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地場産食材活用率日本一! 佐賀県からのレポート学校給食で進む地域の絆づくり▼さが“食と農”絆づくりプロジェクト事務局 佐賀県生産者支援課 熊谷節子さん 「食育推進基本計画」の柱の一つである学校給食への地場産食材の活用。全国で取組みが始まるなかで、佐賀県の取組みが成果をあげている。文部科学省の調査によれば、平成十九年度、県内産食材の活用率が四四・二%に達して全国第一位。その背景には、地域を単位とした食材納入システムの構築があった。行政、納入業者、生産者、学校の四者の視点から、その仕組みづくりを掘り下げた。 「ふるさとの食の日」の実施と
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食材の重量ベースでみた佐賀県の給食での県内産食材活用率は、平成13年には、副食で31.9%、主食と牛乳を加えた全食材で63.4%であったが、平成20年度には副食で49.0%、全食材で75.0%となっている。品目ベースで地場産率を算出した文部科学省の調査では、平成17年度の30.7%から、平成20年度には44.2%となっている。 |
佐賀県は全国有数の農業県。主要な生産物の多くは、大消費地である東京や大阪などに出荷されてきたが、一方で学校給食に必要な多品目の県産野菜の供給は進んでこなかった。
そこで、遠隔地向けの野菜の一部を給食用に振り向けつつ、少量多品目の野菜生産を進めて給食に活用するための仕組みづくりを進めていった。
その仕組みづくりのポイントの一つ目は、学校給食の食材調達にあたって直売所を経由させることである。近年、農協などが各地に農産物直売所を開設してきたことで、少量多品目の「せんじゃ畑(自家菜園のこと)」の野菜も出回るようになった。直売所を経由することで、少量多品目生産がいっそう豊かになる。
二つ目は、地元の納入業者と連携を図ること。佐賀県の給食では、主食と牛乳はすべて県産を使っているほか、これまでに県内産小麦を使ったパン(県内産四割と北海道産六割)を県学校給食会と地元業者が共同で開発、納入してきた実績がある。副食食材や調味料は、地元の業者からなる納入組合を通じて納入されているが、地元納入業者は、生産者や生産物に関する地域の情報を持っているだけでなく、地元産食材が不足したときには市場から調達するノウハウも持つ。そのため納入業者と生産者、学校が連携を図った取組みにするために、話し合いの機会を設け、お互いの立場を理解するシステムづくりも行なわれている。
大切にしているのは、生産者も納入業者も「地域の一員」という視点で、それぞれが学校と築いてきた関係を尊重している。生産者や納入業者も地場産食材活用のためにそれぞれの得意分野を持ち寄ってくれている。
平成十八年度から始まった「絆づくりプロジェクト」の目標は、生産者と消費者の絆づくりである。生産者の営みや思い、地域の食文化などを共有しあえる「顔が見える」関係をつくっていきたい。地場産食材の活用率拡大は、その結果としてついてくるものと考えている。
「食育」の対象は、子どもたちばかりではない。若いお母さんたちに「生きる力」を身につけてもらうことも大切なテーマである。いま、家庭を巻きこむことの重要性がいわれながら、肝心の親の世代への働きかけは空白になってしまっている。それをカバーできるのは地域のコミュニティである。
地域のコミュニティづくりには、学校の栄養士の役割も重要だ。生産現場に出て、地元の農業を知ってほしい。そうすることで、学校で農を取り入れた食育を行ないやすくなる。
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ホームページやメールマガジン「がばい☆きずな」を通して、職員が各地で取材した情報をこまめに発信している。 http://www.kizuna-saga.jp/ |
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栄養士にとって、「旬」はあいまいで分かりにくい。農協などの協力を得て、どの時期にどの野菜が「出回る」のかが分かるようにカレンダーを作成し、「出回りカレンダー」と名づけた。 |
市町や校区を範囲とした地域で、「ふるさと食材の日」や「地場産学校給食週間」を設定するなど、実践も深まりつつある。武雄市では「武雄の食の日」を設定し、市の「食育推進計画」にも実施学校数や県産食材の活用目標を盛り込んでいる。
県下の各団体の取組みも進んでいる。JAさが中央会では、「地場産学校給食」の推進のため、野菜、果物などの副食食材について品目ごとに地場産物活用率の数値目標(重量ベース)を掲げ、平成二十年六月から、県内のJAの担当者が検討会を重ねている。
佐賀県学校給食会でも、県内産農産物を活用した食品開発に力を入れている。これまでに県内産小麦を使ったパンやうどん、みかんを使ったみかんゼリーなどを開発しているほか、現在は、タマネギやレンコンを使ったメニューなどを研究中だ。
平成二十一年三月、県はJAなどの生産者団体、栄養士会、学校給食会、消費者団体、流通団体などをメンバーに「地産地消アクションプラン」を作成した。このアクションプランでは、学校給食にとどまらず、病院や福祉施設、飲食店などで活動の輪を広げ、地産地消を進めることをこれからの課題として掲げている。