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Ruralnet・農文協食農教育2001年10月号

食農教育 No.16 2001年10月臨時増刊号より

体験先の調査から
地元の地域環境を見つめ直す

滋賀・湖北町立湖北中学校

 本校は、平成元年度に県の環境教育実践推進校の指定を受け、環境教育を中心とした実践を積み上げてきた。とくに、3年生の選択に「環境科」を新設し、環境に関わる課題を理科を中心に技術・家庭科、社会科で、生徒が主体的に学習を進めてきた。新教育課程への移行に向けて、この取組みを「総合的な学習」の中に組み入れられるように検討を重ねている。

「環境学習」+「ふるさと学習」で総合を

 本校では、総合的な学習のテーマを「環境学習」「ふるさと学習」に絞り、次のような計画で実践することとし、平成12年度より、実践を始めている。

[1年での学習]地域環境との関わり

 ・基礎講座として、学習を進めるための基礎的な技術および知識を習得する。・地域環境の実態を「ごみ調査」をするなかで調べ、発表する。

[2年での学習]地域の人との関わり

 ・長野「飯田市」で、環境およびふるさと学習に繋げる体験的な学習をする。・基礎講座として、「環境科」で行なう課題解決方法(研究の進め方)を学習する。

[3年での学習]卒業研究

 ・選択で「環境科」を履修し、この学習の発展として、「ふるさと学習」につながる卒業研究を行なう。

天竜川で酸性雨と大地の影響を調査する湖北中学校の生徒たち

外へ出て地域を見つめ直す

 郷土を知る1つの方法として、外へ出て他の土地の人びとの生活にふれ、郷土を愛する心を学ぶことで、自分の郷土を見直すきっかけになる。飯田での体験学習は、(1)自然体験・環境体験と(2)地場産業体験・伝統工芸体験の2本立てで行ない、(1)では、グループ別に各体験フィールドで長野の自然について学習をした。各コースには、インストラクターがつき、プログラムに従って、いろいろな体験をすることができた。

 下の写真は、「(天竜川で)酸性雨と大地の影響を調査する」という飯田での調査学習の様子である。天竜川の上流は、諏訪湖の影響を受け、また本流は支流から入る個々の汚染物のために、汚染が進行している。この体験により、現状をしっかり分析し、地域のみんなで環境を守る必要があることがわかる。

我々の住んでいる滋賀県の琵琶湖も、年々富栄養化が進んでいることから、琵琶湖を守るためには、琵琶湖に流れ込む河川の浄化が必要だ。3年生では、この体験を生かし、ふるさとを守るために、私たちが何をすべきか、各自がしっかり学習し、「卒業研究」に結びつけてくれればと思っている。

(〒529―0341 滋賀県東浅井郡湖北町速水1191)文責・居川幸三

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