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巻頭特集

気持ち高ぶる オリジナル除草道具
水田編

10a当たり20分
田植え機装着型の竹ぼうき除草器

石川・林 浩陽

竹ぼうき除草。90aで自然栽培米をつくり「林さんちの宇宙米」の名前で販売(写真はすべて依田賢吾撮影)

製作コストは5000円

 2013年から、肥料も除草剤も使わない自然栽培を始めました。最初はチェーン除草器を作って人力で引いて除草していましたが、これがまったく効かず、各社の除草機を試してみました。しかし、多くの除草機は4条植えや6条植え用。林農産の田植え機は5条植えなので条が合わず、苗を潰してしまいました。

 そこで3年前から、竹ぼうき除草に切り替えました。自然栽培の研究発表会で田植え機に取り付けるタイプの除草器を見て、「これなら条が合うはず」とピンときたのです。さっそく林農産の機械担当者(弟)に製作を依頼したら、田植え機の除草剤散布機のフレームをうまく流用し、5条植えの田植え機に2本×6列の竹ぼうきを取り付けてくれました。コストも安く、除草器側のフレームのアングルと竹ぼうき12本で、5000円ほどでできました。

除草器はアングルのフレームで一つに繋がっており、専用台車に載せて保管できる(機械担当、弟の林洋行作)。使用時はフレームを田植え機の除草剤散布機装着部に取り付ける

10a当たり20分で除草できる

 この除草器なら、田んぼ10a当たりたったの20分ほどで除草できます。劇的に短時間・ラクになったため、最初の年は6回も除草をかけました。しかし、やればやるほどターンのときに枕地の苗を踏むし、草が大きくなってからだと、さすがに効果が低い。それがわかってからは、3回までに留めています。

 一番重要なのは、田植えして3日後の1回目の除草です。このときにいかにキッチリと、目に見えないタネを浮かして流してしまうかがポイントです。竹ぼうきをかけたら、大急ぎで排水口に網を当てて排水。さらに、風で隅に寄った草のタネは、網ですくっています。

枕地では苗を荒らさないよう除草器を上げ、ターン後にまた下ろす。このとき、施肥ホッパーに付けた針金と苗載せ台の高さを見て、高さを数cm単位で手動で調節。除草圧を強くする場合は、より低く下ろす

 竹ぼうき除草はチェーン除草より効果もあり時間も短縮できますが、やはり草は生えます。とくに、地中深くから生えるクログワイのような球根系の草にはまったく効かないので、最後はやはり手取りです。今年で8年目の自然栽培ですが、単なる一つの除草作業でなく、栽培全般、トータルでの草対策が大事だなと感じています。

(石川県野々市市)

イネは坪37株。除草器が通ると一瞬倒れるが、すぐに起き上がる。とはいえダメージはあるので、回数はなるべく少なく。1回しかかけない田んぼもある

浮かんだタネや雑草は水尻から排出、または網で回収する。水尻から遠いところだと、流れ切らず活着することもある


この取材時に撮影した動画が、ルーラル電子図書館でご覧になれます。
https://lib.ruralnet.or.jp/video/

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2020年5月号
この記事の掲載号
現代農業 2020年5月号

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