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巻頭特集

ナンテン

分類 メギ科ナンテン属
生育地 中間地〜暖地。乾燥して日当たりのいい砂壌土を好む
特徴 常緑または半常緑の低木。11〜2月の赤い実が特徴。葉は防腐材として使える枝物の利用 「難を転ずる」縁起物で、11〜12月に正月向けの実物として売れる。葉が締まって色が美しいものは、生け花用で高い値がつく

赤い実のついたナンテン。屋敷まわりにもよく植えられている(編、以下も)

縁起物として大ヒット

静岡・前川俊雄

毎日、2万5000円以上

 庭にあったナンテンの樹を挿し木で殖やして15年。現在は畑に1000本ほどあります。次に植える予定の苗木も用意していて、毎年約200本ずつ植えるつもりです。

 販売は11〜2月上旬。直売所とスーパーの8店舗に配達します。ここは山間地なので、朝5〜6時に自宅を出て、約2時間かけて店へ行き、9時にまわり終えます。ナンテンは実付きの枝物だけでなく、実が付いていないものも紅葉の枝物で売れます。正月の縁起物として、2枝を束にしてラッピングし250〜280円。これがヒットしました。1日に、11月は50束以上、12〜2月は100束以上、売れ残りなしです。

 目先を変えるために、赤実のナンテンと黄色い花のマンゲツロウバイを組み合わせることもあります。これも縁起物として大人気。お客さんから「珍しい組み合わせ」と声をかけていただきました。

 年の暮れは、真冬で花類が少なく、もうすぐ正月なので、1年で一番ナンテンが売れます。1〜2月も売れるのは、まだまだ正月気分があるからでしょう。

挿し木で殖やせるので、 苗木代はタダ

 挿し木の時期は3〜4月。長さ20pの穂木をつくり、畑で日陰をつくるために背丈くらいの高さに寒冷紗を張った場所に挿します。2〜3カ月は2日に1回水をかけ、根づいたら順次植え付けていきます。

 これで苗木代は0円。ホームセンターなどで買うと1本750円はするので、毎年15万円ほどの経費節減になっています。ただし、挿し木をすると、途中で枯れたりして、約30%ロスが出ます。

 畑は自宅周辺の静岡市葵区諸子沢(海抜約450m)という地区にあり、10年前までは茶園でした。ここはナンテンの実付きがよく、適地です。他に自宅から約50q離れた静岡市清水区の平地(海抜約120m)にも畑がありますが、ナンテンは実付きが悪く、栽培できません。海が近く、冬に暖かい黒潮が流れこんでくるせいだと思いますが、まだよくわかりません。

 また、生育に15〜20日のずれができ、販売期間が長くなればと、苗木をわざと日照量の少ない北向きの畑や木陰に植えてみました。今のところ実色は美しく、よさそうです。

(静岡市)

販売するナンテンを持つ筆者(76歳)。山間地でさまざまな枝物を栽培し、年間を通して直売所やスーパーで売る

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現代農業 2019年11月号
この記事の掲載号
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