- 6学年「電気の利用」の教材活用 教材提供:株式会社 内田洋行
- 特集キーワード 中田晋介
- インタビュー 平嶋宗氏に聞く/理科教育における工学の活用
- 活用を促す理科授業の枠組み
─ワーキングメモリの役割─ 湯澤正道
- 「活用」問題と授業化のポイント 溝邊和成
- 子どもたちの考えを深める「思考操作」に着目した指導のあり方
─A区分 6学年「てこのはたらき」─ 野ヶ山康弘
- 思考力や表現力を高め,科学の本質にもつながる教材の活用
─3学年「ものの重さ」をブロックで考える授業実践─ 尾崎尚子・菊地洋一
- 既習事項を「適用」させ,より深い理解を目指した指導について
─6学年「人や動物の体」の実践から─ 志田正訓
「活用」の重要性は,昭和22年度学習指導要領理科編(試案)においても見ることができますが,近年の思考力・判断力・表現力の育成に関わる「活用」の起源は,OECDにおいて定義されたキーコンピテンシーが深く関わっています。キーコンピテンシーの「知識や情報を相互作用的に用いる能力」が「活用」に相応します。
また,国内的には,下図(「全国学力・学習状況調査結果の活用による指導改善に向けた説明会」資料)のように,「活用」は学習指導要領が重視している「生きる力」と関わりがあり,それは,教育基本法および学校教育法の「教育の基本理念」につながっています。
これらのことから,近年,国際的にも国内的にも「活用」がキーワードとなっていることがわかります。
では,わが国の子どもたちは,「活用」についての力は,どのくらい育成されているのでしょうか。
OECD加盟国が行っているOECD生徒の学習到達度調査(PISA調査)において,わが国は,記述問題,知識・技能を活用する問題に課題が見られるという結果が公表されています。
また,今年度より実施された理科の全国学力・学習状況調査においても「活用」に関わる「観察・実験の結果などを整理・分析した上で,解釈・考察し,説明することなどに課題が見られる」という結果が発表されました。主として「活用」に関する問題の平均正答率は57.8%であり,主として「知識」に関する問題の平均正答率69.2%よりも明らかに低い正答率です。わが国では,「活用」については大きな課題があると捉えることができます。
この結果を受け,各都道府県において,活用に関わる理科授業の充実が図られていると思います。
子どもたちの知識・技能を活用する力の育成のために,活用を「適用,分析,構想,改善」と分類し,それぞれに対応する活用課題を理科授業で取り入れた実践が行われていると思います。本号は,活用課題とその効果について,具体的な実践レベルで示したいと思います。読者の皆様の日々の授業作りにおいて,参考にしていただけると幸いです。
(担当/中田 晋介)
小学校理科調査問題の枠組み 「全国学力・学習状況調査結果の活用による 指導改善に向けた説明会」資料
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