「21世紀の日本と農業・農村を考えるための行動」機関誌
第46号:特集のねらい
◆地域を元気にする連携を(表紙写真の取組みから)
一つは青森県で取り組まれている冷凍寿司。加工業者が冷害に強い米(県認定品種)と地元産の魚を組み合わせて開発したもの。この米を使った寿司は解凍しても美味しい。安く買い叩かれていた米、魚とも正当な価格で買い取ってもらえるようになり、地域に活気を呼んでいます(二四頁)。富山県の氷見市では、水田転作のはとむぎを加工業者の協力を得て、ペットボトル茶として売り出し、地域名入りのブランドとして定着することで、はとむぎ栽培農家の生産意欲を高めています(六六頁)。もう一つは福岡県の水巻町の「でかにんにく」入りの調味料。「何も特産品がないなら今から作り上げよう。責任をもって販売する」との商工会の提案で実現したものです(八一頁)。
商工会の提案で面白いのは、北海道和寒町。同町はカボチャの大産地で、規格外カボチャが大量に出る。それを買い取ってペースト化し、お菓子など加工品用に全国販売することで農家の懐を潤し、町内の商店にもその分還流するようになったとのこと(七三頁)。
また、志のあるレストランを核として、地産地消を実現している事例も(一六頁)。いわば地域の六次産業化=「食材先にありき」の農商工連携の取組みで、“どこにでもある小さな町”が活気づいている事例は、今後の農商工連携の<こうありたい姿>として注目したいものです。
◆“四方得”の形で実現させたい
大切なのは、互いに信頼し、支えあい、協調して行動すること。質や絆を重視した「社会貢献ビジネス」を、農商工の“三方得”から、消費者を加えた“四方得”の形で実現させること。
まずは「水田のフル活用」、伝来の農地を荒らさずに活かすこと。これほど地域の農家にとって嬉しいことはありません。その実現には、それぞれの地域の産物の個性を活かした加工・販売に<農・商・工>が協力して取り組み、量より質の地域ブランド商品を届けるとともに、商品開発までの“現場での物語”を消費者に伝えることです。
地域に元気を取戻すには、いまや農商工連携の取組みが欠かせません。今後、農商工連携をどう進めるか、その参考資料として本特集をお届けします。
〈主な内容〉
○どげんかせんといかん! みやざきブランドを農商工連携で「ブームから定番・定着へ」
宮崎県知事 東国原英夫 /4
○今後の農商工連携は、「農業現場発信型」が本命
――地域自然に根ざした「小さな加工」の魅力が、消費者を惹き付ける
特定非営利活動法人「アグリネット」理事長 黒澤賢治(元JA甘楽富岡営農事業本部長・JA高崎ハム常務) /8
○地元の農産物等を活用、地域としてお客さんを歓迎すれば、高齢農家も元気いっぱい
――“地域の六次産業化”を目指す福岡県岡垣町の取組みからの提案
(株)グラノ二四K 代表取締役 小役丸秀一 /16
<米の多角的利用>
○冷凍に適した低アミロース米(「ゆきのはな」)を使った冷凍押し寿司の開発
――(株)ディメール(青森県八戸市)とJAはまなす(青森県むつ市)との連携 /24
○「味わいで選べる米粉パン」の時代へ
――『米粉パンの教科書』の著者、福盛幸一さんに聞く /32
○減反田を活用した飼料用米の生産と「こめ育ち豚」のブランド化
――山形県遊佐町・酒田市、米作農家&JA庄内みどりと(株)平田牧場(養豚と食肉加工・販売など)の連携 /38
<転作作物の活用>
○消費者も参加の「麦わらぼうしの会」をつくって自県産小麦で差別商品の開発促進、消費拡大PRも
栃木県・笠原産業(株)代表取締役社長 笠原健一 /46
○JA等による国産農産物100%にこだわったラーメンの開発
――熊本県宇城市・熊本市、JA熊本うきと熊本製粉(株)、(株)三協デリカとの連携/52
○転作大豆で安心の豆腐づくり、おからは堆肥化して自然循環農業を推進
――京都府与謝野町と農家、とうふ工場(「京とうふ加悦の里」)が連携 /60
○地域で愛される「氷見はとむぎ茶」を土台に健康によい「はとむぎ茶ゴールド」に挑戦
――JA氷見市(富山県氷見市)と(株) CRD(石川県金沢市)等の連携 /66
・大量に出る規格外品カボチャをペーストにして地域で加工(北海道和寒町商工会)
・この地(強湿田地帯)ならではの「じゅんさい鍋」を全国区へ(秋田県三種町商工会)
・休耕田で栽培「でかにんにく」で町の特産品を開発(福岡県水巻町商工会)
○地域ごとの個性を活かした多様な連携ビジネス展開を /87
――「農商工等連携促進法」の支援策活用に向けて
農林水産省食品産業企画課/経済産業省地域経済産業政策課
●原稿を募集しています
「過疎地に人を増やすには」、「都市近郊農業をどうするか」など、ご意見などお寄せ下さい。
ご寄稿は、「ご意見記入フォーマット」への入力か、1000字を超える場合にはEメールか郵送で下記へお送り下さい。
●定期購読者募集中です
農業・農村の役割を多角的に考えようという「行動」をご支援いただくため、定期購読者を募集しています。希望号よりの誌代(1年分〈年4回〉2400円)を前納いただいた方には送料サービスで、発行のつど直送いたします。
†お申し込みは下記へ。
(事務局) 農文協提携事業センター 「行動」機関誌係
〒107-8668 東京都港区赤坂7−6−1
TEL 03-3585-1144 FAX 03-3585-6466
Email kurita@mail.ruralnet.or.jp
トップに戻る