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日本初等理科教育研究会 編集
初等理科教育
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2010年10月号 No557
確かな学力を育む理科の系統性
(エネルギー・粒子)

10月号表紙
  • 6学年「電気の利用」の教材活用 教材提供:(株)ナリカ
  • 特集キーワード 寺本貴啓
  • 座談会/これからの理科教育と三研究団体の連携について
    日置光久,村山哲哉,一寸木肇,沼嵜雄一,船尾聖,塚田昭一,鷲見辰美,寺本貴啓
  • 子どもの学びと知識内容の系統性とは 無藤隆
  • エネルギー・粒子にかかわる内容と認識の系統性 中山迅
  • 系統性をふまえた指導
    ─4学年「もののあたたまり方」の実践を通して─ 金沢緑
  • 子どもは授業で「学習内容の系統性」をどのように意識していくのか 川真田早苗
  • 子どもの内に認識の系統性を培うための2つの視点
    ─5学年「電流の働き」を例に─ 小林祐一

 新しい「小学校学習指導要領解説理科編」では,「エネルギー」「粒子」「生命」「地球」という4つの観点で,学習内容のつながりを示す図が,新たに掲載された。これは,学習内容の構造化を図るために設けられたものであるが,私たち教師には,「系統性を意識した授業」をいっそう重視しなければならないことを意味するのである。
 また,同書には「(イ)『物質・エネルギー』については,……(省略)……。また,『エネルギー』や『粒子』といった科学の基本的な見方や概念を柱として内容が系統性をもつように留意する。……(p6)」と書かれており,単に,学年間での学習内容(知識)のつながりだけに留意して授業をするのではなく,「エネルギー」や「粒子」といった科学の基本的な見方や概念が柱となるよう,授業を工夫していく必要性が示されている。
 上述の状況から10月号では,4つの観点のうち,まず「エネルギー・粒子」の内容区分をとりあげ,その系統性を意識した考え方や授業づくりについて追究する。具体的には,「エネルギー」「粒子」という科学の基本的な見方や概念を,以下の点から迫りたい。

  • 以前に学習した内容が,今の学習に活かすことができる授業
  • 今の学習が,次の学習につながるように工夫された授業
  • 学年間の学習を結びつける教材
  • 各学年の指導内容やつながりを見通した,学校全体の指導計画

 そして,確かな学力を育むために,「『エネルギー』や『粒子』といった科学の基本的な見方や概念を柱とした系統的な授業とはどういうものか」,また「授業を具体的に実践する場合において,どのようなことに留意するのか」などの課題に対し,新学習指導要領をもとに検討したいと考える。
 また,系統性は,各学年の学習内容を「学習内容(知識)の連続的なつながり」として留意して授業を行うだけではなく,実際に子どもたちがどのように考え,理解していくのかといった「子どもの認識や理解の連続性」についても留意する必要がある。なぜならば,子どもの理解状況を無視したまま次の学習内容に進めたとしても,深い理解につながらないからである。つまり,子どもの理解状況に沿って授業をしなければ,十分に「実感を伴った理解」をさせることができず,「確かな学力」に結びつかないのである。
 このように「系統性」を意識した授業とは,まず,意識的に学習内容(知識)が系統的に積み重ねられるよう,「学習内容の系統性」に留意した授業が行われる必要があり,その一方で,子どもの発達や理解状況に沿って授業が行われるように,「子どもの認識や理解の連続性」にも留意して,授業を進めていく必要があるといえるのではないだろうか。
(担当/寺本貴啓)


  

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2010年
9月号 メディアと問題解決
8月号 教科をつなぐ理科
7月号 子どもの学びと実験・観察
6月号 「A区分」新内容・新教材 こう授業する
5月号 生命・地球「B区分」の魅力にせまりたい
4月号 新学習指導要領で授業はこう変わる
3月号 子どもの問いかけをどう組織化するか
2月号 理科と「言語活動」
1月号 学ぶ喜びのある授業
2009年
12月号 「理科離れ」の正体を探る
11月号 考察力を高める
10月号 実験結果のまとめと評価
9月号 活用できるものづくり教材
8月号 教師と子どもをつなぐ板書術
7月号 環境教育と理科
6月号 学ぶ価値を実感する授業
5月号 今こそ,自然観察力を育てたい
4月号 新学習指導要領をどう実践するか
3月号 科学史を授業に生かす
2月号 「生命」「地球」概念の授業
1月号 科学的思考力を育てる
2008年
12月号 実感を伴った理解
11月号 「伝え合う力」を育てる理科授業
10月号 習得・活用・探究学習と子どもの思考
9月号 活用力を高める「深化課題」の開発
8月号 人間力の向上
7月号 「エネルギー」「粒子」概念の授業を考える
6月号 「ことば」を重視する理科の授業とは
5月号 自然・科学・実感 はじまる新しい理科!
4月号 PISA型科学的リテラシー
3月号 活用力を育てる授業
2月号 意味の理解を伴った知識や技能の習得のさせ方
1月号 「子ども理解」を深めるために
2007年
12月号 研修・授業分析の生かし方
11月号 授業力を磨く
10月号 子どもの発達と問題解決
9月号 今,福島が熱い! 全国大会への道
8月号 授業が成り立つ問題が見えてくる
7月号 実生活と授業をつなぐ
6月号 授業がぐっと深まるこの発問
5月号 授業における子どもの「ひらめき」
4月号 “状況に入る学び”と“状況をつくる学び”
3月号 “読解力”を育てる理科授業の改善
2月号 「何を」かくか 「いつ」かくか
1月号 児童に考えさせる実験結果のまとめ方
2006年
12月号 今,単元構成を考える
11月号 教えて考えさせる授業と問題解決
10月号 話し合いを深めるキーワードとは?
9月号 感性をみがく理科教育
8月号 知識の差,経験の差を乗り越える理科授業
7月号 幼・小・中連携を踏まえた学習指導要領改訂のポイント
6月号 「表現力」を理科で鍛える
5月号 知的ボルテージを高める理科授業
4月増刊号 学力低下を克服する 小学校理科の新展開
4月号 こうすれば楽しくなる,理科の授業!!―若い先生方とともに育つために―
3月号 小学校理科はこれでいいのか―学習指導要領改訂への提言―
2月号 問題解決の力を育む
1月号 子どもが「わかった」と実感できる授業
2005年
12月号 子どもの見方や考え方をとらえる
11月号 見えない世界を楽しむ
10月号 他教科との関連を踏まえた新世紀型理科教育
9月号 こだわりを育てる理科授業
8月号 確かな学力に高める「説明活動」
7月号 子どもの出番! 教師の出番!
6月号 先行学習の有効性
5月号 教師を理科好きにする“新しい校内研修”
5月増刊号 「真の学力」を育てる 理科の学習指導案集
4月号 ふるさとの自然に自信と誇りを育てる授業
3月号 個の学びを生かした 練り上げのある授業
2月号 豊かな「挫折」がある授業
1月号 自然を豊かに感じ、確かな科学を築く
2004年
12月号 発展的な学習のアイデア
11月号 「問題解決」の原点
10月号 対話で変わる子どもの見方や考え方
9月号 わかる理科授業をめざして
8月号 21世紀型の教材研究
7月号 特集:子どものつくる「問題」、教師の考える「問題」
6月号 特集:みがけ! 感性
5月号 専門家の協力を得た授業
4月増刊号 小学校理科授業のレベルアップ読本
4月号 確かな学力を育てる理科授業
3月号 長期記憶に残る理科授業の工夫
2月号 「問題解決と学力」を問う
1月号 理科嫌いをなくす授業をめざして
2003年
12月号 予習と理科学習
11月号 「わくわく導入」のあり方
10月号 科学的思考を育てる「基礎・基本」
9月号 ポートフォリオを生かす
8月号 教師の指導力を問う
7月号 ものづくりで科学する力を
6月号 どうする? 発展的・補充的な学習
5月号 飼育・栽培の楽しみ
5月増刊号 楽しい理科の導入の工夫
4月号 ワンランク上の学力をつけたい
3月号 学習指導要領をみつめなおす
2月号 学力低下への緊急提言
1月号 理科から総合へ
2002年
12月号 海外の理科教育に学ぶ
11月号 絶対評価 私の実践
10月号 地域とつながる理科教育
9月号 わかる喜びをめざす理科の授業
8月号 教材化を図る教師の眼
7月号 自然体験活動のすすめ方
6月号 理科の授業と仲間づくり
5月号 センス・オブ・ワンダーの心を育てる
5月増刊号 理科に役立つ栽培植物
4月号 「豊かな心」にどこまで迫れるか
3月号 感動を表現する子どもを育てる
2月号 現代日本の理科離れの危機
1月号 子どもの仮説が生きる授業
2001年
12月号 IT革命と理科授業
11月号 子どもが協同しあう授業の創造
10月号 ものづくりをどう位置づけるか
9月号 理科で育つ学力
8月号 「わかる」授業から「わかりあう」授業へ
7月号 事実を大事にした授業
6月号 生命観を養う理科授業
5月号 地域の自然 目のつけどころ
5月増刊号 もっと活かそう学校環境
4月号 特集:私の考える「よい授業」
3月号 特集:心に残る授業
2月号 特集:理科で育つ資質や能力
1月号 特集:心の世紀と理科の教育

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