現代農業 特別号
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2007年10月別冊 購入する
自由自在のパンづくり つくり方・酵母・製粉・石窯から麦作りまで

B5版 192ページ 定価1200円

 グラビア雑誌を彩る華麗なパンを買うのもいいけど、もっと日々の暮らしのなかに息づくパンもいい。この本では、輸入された小麦粉を使ったふっくらパンのイメージを超えて、子どもと一緒につくるパン、おばあちゃんの智恵に学ぶパンなど、オリジナルな「私のパン」を楽しみたいという声にお応えする内容としました。

 パンのつくり方はもちろん、パンを膨らませる酵母をつかまえる方法、その増やし方、自分でできる石窯つくり、製粉方法、さらには、自分で麦を作ってみたいという人たちのために、小麦の品種や小面積だからできる栽培の仕方まで、思いっきり「自由自在」にパンを楽しめる1冊です。

はじめに目次編集後記

別冊2007年10月号

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 農家が教える 自由自在のパンづくり

石臼で麦を挽く/パンは自由で個性的/日本のパン/おやきをつくる/三日に一度焼く食事パン/家族のために焼く、勝手流パンづくり/自家製粉でさらに自在に/酵母/自家製粉/石窯/地粉でパン/小麦の品種と栽培 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

はじめに

 20年ほど前までは、普段われわれが口にするパンといえば、食料品店に並んでいる袋に入った食パン、菓子パン、そして給食のパンくらいであった。それらは、前日とか前々日に焼かれたもので、パサパサして香りがなく、炊きたてのごはんのほうがずっとおいしかった。近頃では、高性能のオーブンを備えたパン屋があちこちにでき、ふっくらとして引きが強い焼きたてのパンを、気軽に食べることができるようになった。

 このような、プロのパン屋が焼いたパンは美味であるが、味わいのある国産小麦のパンや、どっしりとしたヨーロッパ風のパンも食べてみたい。また、素人が焼いたパンであっても、焼きたてならば、プロのパンに引けをとらず美味である。自分でつくればいつも焼きたて、自由自在のパンが食べられる。

 本誌では、小麦の栽培から、製粉、酵母、石窯のつくり方まで、個性的なパンを焼くための知恵を収集しました。

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目次

別冊現代農業2007年10月号

自由自在のパンづくり
つくり方・酵母・製粉・石窯から麦作りまで 目次

〈カラーページ〉

石臼で麦を挽く 『聞き書 愛媛の食事』より(撮影 千葉寛)

パンは自由で個性的

広島県・カントリーグレイン(撮影 小倉隆人)/大分県・サンパルファクトリー(撮影 赤松富仁)/杉山製パン(撮影 おおいまちこ)/熊本県・かんぱーにゅ(撮影 編集部)/佐賀県・能美の郷(撮影 編集部)/大塚せつ子さん(撮影 小倉隆人)

日本のパン「聞き書 日本の食生活全集」より (撮影 千葉寛/岩下守/小倉隆人/嘉納辰彦)

おやきをつくる 『聞き書 長野の食事』より(撮影 千葉寛)

3日に1度焼く食事パン  神奈川・上田さん(撮影 本田進一郎)

家族のために焼く 勝手流パンづくり (撮影 本田進一郎)

自家製粉でさらに自在に 石川県・井村辰二郎さん

Part1 自由自在のパンづくり

【図解】なんでも酵母に!? 自家製天然酵母講座
+トマト酵母パン/身近なもので作ってみよう! 健さんの天然酵母講座 〈ナベで、オーブントースターで〉 …… いとうまりこ

【図解】手づくり石窯で焼く 力強いイチジク酵母パン …… いとうまりこ

ほんとうのパンってなんだ …… 望月継治(神田精養軒)

発芽小麦でつくるパン …… 片岡芙佐子(カントリーグレイン)

パンの原点 ピタを焼く …… 林弘子

ダンボールオーブンでピザづくり …… 植村加奈子

どぶろくパン …… 畑山照男(仮名)

(かこみ)本格派手打ちうどんのつくり方

おやきのつくり方 …… 小池峰子(たんぽぽ)

日本のパンのルーツ …… 安達巌

日本の食事にみる小麦の料理 「日本の食生活全集」より

かぇばもち(青森県)/おしまぐり(青森県)/きんかもち(青森県)/てんぽせんべい(青森県)/ひっつみ(岩手県)/ひゅうじ(岩手県)/小なべ焼き(宮城県)/うどん(宮城県)/みょうが焼き(宮城県)/うどんの冷やだれかけ(福島県)/蒸しパン(福島県)/小麦だんご(茨城県)/どら焼き(茨城県)/かいかまんじゅう(栃木県)/たらしもち(栃木県)/ほど焼き(栃木県)/じり焼き(群馬県)/おきりこみ(群馬県)/めしやきもち(群馬県)/ちゃがし(群馬県)/ふかしまんじゅう(群馬県)/えびし(埼玉県)/すいとん(千葉県)/ほうちょう(千葉県)/小麦だご(石川県)/ほうとう(山梨県)/でっちかて(長野県)/やきもち(長野県)/こりんと(長野県)/おやき(長野県)/酒蒸しまんじゅう(岐阜県)/おだ巻き・今川焼き(岐阜県)/ういろう(愛知県)/だら焼き(愛知県)/てんてら焼き(京都府)/やくもち(兵庫県)/しきしき焼き(奈良県)/パン(島根県)/まき(徳島県)/なべ焼き(徳島県)/打ちこみ(香川県)/うどん(香川県)/焼けもち(愛媛県)/ふなやき(福岡県)/ふくらかしまんじゅう(佐賀県)/ぐすぐす焼き(佐賀県)/お嶽だんご(熊本県)/焼きだご(熊本県)/のべだご(熊本県)/しるかえ(熊本県)/豆だご(熊本県)/きりだご汁(熊本県)/石垣だご(熊本県)/ひやき(大分県)/ゆでもち(大分県)/味噌だご(宮崎県)/ふくれ菓子(鹿児島県)/けせん巻き(鹿児島県)/ひらやちー(沖縄県)/さーたーあんだーぎー(沖縄県)/ぱんびん(沖縄県)

Part2 酵母

麦の野生酵母でパンを焼く …… 林弘子

(かこみ)伝統的な酵母の種おこし法 …… 小沼祐毅(小沼技術士事務所)

生モトづくり 酵母純粋培養法 …… 寺田啓佐(寺田本家)

楽しい自家製酵母生活 …… 山内早月

酵母をおこすポイント …… 相田百合子

レーズン種のおこし方 …… 木のひげ

野生酵母の培養法 …… 穂積忠彦

ホシノ天然酵母 …… 星野益男(ホシノ天然酵母パン種)

楽健寺酵母 …… 山内宥厳(磐余山東光寺・楽健法本部)

白神こだま酵母 …… 遠山広(ロワンモンターニュ)

Part3 自家製粉

自家製粉で自在にパンづくり 栃木県・矢部千春さん …… 文・大井真知子

挽きたての小麦で地粉パン 佐賀県・能美の郷 …… 編集部

国産有機小麦 玄麦の販売を始めました …… 井村辰二郎(農産工房「金沢大地」)

地元の麦で個性的なパンを …… 青木義篤(青木技術士事務所)

石臼 古代の精密機械 …… 三輪茂雄

古い石臼を再生する方法 …… 清家定義

オーストリア製石臼製粉機 …… 田中智一朗(田中三次郎商店)

小麦の製粉 …… 大楠秀樹(日本製粉)

玄麦の入手について …… まとめ・本田進一郎

製粉機の入手先 …… まとめ・本田進一郎

輸入電気製品を国内で使うための安価な昇圧手段 …… 土合靖(リニアサーキットデザイン研究所)

Part4 石窯

【図解】楽しさいっぱい焼き上がる手作り石窯の作り方 …… いとうまりこ

【図解】ほのかな酸味 石窯で焼く田舎風全粒粉パン …… いとうまりこ

【図解】レンガ窯のつくり方 Brick Oven …… 本田進一郎

【図解】1日でできる簡単石窯のつくり方 …… 須藤章(石窯コーディネーター)

ピザの焼き方 …… 須藤章

石窯でパンづくり …… 須藤章

Part5 地粉でパン

規格外小麦が、おいしい「村のパン」になる  …… 大分県・麦工房サンパルファクトリー

学校給食に町の米を使ったオリジナルパン …… 茨城県友部町 文・おおいまちこ

(かこみ)友部町・米パンの加工法 …… 山口浩一

自家製粉、湯ごね、中種で米の風味を生かす …… 熊本県・パン工房かんぱーにゅ

お米のパンのつくり方 …… 大塚せつ子(サラ秋田白神東京事務所)

Part6 小麦の品種と栽培

小麦の品種と栽培 …… まとめ・本田進一郎

栽培麦の起源 …… まとめ・本田進一郎

小麦の品種 …… 星野次汪、山口勲夫、吉田久、松中仁

かび毒の心配のない安全な麦づくり …… 針塚藤重(針塚農産)

小麦 菜種梅雨前のカリ追肥で増収  …… 有馬泰紘

移植麦は超多収 一反ぐらいなら手植えでよい …… 井原豊

移植麦のよさとは「木田式麦」の木田好次さんに聞く …… 編集部

ハルユタカ 移植栽培で反収600kg …… 高木荒司(北海ポット販売株式会社)

編集後記


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編集後記

◆おいしさには、二とおりあるのではないだろうか。一つは、誰が食べてもおいしいと感じるもの。プロのパン屋がつくった焼きたてのパンは、確かに誰が食べてもおいしい。

 もう一つは、その人が固有に感じるおいしさ。たとえば、いくら私が大好物の、わさびの葉のおひたしや、みょうがの味噌漬け、山うどの味噌和えなどをつくっても、家族の評判はあまりよくない。たった四人の家族でさえ、一人一人の好物は、まったく違う。

 人は、同種の生き物なので、その生物学的特徴は同質である。しかし、種に属するそれぞれ個体は、その遺伝的性質にばらつきがないと、種として存続、繁栄することはできない。そのために、自分と異質なほど、その個体に強く惹かれるという。同質なのに異質、似ているけど個性的というのが、生物としての人の特徴だ。

 だから、誰が食べてもおいしいものと、その人しかおいしいと感じないものがあっても不思議ではない。パンづくりも同じことで、プロが目指すのは誰が食べてもおいしいパンであるが、自分でつくるなら、自分が食べておいしいと感じるパンを焼くことは、きわめて合理的である。(本田進一郎)

◆堅い話になって恐縮だが、もう20年以上も前、『現代農業』記者として取材に走り回っていた頃、早生多収の革命的な小麦品種「アサカゼコムギ」に出会った。米麦二毛作が当たり前だった日本で、早生で多収の小麦が歓迎されないはずがないと信じた。ところが、どこからともなく「品質が悪い!」という風評が流されて、あっという間に姿を消さざるを得なかった。そのときの苛立ちを今も忘れてはいない。

 その頃、まだ小学生だったわが子の教科書を見て驚いた。「日本の小麦はパンには向かない」と堂々と書かれていた。そのときにどういうわけか、「色白・ふっくらのパンがよくないのだ!」と思った。国産小麦によるパンづくりとの出会いの始まりだった。1986年のことだ。

 今、パン用の小麦も含めて、多様で高品質の品種が育成されている。麦の流通も自由化された。今こそ、日本の小麦の正念場かなと思う。麦を育てる人、粉にする人、加工する人、食べる人が、当たり前に手を結べないものか? 楽しめないものか?

 「環境」という言葉がもてはやされるわが国で、「青嵐」「麦秋」という美しい言葉が死語になるようでは、話にならない。本書が、日本の麦作を支える力になってくれることを願っています。(西森信博)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 農家が教える 自由自在のパンづくり

石臼で麦を挽く/パンは自由で個性的/日本のパン/おやきをつくる/三日に一度焼く食事パン/家族のために焼く、勝手流パンづくり/自家製粉でさらに自在に/酵母/自家製粉/石窯/地粉でパン/小麦の品種と栽培 [本を詳しく見る]

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