「ブドウのジベレリン一発処理」コーナーより
ジベ処理1回も2回も変わらなかった
摘粒作業もラクになる神奈川・伊澤忠治
樹の半分で試してみた
ナシ65a、ブドウ33a、ミカン15aをつくっています。2年前、一文字整枝でつくっているシャインマスカットの樹の1本の半分、防風林に近い側の花穂が、たまたま2日ほど早く満開を迎えました。そのとき、ふと『現代農業』で読んだ宮田昌孝さんのジベレリン一発処理の記事(2016年5月号)を思い出し、その花穂で試してみました。ジベレリン25ppmとフルメット10ppmを満開の5日後に浸漬し、残り半分はいつものように2回処理しました。
シャインマスカットは味のバラつきがないように、果粒数35〜40、房重500g、糖度18度を目標としています。収穫の時期を迎えると、一発処理区は2回処理区と同じように、よい品質のものができました。
翌年は藤稔やピオーネの一部も加えて、10aほどで一発処理をしました。これも2回処理とまったく同じものができました。藤稔は27〜30粒の房重700g、ピオーネは35粒の600g、糖度はともに18度以上です。今年はさらに一発処理の面積を増やす予定です。
摘粒も1回で終わらせられる
一発処理のメリットは、処理時間が半分で済むうえに、摘粒作業もスムーズになることです。
私の園では、山梨県の技術や宮田さんのこれっきり摘粒法(2016年8月号)を参照して、摘粒を1度で済ますことを目標としています。しかし、ジベ処理が2回あると、摘粒が終わった果房の粒が、2回目のジベ処理でぽろっと落ちることがあります。果粒数が足りなくなると困るので、ジベ処理が2回終わるまでは、摘粒を予備的にしかできなかったのです。一発処理なら摘粒を1回で済ませても問題なく、省力化できます。
ただし、一発処理は2回処理と比べてフルメットを多用します。フルメットはジベレリンと比べて高いので、その代金が増えるのはデメリットです。
(神奈川県藤沢市)
筆者の藤稔(加藤里菜撮影)
この記事の掲載号『現代農業 2018年5月号』特集:モグラ ネズミ カラスと対決 ここが弱点、ねらいどころ
浅水代かきで、ワラも残渣もきれいに練り込む/業務加工用野菜発の新栽培/ブドウのジベレリン処理/林間・耕作放棄地でワサビ栽培 ほか。 [本を詳しく見る]