編集部 撮影:岡本 央
長野県小川村は、豊かな畑作の知恵にあふれた山間の村。「大麦を作付けた次の年は、小麦を作付けたもんだ。大麦の根が土を耕してくれるからね」と小林良一さんが教えてくれた。よく見ると小麦のウネ間に何か植えてある。小豆だそうだ。ほかに黒豆もまいてあった。たくみな土地の利用術だ。
吉田とし子さんと小林良一さんが、小麦づくりを復活したのは10数年前。農薬で体調を崩した小林さんが、一里四方の産物で食をまかなう「身土不二」の一環として、小麦づくりをはじめたのに吉田さんも共鳴したのだ。5年前に大病した小林さんは、この小麦畑でとれた粉でつくったおぱんぱ(小麦粉に味噌・ネギをこね入れ焼いたもの)で、体力を回復した。小林さんと吉田さんの麦畑は、まさに「生命の畑」だ。