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農文協増刊現代農業>わが家と地域の自給エネルギー_編集後記

もったいないから おもしろいから わが家と地域の自給エネルギー

現代農業2004年5月増刊

【編集後記】

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 いま農山村では、都市に先行して「第二次エネルギー革命」が進んでいる。かつての「第一次エネルギー革命」は、エネルギーを自給していた農山村を消費地へと変えた。化石燃料や電力は、それまで地域ごとに多様であったエネルギーを画一化し、多様なエネルギーによって生きる暮らしを「遅れたもの」「不便なもの」と思い込ませた。それはまた農山村に暮らす人びとに「ここには何もない」と思い込ませ、農山村を去らせる原因にもなった。

 いま農山村で静かに進行し、広がっている第二次エネルギー革命とは、農山村に暮らす人びとによる「エネルギーの自給」の取り戻しなのだが、かつての自給とはふたつの点で異なっているようにも思える。

 ひとつは、その多様性がかつての時代よりも豊かになっているように感じられる点。本誌冒頭の佐藤由美さんの記事のように、エネルギーの源は風や光だけでなく、雪にまで広がっており、エネルギー自給に取り組む地域では、「足元への大航海時代」が始まっている。もうひとつは、農家や農山村の自給にとどまらず、一般家庭やまちにもエネルギーを供給したり、その循環の輪の中に組み込んでいる点である。朝市や直売所のような「自給の社会化」が、エネルギーの面でも起きている。いずれにしても、自給によって農山村は自信を取り戻し、その自信をもって都市に暮らす人びとに新たな働きかけを開始しているようだ。

「自給による自信」――それは自給こそが自然と人間、人間と人間が調和した平和な暮らしを実現するという自信である。農村から都市への新たな働きかけとは、佐藤由美さんの文章を借りれば、都市に暮らす人びとに、つぎのように呼びかけることである。

「私たちは、地域にあるものを生かすだけで、石油のための戦争で多くの人の命を奪うことなく、澄んだ空気を吸い、きれいな水を飲み、大地に働きかけて育てたものを食べ、健康に暮らすという豊かさを手に入れることができる。そのために、地域にあるあらゆるものを耕して、エネルギーをつくりだそう」(甲斐良治)

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