月刊 現代農業 季刊 のらのら 隔月 保健室
  季刊地域 季刊 うかたま 季刊 生物科学

日本初等理科教育研究会 編集
初等理科教育
バックナンバー購入
2009年9月号 No544
活用できるものづくり教材
9月号表紙
  • 特集キーワード 田村高広
  • インタビュー 平野弘道氏に聞く/臨場感あふれる授業がおもしろい
  • 「ものづくり」の意義 露木和男
  • ものづくりを通して見えてくるもの 藤間信夫
  • 「ものづくり」で生きた知識を獲得する
    ─3学年「電池の通り道」の実践から─ 原口淳一
  • 創造力を発揮するものづくりの授業デザイン
    ─3学年「風のはたらき」の学習を通して─ 平澤林太郎
  • ゴムの伸びと走る距離の関係性を捉えさせる学習 古屋皇

 日本初等理科教育研究会副理事長の末永昇一氏は,著書『作り直しでアイデアがどんどんふくらむ楽しいモノづくり』の中で,理科の授業のものづくりによって,子どもたちに次のような学力をつけることができると書いています。

(1)生きた知識を身につけることができる
(2)考える力を養うことができる
(3)創造力を働かせることができるようになる
(4)集団の中で楽しく生きていけるようになる

 一方,文部科学省は,「ものづくり教育・学習に関する懇談会」報告書の中で,ものづくり教育のねらいとして,次のような点をあげています。

○ものづくりの体験は,作る喜びや完成の達成感を味わうことができ,日常の教育・学習では得にくい驚きや感動を得ることができる。また,知識や理論を実感を伴って理解できる。
○専門分野に優れるということが社会人として重要であるとの理解を進めるとともに,技能者や技術者の社会的な役割の重要性の理解を深める。
○主体的に取り組む態度や創造力,ひとつのものに取り組む集中力や忍耐力,協調する態度を醸成することができ,望ましい職業観や勤労観を育成することが期待される。このように,「ものづくり」は「人づくり」とも言えるものである。

 末永先生の考えと文部科学省のねらいは重なる点が多くあります。生きた知識,考える力,協調する態度など,ものづくりの教育のなかで,子どもたちが育つことがたくさんあるようです。単純にものをつくるというだけでなく,教師はその過程でのねらいを明確にして,学習を進める必要がありそうです。
 そこで本号では,以下の点について考えてみたいと思います。

○ものづくりで育つ学力とは,どのようなものがあるのか
○具体的にどのようなものづくりの活動がどのような力を伸ばすのか
○ものづくりのなかで人間関係の力が育つとあるが,実践のなかでどのような変容が見られるのか
○ものづくりと問題解決の関係について

 初等中等教育における理科離れが問題となって,久しくなりました。ものづくりは理工系の学生のための教材のように論じられることがありますが,そうではありません。子どもたちは,自分の頭の中でイメージしたことを実際に製作することが好きだと思います。実感を伴った理解とは,正にそのような学習のなかで生まれるのではないのでしょうか。すべての子どもたちが,自分で考えて作ったものやその過程には,問題解決する力に通ずるものがあると考えます。理科の学習で培ったものづくりの力は問題解決の力となり,さらには生きる力へとなっていくものと思います。
(担当/田村高広)


<  

Back Number

2009年
8月号 教師と子どもをつなぐ板書術
7月号 環境教育と理科
6月号 学ぶ価値を実感する授業
5月号 今こそ,自然観察力を育てたい
4月号 新学習指導要領をどう実践するか
3月号 科学史を授業に生かす
2月号 「生命」「地球」概念の授業
1月号 科学的思考力を育てる
2008年
12月号 実感を伴った理解
11月号 「伝え合う力」を育てる理科授業
10月号 習得・活用・探究学習と子どもの思考
9月号 活用力を高める「深化課題」の開発
8月号 人間力の向上
7月号 「エネルギー」「粒子」概念の授業を考える
6月号 「ことば」を重視する理科の授業とは
5月号 自然・科学・実感 はじまる新しい理科!
4月号 PISA型科学的リテラシー
3月号 活用力を育てる授業
2月号 意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方
1月号 「子ども理解」を深めるために
2007年
12月号 研修・授業分析の生かし方
11月号 授業力を磨く
10月号 子どもの発達と問題解決
9月号 今,福島が熱い! 全国大会への道
8月号 授業が成り立つ問題が見えてくる
7月号 実生活と授業をつなぐ
6月号 授業がぐっと深まるこの発問
5月号 授業における子どもの「ひらめき」
4月号 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
3月号 “読解力”を育てる理科授業の改善
2月号 「何を」かくか 「いつ」かくか
1月号 児童に考えさせる実験結果のまとめ方
2006年
12月号 今,単元構成を考える
11月号 教えて考えさせる授業と問題解決
10月号 話し合いを深めるキーワードとは?
9月号 感性をみがく理科教育
8月号 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
7月号 幼・小・中連携を踏まえた学習指導要領改訂のポイント
6月号 「表現力」を理科で鍛える
5月号 知的ボルテージを高める理科授業
4月増刊号 学力低下を克服する 小学校理科の新展開
4月号 こうすれば楽しくなる,理科の授業!!―若い先生方とともに育つために―
3月号 小学校理科はこれでいいのか―学習指導要領改訂への提言―
2月号 問題解決の力を育む
1月号 子どもが「わかった」と実感できる授業
2005年
12月号 子どもの見方や考え方をとらえる
11月号 見えない世界を楽しむ
10月号 他教科との関連を踏まえた新世紀型理科教育
9月号 こだわりを育てる理科授業
8月号 確かな学力に高める「説明活動」
7月号 子どもの出番! 教師の出番!
6月号 先行学習の有効性
5月号 教師を理科好きにする“新しい校内研修”
5月増刊号 「真の学力」を育てる 理科の学習指導案集
4月号 ふるさとの自然に自信と誇りを育てる授業
3月号 個の学びを生かした 練り上げのある授業
2月号 豊かな「挫折」がある授業
1月号 自然を豊かに感じ、確かな科学を築く
2004年
12月号 発展的な学習のアイデア
11月号 「問題解決」の原点
10月号 対話で変わる子どもの見方や考え方
9月号 わかる理科授業をめざして
8月号 21世紀型の教材研究
7月号 特集:子どものつくる「問題」、教師の考える「問題」
6月号 特集:みがけ! 感性
5月号 専門家の協力を得た授業
4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本
4月号 確かな学力を育てる理科授業
3月号 長期記憶に残る理科授業の工夫
2月号 「問題解決と学力」を問う
1月号 理科嫌いをなくす授業をめざして
2003年
12月号 予習と理科学習
11月号 「わくわく導入」のあり方
10月号 科学的思考を育てる「基礎・基本」
9月号 ポートフォリオを生かす
8月号 教師の指導力を問う
7月号 ものづくりで科学する力を
6月号 どうする? 発展的・補充的な学習
5月号 飼育・栽培の楽しみ
5月増刊号 楽しい理科の導入の工夫
4月号 ワンランク上の学力をつけたい
3月号 学習指導要領をみつめなおす
2月号 学力低下への緊急提言
1月号 理科から総合へ
2002年
12月号 海外の理科教育に学ぶ
11月号 絶対評価 私の実践
10月号 地域とつながる理科教育
9月号 わかる喜びをめざす理科の授業
8月号 教材化を図る教師の眼
7月号 自然体験活動のすすめ方
6月号 理科の授業と仲間づくり
5月号 センス・オブ・ワンダーの心を育てる
5月増刊号 理科に役立つ栽培植物
4月号 「豊かな心」にどこまで迫れるか
3月号 感動を表現する子どもを育てる
2月号 現代日本の理科離れの危機
1月号 子どもの仮説が生きる授業
2001年
12月号 IT革命と理科授業
11月号 子どもが協同しあう授業の創造
10月号 ものづくりをどう位置づけるか
9月号 理科で育つ学力
8月号 「わかる」授業から「わかりあう」授業へ
7月号 事実を大事にした授業
6月号 生命観を養う理科授業
5月号 地域の自然 目のつけどころ
5月増刊号 もっと活かそう学校環境
4月号 特集:私の考える「よい授業」
3月号 特集:心に残る授業
2月号 特集:理科で育つ資質や能力
1月号 特集:心の世紀と理科の教育

|| 農文協のトップへ || このページのトップへ ||