- 9月の自然のたより 写真提供:増田和明
- 特集キーワード 尾崎幸哉
- 理科教育における「批判的思考力」の重要性
─全国学力・学習状況調査 理科「改善」の枠組みから─ 塚田昭一
- 理科授業で子どもが自分の考えを「改善」するとは 坂本憲明
- 子どもの考えに寄り添いながら支援することで
子どもが考えを改善しつづける授業のあり方 辻健
- 問題解決における批判的に思考するためのポイント
─A区分 5学年「ふりこの運動」─ 佐藤弘典
- 実物から推論することで思考する力を育成する
─6学年「人の体のつくりと働き」を通して─ 本多響
- 批判的思考の足がかりとなる思考の表現と比較
─4学年「ものの体積と温度」─ 津島大輔
平成24年度全国学力・学習状況調査の「活用」に関する問題では,「適用」「分析」「構想」「改善」という4つの枠組みが示された。特に「改善」の枠組みでは,観察・実験の結果から自分の考えを見直したり,実験方法を改善したりする思考場面について課題が明らかになった。
調査結果を実際の授業に当てはめてみよう。「子どもの考えと予想される結果のつながりが曖昧で,予想と一致しない実験結果が出たのに,子どもが自分の考えによって再検討しようとしなかった」「実験の目的と方法が子どもにとってつながっていなかった」などの場面が,思い浮かぶだろう。
では,どのような視点をもって授業をつくっていけばよいのだろうか。「改善」に関する枠組みが設定された意図から考えると,次のような視点が浮かび上がってくる。それは,子どもが自分の考えをもって主張したり,妥当性を吟味したりする学習活動を充実させることにより,子どもが科学的な根拠にもとづいて批判的に思考する力を育てることが必要だ,という視点である。
そこで,本号では,「科学的な根拠にもとづいて批判的に思考する力の育成」を念頭においた授業実践を通して,子どもが自分の考えを改善できるようにするためには,どのような学習をすればよいのか,具体的な授業実践を通して明らかにしたい。
(担当/尾崎 幸哉)
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