● 村のみんなが主人公

 ―「水曜会」メンバー・「ゆめおいびと」代表・米山秀基さん

 茅葺き家の修復はすべて「水曜会」の仲間たちの手で行ないました。
「農村にはいろんな職を持った人が多い。それに、農家は生活すべてを自分で営む力を持っているから、みんなの得意とする技術を集めれば大きな力になる」と水曜会会員の米山秀基さんは言います。建設作業員は職場から重機を借り、木材所からは端材を譲ってもらう。障子貼りは門出地区の40〜60歳代のお母さんたちの組織「くるみ会」が手伝うなど、みんなの助け合いで修復が進められました。
 こうした取り組みについて米山さんは、「地域おこしのコツはみんなを巻き込むことだ」と言っています。「昔から助け合ってきた農村には、仲間が困っていれば手を貸すのが当然という心意気が生きている。それに、金がないのも強みなんです」。もし、資金が潤沢であれば、茅葺きの修復は専門業者に頼み、一握りの計画者が実行することになります。しかし、予算不足を人手で補えば、それが一人ひとりの自覚を促し、充足感につながるのです。門出地区の住民はもとより、友人、知人が誘い合って参加し、指示する人も従う人もなく、みんなが主人公となって、楽しみながら作業したそうです。