食農教育 No.81 2011年7月号より
農業機械まるわかり! vol.1 管理機
大分・日田市 石橋幸輝(15歳)
「小学校3年生のときから使ってます」筆者(岡本央撮影)
横からみた1輪管理機(倉持正実撮影、以下表記のないものすべて)
狭い畑でいろんな作業をこなしてくれる
ぼくの家は農機具を販売したり修理する農機具屋です。家の田んぼも2haあって、6月にはお客さんの田植えの作業を受託したり、秋にはイネ刈りやモミの乾燥なども受けています。
ぼくは機械はなんでも好きなので、小さいときからいろんな農業機械を運転させてもらっています。今回は、管理機について、ぼくの知っていることを書きたいと思います。
管理機は(小型の)歩行用トラクタともいわれています。トラクタと同じで、いろいろな作業機をつけ替えて動かすことができます。畑を耕したり、ウネ立てや除草作業、なんとマルチ張りもできてしまいます。ぼくも管理機に培土板をつけてウネを立てたり、ゴボウの畑をカルチベータという作業機をつけて除草作業をしたりします。
でも、一番よく使うのは、ロータリという作業機をつけて耕す作業です。広い畑はトラクタを使いますが、やはり家の前の狭い畑とかでは、管理機が便利です。
まっすぐきれいに耕すコツ
管理機には、車輪に耕うん爪が直接ついているもの(上の写真)と、タイヤつき(1輪、2輪)のものとがあります。どちらも、まっすぐきれいに耕すコツとしては、土の硬さや耕す深さにあわせて、しっかりと抵抗棒をきかせることです。管理機は小さいので、ロータリの爪が進行方向に回転(正転といいます)すると、本体ごと前に押しだされてしまいます。そこで、抵抗棒で抵抗をかけ、走行を安定させます。深く耕したいときは、抵抗棒の位置を上にあげ、浅く耕したいときは、下にさげます。
硬い土のばあいは、ロータリの回転方向を逆転にします。正転だと、爪が土に十分食い込みきれないまま、管理機が進行方向に押しだされてしまうからです。ロータリを逆転させると、進行方向と反対に力がかかるので、じっくりゆっくり土を耕すことができるのです。最近では、より安全に、きれいに耕せるように、外側の爪は正転し、内側の爪は逆転するようなロータリもあります。
宿題がたまったときのストレス解消に
ぼくは、小学校3年生くらいから管理機を使えるようになりました。Uターンするときには、ハンドルをもちあげなければなりませんが、そのとき、体の前で爪が高速で回転しているので、「とくに注意するよう」お父さんから指導されてきました。
でも、管理機は軽量でいろいろな作業ができて小回りもきくので、こども、女性、お年寄りと、誰でも簡単に使うことができますよ。最近は、前に爪がついているタイプもあります(40ページ写真)。Uターンしやすいように、ハンドルの高さを簡単に調節できる装置もついているので、女性やこどもにも扱いやすいと思います。鍬やシャベルで耕すのはたいへんですが、管理機ならあっという間に耕すことができるので便利ですし、運転するのがとてもおもしろいです。ぼくは、夏休みの宿題がたまったときとかのストレス解消に、ちょっと畑に行って管理機を運転したりしてきました。
最近は燃料がガソリンではなくて、家庭用のガスボンベで使える管理機もあります。燃料を入れるときに、手が汚れたり、燃料を携帯缶で買わないですむので便利のようです。
いろいろな耕うん爪
標準の爪
ロータリのカバーと同じくらいの幅にまんべんなく爪が並ぶ。広い範囲から土を巻きあげられる(編集部撮影)
ネギ用の爪
狭い範囲にうねりのついた爪が並ぶ。何度も土寄せするうちに狭くなるネギのウネ間に入っても、しっかり土があがる
スターロータ
硬い土では食い込みがよく(すぐに土の中へ入っていく)、軟らかい土では深く沈まない
こんな作業もできる!
培土板をつけてウネを立てる
耕うんしながら溝を掘っていく。簡単なウネをつくったり、排水をよくする
レーキをつけて整地する
耕しながら土をならして、作物を植えやすくする
マルチ(ビニール)張りも!
ハンドルを180度回転させて、ロータリのうしろにマルチ張り用の作業機(マルチャー)をつける。耕してウネをつくりながら、マルチも張れる
耕うん機と管理機のちがい
(結城登美雄撮影)
耕うん機は、ぼくはあまり使ったことがありません。管理機よりも大型で、昔はほとんどの家で使っていたと、お父さんがいっていましたが、いまは、面積が広い畑は耕うん機ではなくトラクタを使うことが多くなっています。
また、耕うん機は、管理機とちがって、いろいろな作業機をつけ替えることはなく、ロータリで耕すのが中心です。ただ、写真のようにトレーラをつけての荷物運びにも使っていたそうです。いまなら軽トラックを使うでしょうが、これものんびりと優雅(!?)で楽しそうですね。
『現代農業』2011年5月号「管理機名人になる!」もご覧ください(編集部)
この記事の掲載号『食農教育 2011年7月号(No81) 新装刊『のらのら』準備号』特集 こども農業はじめよう
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