江蘇省農業交流
(2010年6月19日〜6月24日)
 農文協日中農業交流グループ3人は6月19日〜24日5日間にかけて、江蘇省を訪問し、地元農業資材の利用・販売状況及び農家のニーズについて、視察調査を行いました。また、出版物や技術交流についての継続的交流の一環として、江蘇省農業科学院と江蘇省科技協会を訪問しました。

 6月20日、一行は戴荘村合作社を訪れ、当合作社及び句容市供銷合作社の担当者に地元の農業資材利用状況について、ヒヤリングを行いました。

 関係者の紹介によると、かつて行政が肥料、農薬を配っていたが、数年前に関連会社が設立されました。それた以降、それらの会社が配送、卸売を行うようになったといいます。慣行栽培を行う農家は半数供銷合作社から資材を調達します。一方、戴荘村では8割近くの農家が「有機農業合作社」に参加していますが、資材はここを経由して、共同で購入しています。その資材にはナタネカス、米ぬか、防虫ネット、ハウス資材、生物農薬及び木酢等があります。
   状況を説明している供銷合作社の関係者
 6月21日の午前、鎮江市農業委員会との座談会が開かれました。植物防疫ステーションセンター、土肥ステーション、農業機械ステーション、そして農業サービスセンター等、各分野の担当者が出席され、現状について説明してくださいました。
 鎮江では農家規模が小さく(1戸あたり2、3反)、農業だけでは収入が低いため、若者が都市へ出稼ぎに行くことが多く、残って農業に従事するのはほぼ高齢者と女性です。一方では、農産物の栽培はかつての生産量重視一辺倒から品質重視に変わりつつあります。そこで、新しい労力事情の地域農業を支え、かつ新しいニーズに応える農業資材と機械に対する需要が高まっています。具体的には、作物別の専用農薬や園芸・小型機械及び特殊機械、ナタネの移植機や茶の深耕機、ワラ利用処理の関連機械、畜産生産関連機械等が必要とされています。また、温室栽培用の緩効性肥料にも関心が強いといわれています。
資材利用状況の説明と今後に向ける交流についての打合せ
 午後、一行は江蘇省農業科学院を訪れました。1932年に設立した歴史の古い総合的農業科学研究所で、食糧、園芸、畜産、農業経済等13の専門研究所と、鎮江市にある丘陵地区研究所を含めた10の地区研究所をもっています。日本との交流も盛んで、現在でも愛知県農業試験場と提携関係をもち、共同研究も行っているとのことです。
 視察にあたり、常有宏副院長、外事弁公室主任と「江蘇農業科技報」の副編集長らが対応してくださいました。常副院長は農科院の概況説明と日本との技術交流について話されました。若手研究員の日本の農家への訪問研修を重要視すると強調されました。
 「江蘇農業科技報」の関係者から新聞の発行状況等を説明してくださいました。当新聞は、中国全国では唯一の省農業科学院が発行する農業科技新聞です。読者の半数は農家です。省内各地の約700か所で、農家向けの相談ステーションを設けています。その他、相談ホットラインも5本開通しており、耕種、畜産、法律等に関する様々な問合せを受けているとのことです。
説明を聞きながら農文協の事業案内に興味津々な出席者ら
 6月22日、視察団一行は江蘇省科技協会を訪れました。張鉄恒副出席をはじめ、国際連絡部の関係者らが迎えてくださいました。双方は今までの交流を大切にしながらも、今後現場指導、研修及び映像・電子出版等の分野でさらに交流を深めていくことについて合意しました。
映像・電子出版の重要性を強調された張鉄恒副主席右4)と関係者
 午後、江蘇省内農業資材物流最大手である蘇農農業資材チェーン集団を訪問し、当社の経営概況と販売方法について紹介していただきました。
 当社は江蘇省の52県に2108か所の販売店をもち、主として肥料と農薬を取り扱っています。最近、小型農機、とりわけ比較的収益の高い園芸関連の機械への需要が高まっているということです。
「現代農業」の紹介 売上上位の販売店ランキング
 
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