食農教育 No.78 2011年1月号より
泥であそぶ
土で絵を描く!
東京・板橋区立高島第五小学校
えっ!? 土で絵が描けるの?
台所にある道具を使って、かんたんに描けちゃいます。
しかも、誰が描いても芸術的!
エゴコロのある、なし、うまい、へた、関係なし。土の色は「茶色」でない!?
校舎の四階まで届く緑の大カーテンを育てている、板橋区立高島第五小(二〇一〇年七月号参照)では、毎年秋に、「土で絵を描く」図工の授業を実施している。植物を育てるだけでなく、芸術的な土の絵を描くことで、「汚い」「みんな茶色」と思っている土のイメージを一変させるのだ。
まず、学校横にある公園で土を採取。持ち帰った土は、乾かしたあとに図工室で細かく砕いて、ふるいにかける。すると、なにげない土がパウダー状の美しい粉に変わっていく。変化のようすや色彩の豊かさ、手触りのなめらかさを直接感じとり、子どもたちは夢中になって粉をふるうという。
そして、ヤマトのりを水で溶き、粉を混ぜれば、土の絵の具ができあがり。あとは、思い思いに絵を描くだけなのだが、不思議と、どの子の絵も、それぞれの個性が表われ芸術的なのだ。
図工室でお絵描き 両手で豪快に。気持ちいい! 誰でも芸術家になれる いろんな色をみつけたよ! 同じ場所でもこんなに色がちがう 学校横の公園で、いざ土探し
土で絵を描く!
やってみよう!土でお絵描き
用意するもの
スコップ、ビニール袋、乳鉢と乳棒、
大きめの茶こし、ヤマトのり、絵皿
矢島江里撮影、以下も手順1 土の粉づくり
1.見近な場所で集めた土を、30分〜1時間くらいかけて乾かす
2.乳鉢を使って土を砕く。小さめのボールとすりこぎでもOK
3.茶こしでふるって、粒の大きさをそろえていく。粒が大きいほど濃く、小さいほど淡くみえる手順2 土の絵の具づくり
1.容器にヤマトのり(液体ニカワ、木工用ボンドでもOK)を入れて水で溶く
2.ふるった土にのりを混ぜていく
3.指で絵を描く。タワシやスポンジなど、身近なものも使ってみよう
インタビュー
環境教育プランナーの金田裕子さんとともに、毎年、高島第五小で「土で絵を描く」授業のゲストティーチャーをしている、松原雅裕さんにお話を伺いました。
Profile ― 松原雅裕
デザイナー。博物館などの社会教育施設から、自然公園、地域づくりまで、そこに住む人々の生活の場での「学びの場」を提案している。ぼくは子どものとき、授業中にじっと座っていられなかったんです。ずっと劣等生のレッテルを貼られ、学校に否定され、自衛の手段として暴力を使ったりもしました。ただ、ラッキーだったのは、高校があった飯田橋には、編集事務所が多く、そこでアルバイトをして、好きなデザインの仕事をさせてもらえたこと。ふだんはじっとしていられないけど、好きなこと、モノをつくることには集中できるんです。編集事務所では、ダメならダメといってもらえるし、いいものは認められて、しかもお金までもらえる。そりゃ楽しかったですよ。
土で絵を描くワークショップでは、「学ぶ力」を身につけてほしい。じっと座って受け身でお勉強するのではなく、外にでて立ち止まり、ふだん見過ごしている土にも「こんなに色があったんだ!」、と不思議をみつける目を開いてほしい。土の絵の具ができたら、指で描いたり、タワシを使ったり、葉っぱをのせたり……。どんなものでも、工夫次第でオリジナルな絵に使える。自分で発見してやってみる。それが学ぶ力、人生をよくしていく力につながっていくと思うんです。
松原さんが全国から集めている土コレクション。青、ピンク、紅、黄色、紫の土!
東京の同じ場所から採取した、年代のちがう土
この記事の掲載号『食農教育 2011年1月号(No78)』特集1 泥あそび&堆肥づくり 土とあそぼう
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