現代農業 特別号
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木酢・竹酢・モミ酢 とことん活用読本

 木、竹、モミガラをやいたときの煙から採取する木酢、竹酢、モミ酢には、作物の活力を高め、病害虫を抑え、土の微生物を元気にする働きがあります。ニンニクやトウガラシ、魚のアラなど、身近な素材を混ぜればさらにパワーアップ。

 農家が生み出し磨きをかけてきた地域資源=木酢、竹酢、モミ酢の選び方から考え方の基礎知識、効果的な使い方の実践例を多数掲載。さらに、木酢液の規格や有機JAS規格の登録認定機関へのアンケート結果も収載した、木酢に関心のあるすべての人の必読実用書。月刊『現代農業』で蓄積してきた農家の知恵と工夫を総結集した1冊。

はじめに目次読み方案内編集後記

別冊2004年4月号

はじめに

 月刊誌『現代農業』で、初めて「木酢」が登場するのは、1986年10月号の「炭」の記事です。その時、燻炭肥料に含まれる木酢の効果に注目しました。
それ以来、本誌では、何度となく、木酢利用の農家事例を紹介し、特集記事も組んできました。農家が使い方を工夫して効果をあげ、その工夫を誌面で紹介すると、それをヒントにまた次々にいろんな活かし方が生まれる…農家も編集部も、「おもしろいから、やめられない」のです。
 
 この別冊でもご登場いただいた山口県宇部市・畠田義雄さんは、次のように述べています(本誌2003年4月号「木酢はやっぱりスゴイ…」より)。
「木酢液はいかなる名称で呼ぼうとも『農薬』ではない。木酢液はあくまでも木酢液で、それ以上でもそれ以下でもない。木酢液は、植物の生長に触媒的に働くだけです。虫や菌には、木酢を好きな奴もいれば嫌いな奴もいる」

 そんな木酢だから使い方も、葉面散布、土壌施用、ボカシ肥や堆肥つくりへの利用といろいろ。素材や品質によって、あるいは使う濃度によっても効果はちがってきます。さらに、身近な植物や資材と組み合わせることで、自分なりの資材をつくれるのも木酢の大きな魅力です。 
木酢の「効果」や「安全性」について問題視するむきもありますが、農家は効果的で、作物にも人にも安全な使い方を工夫してきました。木酢も、竹酢も、モミ酢も、地域資源を活用した自給的な資材であり、農家が自ら磨きをかけることができる、かけがえのない農家の基本資材だからです。

 本別冊は、『現代農業』を中心にその他の出版物で蓄積してきた農家の知恵と工夫を総結集して、一冊にしたものです。「これから先もどんな発見があるか、前途洋々です」と畠田さんは述べていますが、木酢・竹酢・モミ酢を農家の「宝物」として磨きをかけていくことに、本書を役だてていただければ幸いです。
おわりに、本別冊にご登場いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。

2004年3月
農文協「現代農業」編集部


「田舎の本屋さん」のおすすめ本

 木酢・竹酢・モミ酢 とことん活用読本

木、竹、モミガラの煙から採取する木酢、竹酢、モミ酢には、作物の活力を高め、病害虫を抑え、土の微生物を元気にする働きがあります。ニンニクやトウガラシ、魚のアラなど、身近な素材を混ぜればさらにパワーアップ。農家が生み出し磨きをかけてきた地域資源=木酢、竹酢、モミ酢の選び方から考え方の基礎知識、効果的な使い方の実践例を多数掲載。さらに、木酢液の規格や有機JAS規格の登録認定機関へのアンケート結果も収載した、木酢に関心あるすべての人の必読実用書。月刊『現代農業』で蓄積してきた農家の知恵を1冊に結集しました。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

目次

(カラー頁)

木酢・竹酢・モミ酢は減農薬の宝物

市販木酢液の選び方

信頼できる炭窯を選ぶ

農業での木酢液活用

木酢液のパワーアップ法

農業での竹酢液利用

農業でのモミ酢利用

畜産での木酢液活用

木酢液の効果のヒミツ

はじめに

読み方案内

I

農業利用の基礎知識

木酢液の本当の姿 …… 木嶋利男

木酢液は微生物を増やす
〜三枝敏郎先生(日本炭窯木酢液協会会長)に聞く〜

図解 木酢液の使い方・効果

使い方のポイント(1)
濃度によって生物への作用が大きく変わる …… 木嶋利男

使い方のポイント(2)
資材と混ぜて浸透力・親和性を活かす …… 三枝敏郎

 木酢液は堆肥やボカシの発酵促進にもってこい

II

事例に学ぶ木酢液活用

(イネ)

適期散布でカメムシ、いもちを寄せつけない …… 中村幸晴

木酢液+玄米酢で倒伏予防、有機質で増収に挑戦 …… 齋藤博

木酢と米ヌカで二八町歩を除草剤なし稲作(福井県・藤本肇さん)

(野菜・花)

私の木酢液活用実践記 …… 飯田和子

資材と混用して効果を高める …… 後藤武

木酢液でハウスピーマン、キュウリのセンチュウを抑える …… 塩崎維寿

根こぶ病で全滅していたハクサイが大豊作 …… 矢崎安男

針葉樹木酢の土壌かん注でキュウリの農薬三分の一(福島県・鈴木喜雄さん)

キク もう白さび病はこわくない(愛知県・横山光雄さん)

ドクダミ、ニンニク、自然資材と組み合わせて無農薬栽培をめざす …… 山口幸男

木酢、炭、落葉をまぜて上質な堆肥を作る …… 編集部

木酢で水分調整、土中で仕上げ発酵の堆肥つくり(長野県・横森正樹さん)

切り返しなしでできる木酢・炭入り堆肥 …… 後藤武

肥料袋でできる炭・木酢入りボカシ肥 …… 後藤武

畑の排水改良は木酢、米ヌカ、土着菌活用で(鹿児島県・窪田隆志さん)

木酢液満タンの植穴に定植したら、センチュウ・青枯れがとまった …… 山下敬徳

木酢と炭酸苦土石灰でネズミ退治 …… 宮崎茂

(果樹)

木酢をきわめて、ブドウを無農薬栽培 …… 畠田義雄

リンゴ 農薬に木酢をまぜて散布回数を半減 …… 水木番平

 減農薬でむしろ色、味はよくなっている …… 須郷陸奥雄

木酢のおかげでリンゴの葉摘みにゆとり、着色早く、糖度もアップ(岩手県・下川原重雄さん)

木酢の200倍散布で葉とらずリンゴ(青森県・福田貞一さん)

木酢ボルドーで減農薬リンゴ(群馬県・新井重治さん)

ブドウ 木酢と炭で樹の育ちが固くなる(神奈川県・諏訪部明さん)

1000倍液の混用で農薬代半減、栄週栽培で糖度25度のサクランボ …… 編集部

隔年結果なし、味にコク ミカンを変えた魚腸木酢のすごさ(熊本県・中本弘昭さん)

 ブドウをねらうスズメやムクドリ除けに木酢/木酢でパワーアップ!紙おむつで腐らん病退治

木酢活用でハウスミカンの殺菌剤ゼロ、殺虫剤年四回 …… 野村高志

葉面散布剤+木酢液で天候に左右されないブドウ栽培 …… 塩山房夫(仮名)

葉面散布、堆肥づくり、土壌かん注 木酢の効果で高糖度サクランボ(山形県・土田重治さん)

(茶)

木酢で生物環境を改善、茶園の過剰施肥、悪循環から抜け出す(静岡県・天野金二さん)

放任園で無農薬栽培にチャレンジ 減肥減農薬でも品質・収量は現状維持できる …… 佐藤忠

木酢で微生物、天敵が増えるからできるお茶の無農薬栽培(鹿児島県・田中光彰さん)

(きのこ)

木酢液添加できのこが増収 …… 新潟大学農学部 早川利郎

(畜産)

木酢・食酢で子豚の下痢を防ぐ …… 玉利泰宏

木酢飼料で豚肉が変わった(高知県・西森畜産)

 有機酸の効果で子豚の下痢が減る …… 本薗幸広

木酢液スプレーが牛の皮膚病に効果(北海道・吉江秀子さん)

III

事例に学ぶ竹酢液活用

竹酢液を防除に活かす …… 編集部

竹炭・竹酢で草丈が短く倒れないイネ …… 久留須俊彦

竹+海草で木酢液を採取(静岡県・村上国男さん)

竹酢液の健康効果 …… 野村隆哉

IV

事例に学ぶモミ酢活用

モミ酢なら自分で採れる、ふんだんに使える …… 三田村雅人

モミ酢で凍霜害を防ぐナシ、リンゴ、ブドウ、モモの減農薬効果も …… 小林昌平

モミ酢でリンゴの農薬が減る、甘みが増す …… 編集部

私の自給資材 モミ酢の徹底活用術 …… 松沼憲治

モミ酢の流し込みで穂枯れ防止 …… 石井稔

V

採取法・調整法 品質チェック法

炭窯をつくる、炭をやく …… 池嶋庸元

木酢液採取法 …… 岸本定吉

木酢液の精製 …… 谷田貝光克

ドラム缶炭窯で木酢を採ろう …… 編集部

クセのある竹の調整法 …… 池嶋庸元

くん炭・モミ酢が簡単に採取できる …… 佐々木武

農業利用には炭窯木酢液が最適製法、品質の基礎知識 …… 岸本定吉

木酢液 品質の見きわめ方 …… 三枝敏郎

VI

広がる木酢液の世界

木酢液の広がる可能性人畜無害で有益な理想的自然農薬 …… 岸本定吉

竹炭・竹酢液は農家が里山から生み出す自給資材 …… 内村悦三

葉面微生物の視点から木酢液の抗菌効果に迫る …… 篠山浩文

木酢・モミ酢の強力な還元効果 六価クロム汚染を浄化 …… 渡辺紀元

 絶対にアブラムシが来ない!木酢液の使い方/ウドの葉木酢とニンニク焼酎でお茶の無農薬栽培

付録

木酢液の規格 〜日本木酢液協会〜 …… 谷田貝光克

木酢液の規格 〜日本炭窯木酢液協会〜

木酢液の発ガン性は? 〜三枝敏郎氏(日本炭窯木酢液協会会長)に聞く〜

農薬取締法での木酢液の位置づけと、有機JAS規格での扱い …… 編集部

有機JAS規格 登録認定機関は木酢液をどうみているか …… 編集部

奥付

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読み方案内

表1 作目別掲載頁一覧

普通作
イネ 34、42、46、48、138、144、150、154、158、188
小麦 36、52
ソバ 34
ライムギ 74
野菜
イチゴ 16、36、54、62、188、191
エダマメ 34
カボチャ 79、154
キャベツ 36、52、82、154
キュウリ 13、30、38、52、54、57、62、66、136、154
クロタラリア 5,36
コマツナ 36
サトイモ 79
ジャガイモ 154
シュンギク 36
スイカ 79
ダイコン 34
タマネギ 54、79
トウモロコシ 34、146、153、154
トマト 36、38、54、66、82
ナガイモ 74
ナス 36、52、150
ニンジン 72、79
ネギ 34、38、62
ハクサイ 52、61、72、82
ピーマン 57
ホウレンソウ 52
ミニトマト 66
メロン 54
ユウガオ 36
レタス 36、54、72
ワケギ 38
オーニソガラム 83
キク 64
バラ 30
ヒマワリ 36
ユリ 83
果樹
ウメ 135
オウトウ 7、100、112
ナシ 110、146
ブドウ 6、84、98、107、110、146
マンゴー 54
ミカン 8、54、102、108、135
モモ 110、146、179
ヤマブドウ 11
リンゴ 30、86、90、92、94、107、146、150
工芸作物
イグサ 30
54、114、118、120、138、140
きのこ
シイタケ 188
ナメコ 121
ヌメリスギタケ 121
ハタケシメジ 121
ヒラタケ 121
マイタケ 121
ヤナギマツタケ 121
山菜
ウド 30
タラノメ 30
ワサビ 54
苗物
花苗 54
野菜苗 54
畜産
132、138
138
14、15、123、128、130

表2 病害虫別掲載頁一覧

病気
いぼ皮病 181
いもち病 42、46、138、144、150
ウィルス病 30、38、66
うどんこ病 52、63、66、98、137
腐らん病 107
つる割病 36、98
ばか苗病 42
べと病 38、66、84
モニリア病 89
もみ枯細菌病 42
萎ちょう病 36、38
灰色かび病 36、38、54、84、102、108、191
菌核病 66
黒とう病 84、98
黒星病 86
黒斑病 38
根こぶ病 52、61、72
枝膨れ病 84
青枯病 36、82
赤さび病 38、63
雪腐病 52
炭疽病 36、120
白さび病 64
白絹病 36
斑点落葉病 86
晩腐病 84
苗立枯病 36、144
穂枯れ 158
紋枯病 36
害虫
アカダニ 102、114、140
アザミウマ 54、118
アブラムシ 30、52、55、144、150
イナゴ 46
オンシツコナジラミ 54、66
カイガラムシ 30、108、114、118
カメムシ 42、46、110、111、144
センチュウ 30、38、57、62、66、82、83
ハダニ 30、79、86、98、102、108、119、150
ブドウスカシクロハ 84
ミドリヒメヨコバイ 118
モモシンクイガ 86
ヤノネカイガラムシ 84
ヨトウムシ 137
54
生理障害
ガス障害 69
奇形 69
岐根 69
鳥獣害
イノシシ 153
サル 153
シカ 153
スズメ 107
タヌキ 149
148
ネズミ 52、63、83、84、150
ヘビ 84
ムクドリ 107
モグラ 63、84
家畜の病気
下痢 123、128、130、138
ヘモフィルス病 128
皮膚真菌症 132
雑草
ウリカワ 48
オモダカ 48
クログワイ 48
コナギ 48
ハコベ 37
ヒエ 48
ホタルイ 48

表3 混合資材別一覧

混合資材から
アミノ酸 54
落葉 69、72、76
海草 137,140
カキガラ 38、102、136、154
カルシウム 54
キトサン 38、102、108
くん炭 61
酵素 84
米酢 46
米ヌカ 48
魚腸 30、79、102、137
サンショウ 62
ストチュー 54
大豆 30
卵殻 137
ツクシ 98
トウガラシ 38、84、102、108、137
豆乳 30
糖蜜 120、137
ドクダミ 62、66、84、98、137、150
ニーム 46
尿素 30
ニンニク 9,38、62、66、79、84、98、102、108、137
農薬 38、54、57、86、90、92、94、100、102、108、110、112、114、138、146、150、154
微生物資材 82
ブドウ糖 54、137
ボカシ肥料 78、79、114、120
ヨーグルト 120
ヨモギ 84、150
ワカメ 84
樹木エキス 118
焼酎 54
堆肥 40、57、61、62、64、69、72、76、112
54、69、72、76、81、138
炭酸苦土石灰 83
微量要素 84
葉面散布剤 54、108、110、120
木酢液の原料(広葉樹以外)
針葉樹 62、111
10,134〜140、172、188
モミガラ 12,144〜158、174
その他 179

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編集後記

 「現代農業」誌が木酢に注目しはじめてから20年近い歳月が経ちました。これまでに多くの事例が積み重ねられ、木酢液は安心して使える資材として、地域資源(木、竹、モミガラ)を活かした農家の自給資材として、活用されるようになりました。

 木酢液の成分には、植物の生育を促進する物質もあれば、抑制する物質もあります。また、木酢液の濃度によっては微生物の増殖を促したり、抑えたりします。このように、相反する二面性を二重に備えているところが、木酢液の面白いところです。

 例えば、木酢液中の成長促進物質だけが働けば植物を軟弱な育ちにしてしまいますが、同時に成長抑制物質が働くことで育ちをしめることができる……。このように木酢液の二面性を農家的な観察と経験、そして直感でもって上手に引き出してきたのが、今回、集録させていただいた各地の実践です。

 「無登録農薬問題」で木酢液活用にブレーキをかけられた面がありますが、あくまで「木酢液は、農家が自分の判断と責任で、防除目的も含めて使うことができるものであり、「安全性」についても、問題がおきるとは思えない」(204頁)農家の自給資材です。

 この別冊のタイトルに「減農薬の宝物」とつけたのも、農家が育てた木酢液活用技術を将来にわたる「宝物」として活かしていただきたいと思ったからです。

 いまも各地でさまざまな木酢液活用の実践、試行錯誤が続けられています。その意味では、この別冊は現時点での「とことん活用読本」であります。今後も、新たな活用事例が積み重ねられ、より確かな技術として育っていくことと思います。ぜひそのような実践を編集部までお寄せください。

(本田耕士)

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