチップス用としては、グルコースなどの還元糖が少なく、乾物率が高いことが望ましく、専用品種のトヨシロやアトランティックが主として使われ、肥大の早いワセシロも使われています。フライドポテト用には、長くて大きなホッカイコガネや太めのムサマルが使われています。

(5)でん粉原料用品種

 紅丸やコナフブキなどの専用品種を主な原料として作られたじゃがいもでん粉は、片栗粉としても売られています。加熱したときに他の種類のでん粉よりも低い温度でのり状となり、水分を多く含むという性質を活かして、水産練り製品(カマボコ、チクワなど)に使われています。このほか、麺類(ラーメン)などに独特の食感を与えるためにも使われています。

(6)その他

 これらの他に、「安全でおいしい」ものを求める消費者ニーズに応えられる品種として、疫病抵抗性の高いマチルダがあります。小粒でもでん粉価が低下しないことから、ホールポテトやベークドポテトとして業務用に利用されています。


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