- インタビュー 林 公義氏に聞く/「本物」との出会いを通した感動体験を
- あらためて問題解決を考える
─子どもが自分の「問題」として意識するために─ 矢野英明
- 集団で練り上げ「問題」を創る
─「『自然』を読解する力」をどの子にもつけるために─ 松本謙
- 子どもが「問い」を持ち,自ら自然のしくみを見出していく理科学習 山元一哉
- 主題研究を読んで 森田和良
- 実感ある学びと「問題」の成立
─第4学年「自然の中の水」を通して─ 梶川友恵
- 主題研究を読んで 末永昇一
- 問題解決学習を成り立たせる「問題」
─第6学年「ものの燃え方と空気」を通して─ 瀧本和樹
- 主題研究を読んで 石川正光
今まで授業を行ううえで,何よりも「問題」を成立させ,授業を構成していくことを,とても大事にしてきました。
しかし,こういう授業に出会ったことはありませんか? 例えば,ある現象を見せて,教師が「不思議に思ったことはなんですか?」と聞くと,子どもたちからは,幅広くたくさんの意見が出されてしまう授業です。すると,どれも同じ大切な発言であるにも関わらず,教師は都合のいいものだけを拾い上げ,ほかの発言はなかったかのように授業を進めています。
また,同じように「不思議に思ったことはなんですか?」と聞くと,子どもたちは苦し紛れに単に見たことに「なぜ」だけつけて発言する授業です。すると,子どもたちが本当は不思議に思ってもいないことを,教師は「問題」として取り上げ,授業を進めていきます。
「問題」は,子どもたちが自ら学習を成立させていくための,大切な原動力です。「あれ?おかしいな」と思うような出来事に出会ったり,友達との見解が違っていたりして,心が揺さぶられるとき,問題が立ち上がってくるものです。「問題」は,子どもがその学習を心からやりたいと思い,「何が何でも調べてみたいんだ」と,動き出すものであると考えます。そして,心から「知りたい」と思っているのですから,その「問題」に向かって子どもはこだわりをもって突き進み,そこで得られたものを宝物のように大事に扱い,長期記憶となり,知恵となっていくのではないでしょうか。
しかし,最近の授業を見ると,「本当に問題が成立している授業なんだろうか?」と思うことが多くあります。言葉としては出てきても,「問題」として浅いようです。本当に,子どもたちが心から調べてみたいなあという思いを,もっているのでしょうか?
また,「問題」をもっていないにも関わらず,「問題解決学習をしても,子どもの理解度は低い」とか,「子どもに力がない」といっていることはないでしょうか? 「だから問題解決学習はだめ」ということにしてはいないでしょうか?
「問題」とはどんなものなのか,「問題」をもったときの子どもとはどんな姿なのか,「問題」をもって学習をするとどのような効果があるのか,などを考えていきます。
(担当/梶川 友恵)
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