月刊 現代農業
ルーラルネットへ ルーラル電子図書館 食と農 学習の広場 田舎の本屋さん

facebook twitter Google+

(依田賢吾撮影)

モミガラがいいのは、今や常識。
生で大量に使う人。
発酵させて少量で菌力アップさせる人。
培土の代わりに、畜舎の敷料に使う人……。
どんどん広がる農家のモミガラ活用。
その勢いは、もう誰にも止められない。

発酵モミガラを簡単に作る

光合成細菌と米ヌカで簡単発酵モミガラ

京都・森島範紘

1週間で茶色く変化

 京都府南部の城陽市で、イチジクや花(カラーやハナショウブなど)、水稲を栽培しています。水稲の面積は160aあって、モミガラは毎年、秋に田んぼで焼却処分していました。

 去年、『農家が教える光合成細菌とことん活用読本』(農文協)を読んで、光合成細菌を使ってモミガラを堆肥のように使う方法を知り、試しに発酵させてみることにしました。

光合成細菌と米ヌカで発酵させたモミガラ。1週間で菌糸がビッシリ

 やり方は非常に簡単です。100リットル入る桶を用意して、モミガラを詰め込み、それぞれに光合成細菌を100倍に薄めて入れてドブ漬けにします。2日くらい放置したら桶をひっくり返して、モミガラを畑にぶちまけ、米ヌカ(モミガラ400リットルに対して100リットルくらい)を混ぜ込んで山積みにします。

 発酵を促すため、モミガラの山の上から尿素(同20リットルくらい)をパラパラとまいて、上からビニールを被せておきます。途中2回くらい切り返して、今度は1週間ほど放置。モミガラの色が変化したら完成です。

 たった1週間ちょっとで、モミガラが茶色く変化。米ヌカを混ぜていることもあって、ヌカ床のような発酵したいい匂いがします。また、生のモミガラは水に浮きますが、出来上がった発酵モミガラは水に沈むようになりました。吸水性が短期間で上がったということだと思います。

 最初は4桶、計400リットル分作りました。本には、さらに大量に作る方法として、できた発酵モミガラをタネにして、上から生モミガラを被せておくやり方が紹介されていましたが、うちではなぜかうまく発酵せず、失敗でした。

自家培養している光合成細菌(右)。左は同じく自作のえひめAI。安く自作できてジャンジャン使える微生物資材が好き

イチジクに有機物マルチ

 イチジクは露地栽培の他、ハウスでポット栽培にも取り組んでいます。出来上がった発酵モミガラは、そのポット栽培のイチジクの株元に、培養土が見えなくなるくらいにかぶせています。発酵モミガラによる有機物マルチです。

 ポットは乾燥しやすいので毎日かん水しますが、発酵モミガラは吸水性があるので、そのまま水が沁み込んでいく感じです。乾燥を防いでくれて、高温対策にもなり、もちろん抑草効果もあるため、除草の手間も省けています。

 昨年植え付けたイチジクでは、一部のポットにしか発酵モミガラマルチをできませんでしたが、やっていないポットと比べると、やはり生育がいいような気がします。今年植え付ける予定のポットは、すべて発酵モミガラでマルチングする予定です。

 モミガラはたくさんあるし、光合成細菌も安くて手に入りやすい材料を使って、ジャンジャン自家培養しています。

100リットルの桶に生モミガラを詰めて、100倍に薄めた光合成細菌液に2日間浸す

 ハウスでのポット栽培に、軽くて運搬しやすいモミガラマルチはとても相性がよく、今後も改善を重ねながら、どんどん活用していきたいと思います。

(京都府城陽市・森島平兵衛農園)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2018年11月号
この記事の掲載号
現代農業 2018年11月号

特集:農家のモミガラ大活用
イナワラをうまく集める、高く売る/野菜:ハロウィン需要をねらう/果樹:選果・貯蔵のワザ/針葉樹でキノコ/子牛が変わるエサのやり方/煮豆・煎り豆・打ち豆/トマトの価格下落に ハウス農家の適正規模を考える 後編 ほか。 [本を詳しく見る]

農家が教える 光合成細菌 とことん活用読本 農家が教える 光合成細菌 とことん活用読本』農文協 編

熱帯魚屋さんなどで目にする水質改善などと書かれた赤い液体,それが光合成細菌の菌液だ。高価な菌だが,田んぼや沼などの泥から採取でき,自分で培養できる技術が広がるようになって,液肥に堆肥つくりに,消臭などに広く,その菌液パワーが大きな話題を呼んでいる。最近,光合成細菌が放射性物質を吸着するや海までも浄化する力をもっていることが報告され,これまでの農業や廃水浄化などの分野を超えて注目を集めている。この本は,光合成細菌の素顔,高価な元菌を自分で採取・増殖する技,使い方まで集大成。巻末論文は必見! ★『現代農業別冊 光合成細菌』を単行本化したものです。 [本を詳しく見る]

光合成細菌 採る・増やす・とことん使う

田舎の本屋さん 

もどる