「総合的な時間」の総合誌
農文協
食農教育  
農文協食農教育2010年9月号
 

食農教育 No.76 2010年9月号より

旬の魚でうんまい給食

北海道のサケレシピ

北海道・置戸町 学校給食センター

管理栄養士 佐々木十美

DATA

食数…290食
栄養士…1名
調理員…8名
事務職員…1名
自校炊飯

サケに捨てるところなし

 サケが一番おいしいのは秋口ですが、春から夏に向けての時期に獲れることもあり、「時知らず」とも呼ばれます。年中手に入るものにはあまり執着しないほうですが、サケは、「今月はどんな魚を出そうかな?」とつまったときに使うことができ、レシピもたくさん考案しました。

 たとえば石狩汁。家庭でつくるときは、頭も骨も全部使います。でも給食では、せいぜい骨付きの切り身くらいまでしか出せません。ですから石狩汁を給食でつくるときは、頭や骨をただ捨てることはせず、サラシぶくろに入れてだしをとります。

 これは、サケの骨も皮も捨てるところなく利用し、無駄なくきれいに食べる北海道の文化です。「自然の恵みに感謝して、必要な分だけいただく」というアイヌ民族の思いが伝わっているのです。

いろんな種類の魚を食べさせたい

 でも、獲られすぎている魚がいることも事実です。乱獲をして、いなくなったから保護をして養殖したり稚魚を放したり…、人の都合で自然破壊をするのは困ったことです。サケは全国的に食べられていて、年中手に入りますが、魚は場所によって、種類や食べ方もさまざまです。子どもたちには、給食でいろんな種類の魚と食べ方を知ってもらいたいと思っています。

バリエーション広がる魚レシピ

 置戸町の給食で魚を使う頻度は月に三、四回程度ですが、魚の種類や調理方法はそのつどちがいます。どんな魚をどう調理するかは、旬であったり魚屋さんの情報を参考にしています。

 私の魚料理レシピは、さまざまな魚で応用可能なものばかりです。魚の種類を変えたり、野菜を季節に合わせて変えたりすることで、バリエーションが広がります。給食では、焼く・揚げるという調理方法が多いのですが、一緒に使う食材や調味料に変化をつけて工夫をします。

 紹介するレシピも、サケだけでなく他の魚でもおいしくできあがります。ぜひ試してみてください!

漬けて、焼くだけ 簡単レシピ

サケの香草焼き

香草を変えたり、鶏肉やカツ用の豚肉でも応用がききます

材料(1人分)

サケ…70g(1切れ)

A
・塩…1g/オリーブ油…1.5g
・はちみつ…3g/白ワイン…2g
・にんにく(おろす)…1.5g
・ロリエ、ローズマリー、タイム

つくり方

サケをAに漬けて、スチームコンベクションオーブンで280℃15分焼く ※魚焼き器で焼いたり、フライパンで蒸し焼きにしてもOK


タンドリーフィッシュ

タンドリーチキンの魚版です。ピリ辛で、暑い夏でもご飯が進みます

材料(1人分)

サケ…70g(1切れ)

A
・ヨーグルト…20g
・にんにく(おろす)…1g
・しょうが(おろす)…1g
・チリパウダー…0.08g/カレー粉…0.3g
・りんご酢…1g/塩…1g

つくり方

サケをAに30分ほど漬けて、スチームコンベクションオーブンで280℃15分焼く ※魚焼き器やフライパンで焼いてもいい


バリエーションが広がるレシピ

サケと野菜の揚げびたし

野菜は、冬はじゃがいもをさといもにしたり、夏はピーマンを加えたり、季節のものを使ってバリエーションを広げましょう

材料(1人分)

サケ…70g1切れ(塩で下味をつけておく)/片栗粉、小麦粉(1:1混ぜておく)/じゃがいも…25g/なす…25g/揚げ油

たれ
・厚削り(削り節)
・しょうゆ…5g
・塩…0.5g
・みりん…1g
・しょうが(おろす)…0.5g
・にんにく(おろす)…0.5g

つくり方

(1)たれは、厚削りでだしをとり他の材料を加えて煮立たせる
(2)サケは粉をまぶして揚げる。じゃがいも、なすは乱切りにして素揚げする
(3)サケ、じゃがいも、なすを器に盛り、たれをかける


ほうれんそうとサケのクリーム煮

豆乳、卵、粉チーズ、塩、ホワイトペッパーのソースをからめてグラタンにしてもおいしいですよ

材料(1人分)

ほうれんそう…40g/サケ…30g/たまねぎ…50g/しめじ…10g/牛乳…50g/脱脂粉乳5g/小麦粉…5g/クリームチーズ…5g/バター…2g/コンソメ…1g/塩/ホワイトペッパー

つくり方

(1)ほうれんそうは2cm、サケは一口大に切り、さっと湯通しをする。たまねぎは薄切り、しめじは小房にわける
(2)脱脂粉乳、小麦粉、クリームチーズは牛乳とミキサーにかける
(3)バターでたまねぎをよく炒めコンソメを入れてさらに炒める。しめじを加えさっと炒めたら(2)を入れゆっくりと煮る。サケ、ほうれんそうを加え、塩、ホワイトペッパーで味を調える


ひと味ちがう 北海道のサケレシピ

石狩汁

サケの身だけを汁に入れますが、頭や骨をだしとして使い、深みのある味にします

材料(1人分)

サケ…30g/だいこん…30g/にんじん…10g/豆腐…30g/こんにゃく…20g/なると…5g/みそ…12g/だし昆布/厚削り/サケの頭、骨

つくり方

(1)サケは一口大に切り、熱湯をかけ水洗いをする。だいこん、にんじんは短冊切り、豆腐はさいの目切り、こんにゃくは細切りにしてさっと茹でる(糸こんにゃくを使ってもいい)。なるとは小口に切る
(2)だし昆布、厚削り、サケの頭、骨はそれぞれにだしをとる
(3)だしにサケ、だいこん、にんじんを入れてひと煮立ちさせ、豆腐、こんにゃく、なるとを加え具材が煮えたら、溶いたみそを入れる


手づくりだしのための、「だしぶくろ」

 置戸町の給食センターでは、天然の素材を使ってだしをとる。だしをとるときは、サラシでつくった「だしぶくろ」を使う。

 サケの頭や骨からだしをとるのにもこのふくろを使う。ふくろに頭と骨を入れたら、水をはった鍋にふくろを入れて中火でくつくつ。30分ほど煮出せば、サケのおいしいだしが出る。

「だしぶくろ」の組み合わせいろいろ

味噌汁 煮干(いりこ・アジ)厚削り+粉末しいたけ
すまし汁 昆布+厚削り
石狩汁 サケの頭・骨+昆布+厚削り+ポークがら
麺(うどん)の汁 昆布+厚削り+チキンがら+ポークがら
ラーメンスープ チキンがら+ポークがら+煮干+厚削り+野菜(じゃがいも、にんじん、たまねぎ、しょうが、にんにく)※野菜は、ふくろに入れずそのまま鍋に入れる
カレー チキンがら+ポークがら

「田舎の本屋さん」のおすすめ本

この記事の掲載号
食農教育 2010年9月号(No76)

◆子どもあそび、復権!◆旬の魚で、うんまい給食! ほか。 [本を詳しく見る]

田舎の本屋さん 

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