地域に根ざす食育活動交流誌

食文化活動タイトル

はじめに・本特集号のご案内

「食」を自立した健康なものに、「人間力」を養う「食育」を
「地域に根ざした食育コンクール2003」のねらいと成果

編集部

■「食育」元年、小学校からの応募が急増

 農林水産省の提唱により、農文協が事務局となって2001年度から開催されてきた「地域に根ざした食生活推進コンクール」は、3年目の2003年度に「地域に根ざした食育コンクール」と名称を変えて、募集を行ないました。

 2003年度は「国民運動」としての「食育」推進元年ともいえる年度です。「国民生活の基礎である『食』を健全なものとし、人間力を養うための重要な柱として、家庭、教育現場、地域等における『食育』を総合的に推進する」として、農水、文科、厚労三省連携で進められており、このコンクールも、全国的に多様な食育活動を推進するための取組みとして実施されたものです。

 募集は4つの分野(食生活改善・教育・食品産業・農林漁業)に分けて行なわれ、全部で286事例の応募がありました。4つの分野のうち、一番応募が多かったのは教育分野(109事例)で、とくに小学校からの応募が50事例と前年(14事例)より大きく増えました。

 審査結果の詳細は、本号の49、50頁に掲載しましたが、最優秀賞(農林水産大臣賞)は、教育分野から香川県綾南町立滝宮小学校、また優秀賞(農林水産省消費・安全局長賞)四事例の一つに広島県福富町立久芳小学校が選ばれました。

■先生も親も手出しをしないこと

 「食育」の重要な対象は子どもたちです。子どもの「食育」に、大人はどうかかわればよいのか。「食について、自ら考え、実践していける能力」を育むにはどうすればよいか。二つの受賞事例は深い示唆を与えてくれています。

 最優秀賞の滝宮小学校の実践は「子どもが作る『弁当の日』」(詳細は本号4頁)。優秀賞の久芳小学校の実践は「給食を作ろう大作戦」(18頁)。

 この二つの事例に共通するのは、「先生も親も手出しをしない」こと。大人は、子どもが自分でやるしかない「場」を設定するだけ。

 どちらも半端でない取組みです。滝宮小の「弁当の日」は月に1回、10月、11月、12月、1月、2月の年5回。

 4月のPTA総会で保護者に伝えます。「弁当は子どもたちが作る。親たちは絶対に手伝わないでください」。対象は家庭科の授業がある5年生と6年生(この学年だけ、当日の給食なし)。子どもたちにとっては、弁当をつくって持っていかないと、お昼に食べるものがありません。基本的なことは家庭科で教え、あとは自分でやらないといけない状況に子どもたちを置くことが、子どもたちを育てます。

 継続は力なり。これまで3年継続したことで、4年生以下の低学年に「覚悟」が生まれます。5年生になると自分で弁当をつくれるようにならないといけない。年1回では、親が手伝ってごまかせても、年5回では恥ずかしくなる。

(後略)


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