「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2006年5月号
 

食農教育 No.48 2006年5月号より

トマトには、タネがいっぱい詰まっているもの(左)と、ごく少ししかタネがないもの(右)とがある。前者は、マルハチバチなどによって受粉させたトマトで、後者は着果剤を使って実をつけたトマトだ

■タネって食べものだったんだ

台所の食べものからタネを探そう

―本当に育つの?―

構成・文 編集部
写真 赤松富仁

監修 三浦周行(東京農業大学農学部)

タネが“たくさん”と“少し”のトマトがあるよ

 台所にある食べものの中から、タネを探してみよう。すぐにわかるものから、「これがタネ?」というものまでいろいろある。でも探し出したタネから、本当に芽が出るのだろうか?

<2月24日> 水を含ませた脱脂綿にトマトのタネをまいた

市販のタネ(A)、いっぱい詰まっていたタネ(B)、少ししか詰まっていなかったタネ(C)

<3月5日> 芽が出てきた

Aは芽があまり出てこない
B、Cは同じくらいの勢いだ
Bを拡大 ▲伸びてきたのは何だろう。茎のようだが……

<3月18日> 双葉が出てきた

A:伸びがわるい。まくときタネがとても乾燥していたので、吸水するのに時間がかかったのだろうか
B:全部のタネが発芽し、いちばん勢いがある
C:ヒョロヒョロと伸びた感じ。ついに発芽しなかったタネもある

落花生は植物のどの部分を食べているのか?

 タネそのものを食べる落花生やゴマは、子どもたちには、単なる食べものであり、芽を出して伸びる生命力をもったタネだと思えないことがある(52頁参照)。そこで、ここでは落花生をとりあげて、芽が出るかどうか試してみた。

屋上のプランターで育てた落花生の実をとってきて、発芽するかどうか観察することにした。カラつきでも、火を入れて食べられるようにした落花生は、芽が出ない(死んでいる)ので注意

<2月24日>

水を含ませた脱脂綿に、カラから出した落花生のタネをまいた

<2月28日>

白い芽が顔を出した

<3月5日>

白い芽が伸びている

<3月18日>

最初に伸びた白い芽は、根だった。落花生のタネ(食べる部分)は、ほとんどが双葉になることがわかる。トマトとは、ずいぶんちがう


落花生の食べる部分は双葉になるよ!

タネから芽が出てこないのはどうしてか?

 実が腐り、その中のタネから芽が出て伸びるのが、自然の生命の循環ならば(56頁参照)、台所の野菜も腐ると、そこから芽が出てくるのだろうか。

<2月24日>

A:水を含ませた脱脂綿に、ピーマンの実の中のタネをまいた
B:水を含ませた脱脂綿に、ピーマンの実をそのまま置いた

<3月5日>

A:芽が出てきた
B:芽は出てこず、カビが生えはじめた

<3月18日>

A:芽がさらに伸び、緑の葉のようなものが出てきた
B:カビがピーマン全面をおおった。カビは発芽をおさえるらしい。自然の土なら、腐った実から芽が伸びてくるのだろうか

アボカド、カボチャ、キンカンのタネは……?

<2月24日>

アボカド(A)、カボチャ(B)、キンカン(C)のタネを、水を含ませた脱脂綿にまいてみた

<3月18日> 芽が出てこない!

いずれも、芽を出さなかった。腐ったり、カビが生えたりしていないので、このまま置いておけば、発芽するかもしれない


台所のダイコン、ニンジン、キャベツには、タネが見当たらない。これらの野菜のタネはどこにあるのだろうか?(五六頁参照)
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