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農文協
食農教育  
農文協食農教育2010年7月号
 

食農教育 No.75 2010年7月号より

意外に知らない大豆のマメ知識

編集部

 毎日の食卓に欠かせない大豆。教科書などには、日本の大豆の自給率は五%と書いてある。私たちにとても身近な食材なのに、どうして自給率がこんなに低いのか? いつからこうなってしまったのか?

大豆の七割は油をしぼる原料

 じつは、日本で消費される大豆の七割以上は、油をしぼる原料だ。大豆の国際価格が高騰した平成十六年以降、一部がナタネ油に置き換わったが、現在でも年間三〇〇万t以上が油の原料として使われている。

 製油用に次いで多いのが食品(油以外の加工食品)用で、約一〇〇万tを占める。内訳は豆腐が四八%、味噌・醤油が一七%、納豆が一二%などである。

 そのほかに、飼料・種子用などに約二〇万tが利用されている。

明治時代から日本は大豆の輸入国

 日本に大豆が輸入されるようになったのは明治二十年代後半のこと。畑の肥料として使う油粕用に、中国や朝鮮から大豆が輸入されるようになったのだ。その後、輸入大豆は食用にも使われるようになり、戦前に輸入量が最も多くなった昭和十三年には、大豆の自給率は約三二%にまで下がっていたという。

 用途別の消費量をみると、味噌や醤油、豆腐などの食品用が多かったなかで、明治四十年には一・四%であった油粕用が、昭和十二年には二一・六%に達し、味噌や醤油とほぼ同じ量になっている。当時は、油は油粕の副産物にすぎなかったのだ。

 食生活の変化によって油の消費量が増えた戦後は、その原料に適した脂肪分の多い品種の大豆をアメリカなどから輸入するようになった。現在では、油用と食品用あわせて四〇〇万t以上の大豆が輸入されており、主な輸入相手国はアメリカ、ブラジル、カナダ、中国などである。

国産大豆はほぼ全量が食品用

 国産大豆の生産は、昭和三十六年の大豆の輸入自由化以降、輸入関税が順次撤廃されたことなどにより、減少の一途をたどった。近年は、水田の転作などによって生産量はわずかながら増える傾向にあり、平成十九年度の生産量は二二万tあまりとなっている。

 国産大豆は、味のよさや安心感で評価が高く、ほぼ全量が食品用として消費されており、食品用大豆だけをみれば、国産が約二割を占める。食品別にみると、豆腐の二五%、納豆の一九%、味噌・醤油の九%、煮豆・総菜の八四%は国産大豆となっている。

〈主な参考資料〉
 農林水産省・大豆のホームページ
 農文協『農業技術大系(作物編)』



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この記事の掲載号
食農教育 2010年7月号(No75)

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