- 6学年「電気の利用」の教材活用 教材提供:株式会社ヤガミ
- 特集キーワード 前川良平
- インタビュー 岩瀬徹氏に聞く/雑草のくらしを考える自然観察
- 人間形成というマクロな視点を意識した授業づくりを 矢野英明
- 「前提・矛盾・再構成」と問題解決の授業 露木和男
- 解決する価値がある問題 ドキドキと不親切
─子どもが力をつける場の設定─ 土井徹
- 「問題意識」をもって取り組む「天気の変化」の授業のあり方
─5学年「天気の変化」の実践─ 山川直亮
- 問題解決学習を再考する 鶴島規晃
- 小さな変化を大きく見せる教材の工夫
─4学年「ものの温度と体積」の実践を通して─ 長島弘樹
- 学校が立つこの土地はどのようにできたか
─6学年「大地のつくりと変化」の実践を通して─ 佐々木直人
「問題解決する力がつく授業づくり」を目指すことを目的に,本誌はこれまで,多くの先生方と具体的な実践をもとに交流してきた。楽しさだけを追う授業やノウハウの紹介で終わるのではなく,「問題解決」という不易の部分へのこだわりこそが本誌の特徴である。
では,そもそも問題解決の学習とはどのような学習であり,そのような学習が展開できるようになるために,我われはどのように教材研究に取り組めばよいのだろうか。このテーマを考えるとき,多くの視点がそこには存在するだろう。そして,問題解決再考というと,「問題解決の形骸化」というキーワードが出ることで,そのような授業はしないようにしようという形で話合いがまとめられていることが,これまでは多かったように思う。
しかし,本当に学習過程の形骸化だけが問題なのだろうか。このような問題意識に立って,今月号は以下の視点に焦点化して特集を組ませていただいた。
今月号の視点:
教師がその単元を通して,児童にどのような能力を育もうとしているのか明確にして授業しているか |
我われは単元を通して,「何を教えるのか」「何で教えるのか」の両面を追う必要がある。授業のなかで教師は価値観を伝えながら,児童の能力を育む必要がある。例えば3学年の「チョウを育てよう」の学習で考えてみたい。
@この単元を通して,子どもたちにどのような力をつけたらよいだろうか。(児童の実態)
⇒指導観の吟味
A「生命の連続性」について考えを深めていこう。
⇒チョウの行動には必ず意味がある(命をつなぐための行動)という見方・考え方をつけさせたいな。=育みたい能力
⇒指導観が明確になる
Bそのためには,どのような教材をどのように扱ったらよいだろうか。
⇒教材の方法の吟味
「何を教材とすることができるのか」「なぜその教材なのか」「その教材をどのように扱うのか」という視点。
C学習をどのように進めていけばよいだろうか。
⇒Bと往来しながら,児童の思考に沿った単元構成の吟味 |
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単元構成を考える場合,ほかに多くのアプローチの仕方があることを承知で例示させていただいた。今月号は,具体的な実践例をもとに,教師はどのように教材研究に取り組み,どのように授業を展開していったらよいのか考えることをテーマにした。執筆を担当していただいた先生方には,単元に対する指導観を明確に打ち出したうえで実践を紹介していただく。明日からの授業や校内研究に少しでもつなげていただけければ幸いである。
(担当/前川 良平)
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