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第5回 給食をおいしそうに撮る

 毎日の給食をデジカメで撮影し、保護者や地域の人向けにホームページで発信する学校も増えてきた。地産地消、地場産給食がすすむなかで、食材や味にこだわった給食も多くなった。でも、給食の写真はどれも通りいっぺんの味気ないものに見えてしまうことが多い。また、画像処理がうまくいかず、画面全体が黄色になったり、青っぽくなったりすることもしばしばだ。これではせっかくの給食がおいしそうには見えない。以下、デジカメで給食を撮影するときのコツを解説する。

※画像をクリックすると拡大表示します。

コツ1 ホワイトバランスを取る

同じ白でも、太陽光、白熱灯、蛍光灯など、光の種類によって見え方がちがってくる。白いものがちゃんと白く写るように色を補正する機能がホワイトバランスだ。デジカメによって操作方法の違いはあるけれど、マニュアルを見て「ホワイトバランス」の操作をしっかり身につけよう。購入した状態では、「オート」の設定になっていて、通常はそれでいいのだけれども、教室内での「モノ」の撮影のときには適切なホワイトバランスに設定をし直さないと、正しい色がでない。


コツ2 撮影は窓際で、ワイドズームは使わない

ホワイトバランスをできるだけ操作しなくてすむようにという目的と同時に、おいしそうに撮るためには、少しでも明るいところで撮影するように心がけよう。
また、「ワイドズーム(広角)は使わない」 というのも鉄則だ。ワイドズームを使うと、被写体がゆがんで正確な形が表現できなくなる。教室内は意外に「引き」(被写体との距離)が取れないことも多いけれども、少なくとも1mは離れて撮影したい。


撮影のようすを真横から見たところ。
窓を背にして被写体を配置する。背景は特に必要ない。デジカメと被写体の距離は約1m。この程度にすると、ワイドズーム域ではなくて標準ズーム域での撮影になるので、被写体の形がゆがまない。。

カメラの側から被写体を見たところ。
被写体を50度以上の角度で見下ろすようにデジカメをセットしよう。

コツ3 メニューは全部写さない

よくやる失敗に、「見えているものを全部写す」というのがある。写真は引き算。メインのメニューをでっかくしっかりと画面の中に写し込んで、ほかのものはできるだけ省くように意識しよう。


食器の縁など切れてもかまわないので、思い切ってクローズアップで撮影しよう。カレーをメインにその周りに寄せて配置する。通常ありえない配置なのだけれども、写真にすると不自然には見えない。


見えているもののすべてを写すと、つまらない写真になる。子どもたちの大好きなカレーだけれども、そのうまさがつたわらない。
※お茶碗の形に注目。ワイドズームで撮影しているので、被写体の形が少しゆがんでいる。

コツ4 盛付けや教室内のようすもさりげなく

公開する写真の場合には、児童生徒のプライバシーに配慮しつつも、配膳のようすや盛付け風景なども撮影しよう。このとき教室内のようすなどもさりげなく写しておくと雰囲気を伝えることができる。また、非公開の印刷物などにする場合であれば、児童生徒の表情などもふんだんに取り込むと楽しい写真になる。


縦位置写真を覚えると、画面に変化がつく。
 

メインのカレーの容器をでっかく配置して、その上を行きかう手の動きを中心に撮影すると、生き生きとした盛り付け風景が撮影できる。
WEBで公開する写真の場合には、プライバシーを最大限重視しよう。

配膳が進んでゆく教室の机のようすなども合わせて撮影しておこう。
非公開の印刷物などでは、児童生徒の表情などもふんだんに撮影しておくとよい記録になる。記録だけではなく、非常に懐かしい思い出にもなる。
 
▼メニュー撮影の見本写真
 給食の撮影に限定せず、一般の料理の撮影の見本写真を紹介します。
 

取材協力:
すずきっちん http://www.suzukitchen.com/
菓子工房友  http://www.egg-risuke.com/you/

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