学校図書館を総合的な学習の情報センターに

学校図書館整備を推進する「NCLの会」の取り組み

 「NCLの会」は1992年に活動を開始した、学校図書館巡回販売グループである。学校図書館への販売は出版社がグループをつくり共同で販売していくという歴史があり、出版社は新年度にあわせ新しい商品(書籍・絵本)を発行していく。このグループの最大手は「児童図書10社の会」(ポプラ社・金の星社・偕成社など児童書の老舗)、そして「クリーンブックス」「CBLの会」「Lグループ」など大小さまざまなグループがある。

 今から9年前に「NCLの会」は旗揚げをした。Nature Child Library(自然と子どもたちを結ぶ会)の略称である。事務局を農文協におき、講談社・小学館・岩崎書店・PHP研究所・汐文社・さえら書房・評論社・ほるぷ出版・旬報社の会員社と朝日新聞社・全国学校図書館協議会・星の環会 などのスポット社あわせて25社で構成されていた。(「NCLの会」の歩み)

NCLの会の特徴
 「 学校の3階の1番はじの教室で鍵のかかった」学校図書館という状況をなんとか変えたい、学校図書館を学校の学習・情報センターにすることで「調べ学習」「総合的な学習」などの教科を横断した学習が可能になる、という理念の元にカタログに掲載する選書を厳密におこなっている。

1. キーワード別選書 学校図書館向けカタログのほとんどは「新刊」「既刊」「教科別 」という分類方法での掲載がほとんどであるが、「NCLの会」のカタログは〈時代性と欲しい本の分野〉を魅力的な〈キーワード〉でくくって紹介している。今年度は、
・特別企画 ミレニアムを超えて…平和の文化国際年
・総合的な学習を創る
・2000年は「子ども読書年」…本好きを育てよう
・ 「生きる力」を育もう
という、キーワードで分類している。そして特に「総合的な学習の時間」に役立つ体験や実験、調べ学習分野の本やCD―ROMを充実させた。2002年度から開始される新学習指導要領(今年度から移行期間)に例示されている4分野(国際理解・情報・環境・健康福祉)はもちろんのこと、先生が学校や地域の特性に応じて多様に発想を広げながら授業を「創れる」ようなヒント集になるように配慮した。例えば「食農教育」「学校農園」「英語文化学習」「健康学習」から、「みんなで楽しむ音楽・劇・からだあそび」「特別 活動・友だちをつくろう」などのサブキーワードを設定し、多彩な資料を紹介している。
(そのために掲載商品とスポット出版社を毎年入れ替えしている)

2.「NCLの会」のカタログには585セット(約3000冊)の商品が掲載されている。この商品が事務局である農文協のストックヤードに保管されている。

 通常、図書の注文は各学校から地元の出入り書店に出され、それが書店から各出版社に流される。各出版社はそれぞれ発注された学校分として書店に商品を届けるが、各社バラバラ入荷しているのが現状である。その状況を変えるべく、NCLの会では書店に一括送品(各学校別 )を開始した。また、その際セット商品でも明細がわかるように明記した書類が内訳書として添付されている。この一括送品と内訳書があることにより、書店の労力が削減され大変好評である。学校現場にも各単品の図書台帳をサービスしている。書名・著者名・金額・NDC(十進分類)を明記した台帳で、学校の図書台帳にそのまま転記することもでき、またファイリングして管理することも可能である。 このように「NCLの会」は、物流と管理を考え活動している。

3. 全国には書店も公立図書館もない町村が720町村ある。学校図書館法により学校には図書館が設置されてはいるが、充分には情報が届いていない状況である。「NCLの会」は〈どんな地域の子どもにも、どんな手だてを使っても、最良の図書館資料を届けよう〉を合言葉に、1998年からホームページをたちあげた。今後、全学校にはパソコンが配備されインターネットが接続されることになる。いつでもNCLのホームページを検索して図書の選書や各種情報が入手できる。また、書店のない地域では「ブックサービス 田舎の本屋さん」により学校に直接選書された本を届けることも可能である。