月刊 現代農業
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巻頭特集

(黒澤義教撮影)

さあ、野山に探しに出かけよう! 薬草おじさんこと小谷宗司さんと歩くと、道端の草が宝に見えてくる(40 ページ)(黒澤義教撮影)

ドクダミやヨモギやウマブドウ……。
どこにでもあるような草が、
じつはすごい力を秘めている。
身近にある最高の薬草と出合える季節。

ウマブドウ ブドウ科

・別名:ノブドウ。生薬名は蛇葡萄(ジャホトウ)
・全国の野山に自生。栽培も可能
・実は焼酎漬けにして飲むと肝臓疾患や胃弱などに効果がある。腫れ物に塗ってもよい。つるや葉は煎じて飲むと若返り効果や鎮痛作用がある

ウマブドウの実。熟すと緑から紫・青、白へと変化する(下は小谷宗司提供)

毎日盃1杯の焼酎漬けで肝臓がみるみる回復

長野・岩下友市

肝臓の数値が下がった

私とウマブドウの最初の出会いは、『現代農業』1983年11月号に出ていたウマブドウ研究会会長の磯常光氏の記事です。

当時私はJAの生産販売の仕事をしていました。その頃は部会の会議の後は毎回必ず懇親会があるなど、週に3〜4回も酒席があったため、健康診断で肝機能の数値が基準値より高くなってしまいました。そこで肝臓によい薬草を探していました。

記事を読んですぐに家の近くにあったウマブドウと思われるものを磯さんに送り、鑑定してもらいました。それが本当のウマブドウだといわれ、すぐに実を採集して焼酎漬けを作りました。

3カ月ほど毎晩少しずつ飲んでいたら、肝臓の数値が下がりました。それから毎年、多い年は一升瓶で20本ぐらい焼酎漬けを作って、自分や家族・兄弟などと利用してきました。

子供の体調が悪いときや風邪をひいたときは、枝を切って乾燥させたものを煎じて飲ませてきました。そのせいか、家族そろって大きな病気をせず今日に至っています。最近は孫にも飲ませています。

ウマブドウの効能は強精・若返り作用、鎮痛作用、免疫力を高める作用があります。今はヤマブドウの実や苗を全国の方にお分けしているのですが、膵臓ガンや肝臓ガンの方が飲まれたり、「バイアグラがいらなくなった」「頭に塗ったら毛が生えてきた」という電話やメールをもらうこともあります。

焼酎漬け。半年以上漬けてから使う

筆者。せん定枝は切って乾燥させてお茶にする

山に自然に生えているウマブドウを、根付きのまま採取して苗にする。水を吸わせてから植える

挿し木で増やしてもよい。畑で養成して芽が出た様子

実も葉も枝も使える

焼酎漬けにはおもに実を使います。ここ長野県の北部では7月下旬〜10月初旬に実がとれます。私の場合は文献などを参考に緑色の実を漬けています。400〜500gの実を35度の焼酎、もしくは酢1升に漬けます。ウイスキーやブランデーでもできます。

外用にも使うので氷砂糖やハチミツは入れていませんが、飲むだけなら入れてもいい。漬けてから6カ月ぐらいで利用できます。1年以上おくと味がまろやかになります。葉や枝を焼酎漬けにしてもいい。

葉や枝は煎じ茶に利用できます。葉はとってきて水で洗い、細かく刻み、天日で乾燥させます。冷凍保存ならカビの心配もありません。枝は3pぐらいに切って洗い、乾燥させて通気性のあるネットに入れ、風通しのよい所に保存します。番茶のような味で、子供は一番飲みやすいようです。

苗や挿し木でどんどん増える

ウマブドウは非常に丈夫な植物で、どこにでも自生しています。長野県のマイナス10℃以下になる所でも自然のままで越冬します。最近は耕作放棄地が増え、一面がウマブドウで覆われている場所も多くあります。河川敷や山と畑の境目などにも自生しています。

栽培もしやすく、日本で栽培できない所はありません。山からとった苗や挿し木なら、植えてから1〜2年で実がなります。苗は春前に根付きで掘り出したものを植えます。挿し木は6月頃に2節つけた枝を使い、一つの節を土の中に挿すと、節から根や芽が出ます。

実生から育てる場合は、播種して2年後に畑に定植します。ウマブドウが2、3本あれば、家族で使うのに十分な実がとれます。

家の庭に作った垂直棚(19o直管パイプ)。垣根代わりに栽培できる

棚仕立てとせん定で収量アップ

栽培は簡単ですが、収量を増やすためには棚が必要です。

理想的な棚はブドウと同じ平棚です。庭や畑に地面から1・6〜2mの高さに水平な棚を作ります。1本の木でも大きくなると8畳間ほどにも枝が広がります。

塀やフェンスに這わせることもできますし、1・5mほどの支柱を2mおきに何本か立てて、それらをロープで結んだところに這わせたり、被覆してないビニールハウスに這わせてもよく実がつきます。

ウマブドウは落葉樹ですので冬は落葉します。たまに枯れてしまったと勘違いされる方もいますが、鉢植えした場合は水をくれていれば春に芽が出てきます。畑や庭に植えてあるものは自然のままで大丈夫。

せん定も必要です。ウマブドウは毎年新しい枝が伸びたところに実がなります。せん定しないと枝の先端にしか実がつきません。枝を切ると新しい枝が伸び、その枝からまた枝が伸びて実がなるのです。大きい木だと5m以上伸びます。棚を有効に利用するために11〜3月のあいだにせん定しましょう。

パイプ車庫を利用して栽培。春が来る前にせん定した様子

私は35年間、毎晩焼酎漬けを盃1杯(20ml)飲んできました。70歳の今日まで大きな病気やガンになりませんでした。妻も子供も元気です。科学的根拠はありませんがウマブドウのおかげだと思っています。

栽培は容易です。野生にもたくさんあります。焼酎漬けの作り方も簡単です。まずは自分で利用してみてください。毎日盃1杯、不調な日には少し多めに飲んでみてください。よい結果がでたら家族や友人に勧めてください。

(長野県中野市)

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2019年7月号
この記事の掲載号
現代農業 2019年7月号

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