- 1月の自然のたより 写真提供:増田和明
- 特集キーワード 佐々木昭弘
- 系統を重視した電磁気材料の指導
─3学年・磁石→5学年・電磁石→6学年・発電機─ 平松不二夫
- 小学校理科の「振り子の運動」の指導のあり方
─問題解決の能力の育成と内容の系統性を視点として─ 佐伯英人
- 学習内容の系統性を活かし,知を更新する楽しさを味わう授業
─6学年「ものの燃え方」の実践を通して─ 磯部祥生
- 「水溶液の性質」における系統性を意識した指導の工夫 有働幸江
- 「系統性の重視」から科学的思考を育てる 鷲見辰美
- 6学年「発熱」の問題から考える「電気単元」の系統性 佐々木昭弘
◆『小学校学習指導要領解説 理科編』には,「系統性」という言葉が4回(P4・5・12・13)登場する。いずれの場合も,前に「内容の」という言葉が付け加えられており,学習内容の系統性を意識して指導することの大切さが強調されている。これは,学習で獲得した知識や理論を系統立てて活用しながら問題を解決できる能力が,科学的思考力の重要な要素であることを示している。
例えば,「電気単元」は3学年から6学年までのすべての学年で設定されており,当然のことながら,系統立てて指導することが求められる。
しかし,系統性は電気単元だけに留まらない。5学年「電流の働き」では電磁石を扱うため,3学年「磁石の性質」も関連してくる。6学年「電気の利用」においては,「社会科」「総合的な学習の時間」といった他教科・他領域との連携も考えられる。さらには,それぞれの学年で示されている能力「比較(3学年)・要因との関係づけ(4学年)・条件制御(5学年)・推論(6学年)」との関連も無視できない。
では,どのように指導したらよいのか。残念ながら,その具体は極めて不明確のままである。
◆2013年8月に開かれた「日本初等理科教育研究会中央夏期講座」(2日目)において,平松不二夫氏(元筑波大学附属小学校副校長)は,3学年「磁石の性質」での学習内容が,5学年「電流の働き」につながっており,どのように活用されていくのか,飛び込み授業の事実を通して提案された。つまり,理科教育における「系統性」に対する重要な問題提起であった(「論説」を参照)。
本特集では,平松不二夫氏の提案をもとに,理科教育を「系統性」の視点から問い直す。現行の学習指導要領における「系統性の問題点はどこか?」を明確にしつつ,「どのように系統指導していけばよいのか?」,授業の実際を紹介していただく。
子どもたちの科学的思考力を鍛える「系統性の考え方」が,少しでも浮き彫りになることを願う。
(担当/佐々木 昭弘)
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