●アン・マクドナルド

 10年以上前、熊本大学に留学していてイグサ植えを体験してから、日本の農村を歩くようになりました。長野県の戸隠では、小さい頃、口減らしのために紡績工場に働きに出されたおばあちゃんの話を聞いたり、機械化していない鍛冶屋さんの話を聞きました。そこでは、明治時代のにおい、音、暮らしなど生きている歴史の味を味わうことができました。それから病みつきになって、歴史の味を求めて全国の農村を歩いています。
 今、日本もずいぶん変わってきたなと感じています。以前は、都会の人は開発された土地でホテルに泊まって満足していたけれど、バブルがはじけて豊かさとは何なのかと考えるようになりました。農村を見る目が変わってきたと思います。農村側も都会人の「いい知恵」には耳を傾けて、しかし自分達がしっかりとイニシアチブをとって都市との交流をして行ってほしいと思います。