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全5巻
AB判・36ページ・4色2色

【書評より】

<『ジュニア サイエンティスト』(財)日本宇宙少年団発行 2002年5月号>

 みなさんは、ドロだらけになって遊ぶのは好きですか?土は、わたしたちのいちばん身近にある自然のひとつですね。土は作物や森を育て、自然循環を作り、人間の生活をささえています。そればかりか、もし土がなかったら、陸の上の生き物は生きていくことができないのです。

 こんなに大切な土のことを、みなさんはどのくらい知っていますか。この本を読んでドロダンゴを作ったり、土のアクセサリーを作ったりしていると、土のふしぎがだんだんわかってきますよ。

 それに、土のT研究Uならば、服をドロだらけにしても、お母さんに怒られないかもね!?

※土の絵本は全5冊シリーズです。

<「しんぶん赤旗」2002年6月23日号>

 子どもはみんな泥んこ遊びが大好き。でも、最近あまり泥だらけの子を見かけなくなって残念に思っていました。

 『土の絵本』は親も公認で泥あそびができる、すてきな絵本です。土の中の宝石を探したり、鏡のようにぴかぴか輝く泥ダンゴを作ったり、泥でハンカチを染めたり。子どものときの遊びとはまた一味違う楽しみかたに、おとなのほうが夢中になってしまうかもしれません。身近な土に目を向けてみてください。

 本書は「D環境をまもる土」まで、5冊のシリーズの1巻です。

科学読物研究会会員 野原暁子

<『技術教室』2002年7月号 産業教育連盟編集>

「土」という字は、下の横棒の方が上のより長い。下の棒は地面を表し、十は植物を表す。つまり地面から植物が育っている様子を表現している字である。土のことを土壌ともいうが、古代の中国では、土と壌は区別されていた。自然のままのものが「土」で、人間が作物を作るために改良した土が「壌」だったという。

「土」の意味をあらためて辞書で調べてみた。「岩石が分解して地表にたまったもの」(『岩波国語辞典』)とある。この本では、「岩石が細かくなった鉱物と、鉱物がいったん水に溶けてからつくられる細かな粘土鉱物、落ち葉や動物の死骸と、それからできた腐植物質などが混ざり合ったもの」とあり、丁寧な説明である。

土でハンカチを染めてみようというのが面白い。染めるものは絹など動物の繊維の物がよいという。理由は、本文に説明がないが、巻末にあるのがよい。動物繊維にはタンパク質が多く含まれており、これがタンニンと結合して、さらに土壌中の鉄が結びついて定着をし、色を出すという。泥染めという伝統的な染色方法で「大島紬」とある。書評子は、大島紬が泥染めとは、知らなかった。

土でアクセサリ−を作ろうというのも面白い。土のミクロの世界が詰まったペンダント、ブローチをポリエステル系樹脂で固めるのであるが、できたものを顕微鏡で見ると楽しそうだ。粘土で焼き物を作ろうという項目がある。書評子が小さいころ、焼き物をつくったとき、よくひび割れをした。古代の縄文式土器は、なぜ縄模様があったのか。ひび割れを防ぐために、粘土に水を含ませたワラ(縄)を巻き、火に入れる。するとまずワラが乾き、そして燃える。最後に粘土に縄模様が残るわけである。つまり、粘土に直接火があたリ、ひび割れを防ぐために縄を巻いたのであって、模様をつけたわけではないのである。巻末の説明に縄文式土器の説明があるが、このことを付け加えてほしかった。

砂漠化はなぜ起こるのか?酸性雨が土にふるとどうなるか?農業が環境をまもる。地球温暖化と土の関係。ダイオキシンを食べるカビ。田んぼと畑の土とどう違う?有機農業ってなに?土でちがう植物の育ち方。作物の養分と土。ポクポクと音がする土。ブナ林を守っている落ち葉と土。世界の土壌と農業。など興味のもつ項目が続く。

子供向けに書かれたものであるが、内容が豊かで、水準が高い。そして大人により情報を提供する巻末の説明がよい。

この本は、@土とあそぼう A土のなかの生きものたち B作物をそだてる土 C土が作る風景 D環境をまもる土 の5巻からなっている。子供と大人の絵本である。一読をお勧めする。

(郷 力)

【読者カードから】

「土から粘土をとり土器を作れることに興味を持ち、縄文土器を作るとはりきっています。身近な土を使って、実験、観察、工作と様々なことに取り組む手引きとなり、大変助かりました。特に粘土層から粘土を作る方法がわかって大変助かりました。」

(東京都 44歳 主婦 7歳の子どもあり)

 

「土に親しめる内容がとてもいい」「とても興味を持った。土壌断面の写真がとてもよい」

(東京都 47歳 男性 自営業)

 

「大変よかった」

(岐阜県 七歳・小学生 男性)

 

「土についてとても興味を持った。化学的に説明されているので良好」

(長崎県 43歳 主婦 8歳の子どもあり)

 

「感動的な本でした。内容が豊富で、実にわかりやすく、主張が客観的でかつ明快でした。イラストもいいです。この本を片手に、子供も大人も外にとび出し、土に触れたくなるでしょう。農業や環境に取り組む子供が増えることを願ってやみません」

(岡山県 女性 大学教員)


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