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Ruralnet・農文協食農教育2002年9月号

 小麦畑を復活して地粉料理を楽しむ 

小麦の穂波は生命のうねり

編集部
撮影:岡本 央

長野県小川村は、豊かな畑作の知恵にあふれた山間の村。「大麦を作付けた次の年は、小麦を作付けたもんだ。大麦の根が土を耕してくれるからね」と小林良一さんが教えてくれた。よく見ると小麦のウネ間に何か植えてある。小豆だそうだ。ほかに黒豆もまいてあった。たくみな土地の利用術だ。
吉田・小林さんの畑で栽培している麦
2001年11月初めは種
2002年6月19日撮影
  ハルユタカ
 
ハルユタカ
パン用小麦。「この麦でおぱんぱをつくって、村の特産にしたい」と吉田さん。
  シラネコムギ
 
シラネコムギ
うどん・おやき用小麦。吉田さんは、この小麦でおやき・おしんのめをつくってくれた。
  イガチクオレゴン
 
イガチクオレゴン
うどん・おやき用小麦。
  大麦(ミノリ)
 
大麦(ミノリ)
味噌つくりの麦麹、麦茶、麦こうせん(大麦を煎って粉にしたもの)として使う
 
左がハルユタカ、右がイガチクオレゴン
 
左がハルユタカ、右がイガチクオレゴン。
ハルユタカのウネ間には小豆がまかれている。



麦畑は生命の畑

吉田とし子さんと小林良一さんが、小麦づくりを復活したのは10数年前。農薬で体調を崩した小林さんが、一里四方の産物で食をまかなう「身土不二」の一環として、小麦づくりをはじめたのに吉田さんも共鳴したのだ。5年前に大病した小林さんは、この小麦畑でとれた粉でつくったおぱんぱ(小麦粉に味噌・ネギをこね入れ焼いたもの)で、体力を回復した。小林さんと吉田さんの麦畑は、まさに「生命の畑」だ。

 

吉田とし子さんと小林良一さん
吉田とし子さん(手前)と、小林良一さん(奥)。大麦畑で。
 
昭和30年代のはじめ現在は森になっている斜面は、尾根までつづく小麦畑だった
 
昭和30年代のはじめ、吉田とし子さんが、小川村に嫁いできたころ、現在は森になっている斜面は、尾根までつづく小麦畑だったそうだ。

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