日本生物科学者協会編集 農文協発売
生物 科学
 
バックナンバー
本書のねらい
編集委員
購入申込
定期購読申込
農文協のトップへ
 
生物科学
Volume 54,No.2 2003

Jan.

目次

特集:ゲノムサイエンスをめぐって

片寄裕一:イネゲノムシーケンス解析の現状……65
 ヒトゲノム解析の競争,終了宣言など日常のニュースでもゲノム解析という言葉を目にするようになっている.塩基配列解析技術の進歩により,さまざまな生物種のゲノム解析が進行しており,今後の生物学はゲノム情報を利用したものになっていくと考えられる.我が国を中心に進められているイネゲノム解析に関して,シーケンス技術,国際共同研究,進捗状況について説明する.
キーワード:イネ,ゲノム解析,シーケンス

岩崎昭夫・中尾裕史:アネキシンA5の細胞外機能……71
 アネキシンA5はカルシウム/リン脂質結合蛋白質であるアネキシンファミリーに属し,多様な生理機能をもつことが知られている.ゲノム研究等の成果にもとづくアネキシンファミリーの新命名法,構造,進化を紹介するとともに,最近明らかになってきた細胞伸展促進作用,性腺刺激ホルモン産生促進作用,アポトーシス抑制作用などのアネキシンA5の細胞外機能について概説し,その細胞外分泌機構と作用機序に対して考察を行なった.
キーワード:アネキシンA5,Annexin A5,細胞外機能,細胞伸展,細胞外分泌

●森沢正昭:精子運動を司る細胞内情報伝達機構……81
 精子は細胞膜と細胞骨格を主体とし,鞭毛を用いて運動をする極端に特化した細胞である.また,非常に活発に運動するという視覚化しやすい表現をとる.この2つの特徴から,精子は細胞の機能を担う細胞内情報伝達機構を明らかにする最適なモデル細胞として大いに研究が進められてきた.ここでは,精子の鞭毛運動を司る基本的な機構と精子運動の調節機構,即ち精子が運動を開始したり,活発化したり,卵へと方向を転じたりして効率よく受精に至る『精子の変幻自在な行動』を助ける分子機構について話を進める.さらには,精子運動調節機構が生物の進化の過程での生息環境や生殖の場への適応を反映しているかについて考えてみる.最後に,ほ乳類,特にヒトの精子の運動についての研究とその意義についてふれる.これらの多様で興味深い出来事の今後の解明にはゲノムサイエンスの参画が必要不可欠である.
キーワード:精子運動の多様性,精子走化性,ほ乳類精子,細胞内情報伝達機構,適応・進化

●黒川顕:ゲノム解析の光と影……91
 ゲノム全配列が得られることではじめて解析可能となった「ゲノム解析の光」の部分と,ゲノム解析に潜む「ゲノム解析の影」の部分をそれぞれ紹介する.「光」の部分では,細菌のゲノム全配列のパーフェクトリピート配列の長さの頻度分布解析を紹介する.「影」の部分では,ゲノム配列中の「雑音」について取り上げる.
キーワード:ゲノム,繰り返し配列,バイオインフォマティクス

●徳永幸彦・原田 肇:ゲノム時代の人工生命―プレイグラウンドで遊びましょう―……101
 ゲノム解析のプレイグラウンド用に,ビットマッチング規則を使った単純な人工生命モデルを提出した.規則が単純であるにもかかわらず,不完全複製によるシステム全体としての完全複製機能を確立した.また,外的撹乱に対しても冗長性で対処する性質が見られた.このようなモデルがゲノム解析の手法の再検討,あるいは新しい手法の開発に使われることが望まれる.
キーワード:ゲノム解析 人工生命,完全複製,不完全複製

●高須夫悟:フィールド研究と数理モデル研究……111

●沼田眞さん追悼……119

●書評―
『新・昆虫記』/『虫喰う鳥,鳥喰う虫―生存の自然誌』/『ジュゴンの海と沖縄―基地の島が問い続けるもの―』/『爬虫類の進化』

English_conents

Special feature : Advances in genome science.

Katayose Yuichi:Current status of rice genome sequencing(65)

Iwasaki Akio & Nakao Hiroshi:Extracellular functions of annexin A5(71)

Morisawa Masaaki:Cell signaling for regulation of sperm motility -- story of the male gamet whose motility is initiated at spawning and activated and attracted under the influence of female gamet(81)

Kurokawa Ken:The genome analysis:Light and shadows(91)

Toquenaga Yukihiko & Harada Hajime : Contribution of artificial life to genome sciences(101)

Takasu Fugo:Field and modeling study of avian brood parasitism(111)

Obituary(119)

Book reviews(125)


生物科学のトップへ農文協のトップへ

農文協の定期刊行物
農文協のトップへ
月刊 現代農業
季刊地域
隔月 食農教育
月刊 初等理科教育
月刊 技術教室
隔月 保健室
 
関連サイト
食と農学習のひろば
「総合的な学習の時間」で食農教育をすすめる先生がたを支援するサイト。教材づくりに役立つデータベースや書籍やリンクを紹介。
ルーラル電子図書館
有料・会員制の電子図書館。食・健康・農業・環境などの情報を検索・表示。
田舎の本屋さん
有料・会員制のインターネット本屋。本探しからお届けまで。会員は送料無料。

ページのトップへ


お問い合わせは rural@mail.ruralnet.or.jp まで
事務局:社団法人 農山漁村文化協会
〒107-8668 東京都港区赤坂7-6-1

2002 Rural Culture Association (c)
All Rights Reserved