月刊 現代農業
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 続  タンニン鉄栽培 大盛り上がり

 タンニン鉄で  ピーマンが甘くなった ニンニクのさび病が出なくなった

宮城・小野寺潔

筆者(60歳)

 

 私は仙台市で野菜農家をしております。約1.5haで栽培する露地野菜を中心に、スーパーのインショップなどで販売しています。

『現代農業』2020年1月号「野菜には茶葉でタンニン鉄」コーナーを読み、「タンニン鉄で野菜の食味が向上する」という点に注目しました。インショップでは自分の名前を貼った野菜を販売するので、タンニン鉄栽培で食味が向上すれば、ほかと差別化できるのではと思ったからです。

定植前に圃場に散布、株元にも最低1回

 タンニン鉄は、京都府の新谷太一さんの作り方(19年10月号97ページ)を読み返して参考にしています。500lのタンクに茶葉5kg、鉄材は鋳物を切削加工したときに出る廃材を入れています。私の住む地域はお茶の産地ではないため地元ではクズ茶を入手できず、静岡の製茶工場さんに分けてもらいました。

 タンニン鉄は、播種・定植前に圃場全面に原液で、大きい圃場の場合は3倍希釈で散布しています。その後は作物にもよりますが、どの野菜でも株元散布を最低1回は行ないます。

使用するタンニン鉄。クズ茶と鉄の廃材を水に入れて7日ほどで黒くなる

 

こんなにおいしいピーマンは初めて

 20年はピーマンの定植直後にジョウロで株元散布した後、3倍希釈のものを月に2回ずつ、計5回ほどかん水チューブで散布しました。

 収穫したピーマンは前年と比べて大きくなり、えぐみが消えて甘さが増しました。食べてもらった近所の方々からも「ピーマン嫌いの娘が食べた」「こんなにおいしいピーマンは初めて」と評判でした。

 インショップでもよく売れ、ほとんど毎回完売でした。さらに収穫期間も延び、例年と比べてちょうど1カ月長い、霜が降りる11月の初めまで収穫できました。

タンニン鉄栽培のピーマン。肉厚で甘く、3個で400gを超えることもある

 

タンニン鉄がさび病を抑えた?

 10aの畑でニンニクを3年間連作しています。初年は2割ほどでさび病が出ました。翌年は、収穫1カ月半ほど前から週に1回、3倍希釈でタンニン鉄を散布しました。するとほかの農家がさび病に苦しむなか、私の圃場ではさび病がまったく出ませんでした。今年も被害はなく、タンニン鉄でさび病が抑えられたのではと考えています。

(宮城県仙台市)

連作して3年目のニンニク。タンニン鉄を散布し、さび病が出なくなって2年目

 

タンニン鉄で病気に強くなる!?

鉄をはじめとしたミネラルは土中の微生物のエサとなる。微生物は有機物を分解しながらどんどん増殖するが、タンニン鉄をやると放線菌などの細菌が殖える傾向があるようだ(2020年10月号68ページ)。放線菌はキチナーゼという酵素を出して糸状菌(カビ)の細胞壁を溶かす。糸状菌(さび病菌も含む)は病原菌の8割を占めるといわれ、その割合が下がると微生物相が安定し、作物は病気になりにくくなる。(編)

 

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

現代農業 2021年10月号
この記事の掲載号
現代農業 2021年10月号

2021土壌肥料特集:みんなで考えた 有機農業ってなに? 地力アップ編
自分で作れるパワー液肥/続・タンニン鉄栽培 大盛り上がり/堆肥を手軽にガンガン使う/土づくりで病害虫抑制、新知見/土壌流亡を防ぐ/どうする? 一発肥料のコーティング問題/葉面散布で果樹の花芽肥 ほか。 [本を詳しく見る]

現代農業 2020年10月号 現代農業 2020年1月号

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