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黒炭岩手一号窯製炭法

1.窯の特徴


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1.窯の特徴

(1) 排気口

窯底から水平に窯外に通る溝を二本作り、口焚きの際、窯内の排湿排煙の用に供するとともに、炭窯上部の熱気を窯底に誘導し、窯内の温度分布を均等に導き、着火を促進する
燃材と労力の節約を図り、後に、通風口及び精錬口にも利用することができる装置である。
 しかし、蒸気乾燥の際、焚き口を作り、これによって蒸気乾燥を行わなければ、排煙口の性能を十分に発揮することができない。
 

(2) 窯の形状

窯の形状は、図1−1に示すように卵形をしている。
窯内の熱対流を考慮するとともに、炭材立て込み、製炭操作及び出炭作業が容易にできるような形状となるように考案された窯である。

図1−1 岩手一号窯の構造

(巾 1024pixel 27KBの拡大表示は図上をクリックしてください)

窯の形状図1−1

(3) 炭化進行状況

岩手一号窯は、排気口の作用(排湿排煙)により、窯内の湿気が排煙口付近に集中するため、排煙口付近の炭化は遅れると思われる。 そのため、排煙口付近の炭化率が少なくなる。

製炭業者は、炭窯を操作する時、常に「煙道口の引き」(煙が窯内を自然に巡り、良好な炭化結果 がえられるかどうか)に苦心・研究をしている。

 では、「引きのよい窯」とはどんな窯をいうのか。
すなわち、いったん着火して自然炭化が始まると、煙は煙道口から排出されるが、一部が煙道口の逆側にある窯口の方へ戻って、通風口から吹き出す。
この現象のある窯を「引きのよい窯」という。この現象は、炭化終了期に近づくほど、顕現するものである。獣が敵を威嚇するときに発する唸り声によく似た音である。

「引きのよくない窯」(煙道口を絞っても、緩めても、または、通風口を開放してもガスの動きが見られない。通風口に煙が戻ってこない窯)では、精錬時にみるみる炭材が灰化して、灰被りとなってしまう。

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