「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2008年3月号
 

食農教育 No.60 2008年3月号より

「緑のカーテン」の二酸化炭素吸収量を計算する

高知・香南市立野市小学校 野村貴子


算数と環境学習を関連させる

 本校は環境省の学校エコ改修と環境教育モデル事業の指定を受け、環境教育に取り組んできています。

 そのなかで特に、算数で学んだことを環境学習で積極的に活用することを研究の視点としています。子どもが算数で学んだことを日常生活のなかで使ったり、数値をもとに考えたりすることで、子どもは学習内容をより確実に理解し、活用できると考えています。また、算数以外の教科や学習も、相互に関連させて学ばせることで、学んだことを日常的に活用する力を育成したいと考えています。

 平成十八年度から、子どもは「緑のカーテン」に取り組んでいます。最初に私たちの住む「香南市」で、どの植物が栽培に最適か調べてみました。ヘチマ、ヒョウタン、ツルレイシ、アサガオ、ヤマイモ、キュウリ、イリオモテアサガオ(和名・ノアサガオ、ヒルガオ科)を植えましたが、一番元気に育ったのはイリオモテアサガオでした。そこでイリオモテアサガオを、校舎の南面に栽培していきました。

 葉が茂った平成十八年八月には、カーテンのあるなしで、どのくらいの温度差があるか調べてみました。すると室外のカーテンの表と裏で最高一〇度、室内では平均二度違いました。子どもは水やりをすることを通して、表と裏の気温差を実感しました。昨年の学習は、「緑のカーテン」はこのような効果があることがわかった時点で終わりました。

 平成十九年度、子どもたちは六年生になり、緑のカーテンに継続して取り組みました。イリオモテアサガオは宿根性の多年草なので、春にはまた芽が出てきました。挿し木で簡単に増えることもわかりました。

面積を割り出して二酸化炭素吸収量を計算

・ビニルテープを垂らして縦の長さを測る
・メジャーで横の長さを測る

 七月になり、算数の「およその面積」の学習で、学校の緑のカーテンの面積を出してみようということになりました。そこで、学校の緑のカーテンを実測し、概形を決定して面積を求め、その後、二酸化炭素吸収量を計算しました。植物の二酸化炭素吸収量の係数はいろいろあり、イリオモテアサガオの場合、どの数値を用いたらよいか迷いました。結局、係数は三・五kg(一m²当たり・年間、植物一般の平均値。『大気浄化植樹マニュアル』独立行政法人・環境再生機構、七一頁表Tより)というデータをインターネットで調べ、使いました。

 計算の結果、学校全体で一年間に一四九一kgの二酸化炭素を吸収することがわかりました。この量は、人間が一日に一kgの二酸化炭素を排出していることから考えると、大変少ない量であることを知り、子どもは驚いていました。しかし、授業後の感想は、「たとえ少量でもカーテンがあるのとないのでは違う。環境にやさしいことを広げよう」という感想が多かったです。子どもの問題追究活動を大切にして、意欲が継続できたと考えています。

緑のカーテンの二酸化炭素吸収量を求めよう

(1)身の回りの物を基本図形としてとらえ、およその面積を求める方法を理解する。(算数)

(2)緑のカーテンの広さを実測する。縦と横の長さをメジャーやビニルテープを用いて測る。(総合的な学習)

〈計算のやり方〉

基本図形としておさえ、実測しておよその面積を求める。

長方形として考えれば 縦□m × 横□m

二酸化炭素吸収量3.5kg(1m²当たり・年間)として年間の二酸化炭素吸収量を計算する。

二酸化炭素吸収量3.5kg × 緑のカーテンの面積(m²)= 年間CO2吸収量(kg)(算数)

(3)緑のカーテンを地域へ広げよう。
香南市庁舎、ふれあいセンター、町の人などへ。(総合的な学習)

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