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生物科学
Volume.68,No.4 2017

May.

目次

特集:植物RNA代謝制御研究の最前線:植物の在り方をRNAから読み解く

巻頭言:ニワトリ、セキショクヤケイ、それらをつなぐ在来家禽(川原玲香)……193

大谷美沙都:植物RNA代謝制御研究の最前線:植物の在り方をRNAから読み解く……194

渡邊雄一郎:陸上植物を小分子RNAとRNAサイレンシング機能からみたとき……196
 大地に芽生えた植物は、その場で環境の変化に耐えるなかで発生、成長する。その間、人目につかないところでウイルスおよび、細菌、糸状菌、昆虫などの外来生物からの侵略や、内在性のトランスポゾンの転移にも耐えている。こうしたさまざまな局面で機能する遺伝子発現の調節に、小分子RNAが合成されて関わっていることが明らかとなってきた。ゲノムのヘテロクロマチン化にも関与する小分子RNAも知られてきた。まず本稿があつかう小分子RNAについて、シロイヌナズナを基盤に明らかにされた知見の概要を紹介する。さらに陸上植物の基部に位置するゼニゴケでこの数年行ってきた小分子RNAに関する研究で、陸上植物共通にいくつか見えてきた知見をあわせて紹介したい。
キーワード:小分子RNA、RNAサイレンシング、遺伝子発現調節、陸上植物の進化

杉直也・川又奨・柴博史:Non-coding RNAを介した植物エピゲノム制御……206
 エピゲノムは、DNAメチル化やヒストン修飾などさまざまなゲノムの修飾状態の総称である。近年、さまざまな生物でノンコーディングRNA(non-coding RNA, ncRNA)がエピゲノム制御に関与していることが明らかとなってきている。本稿では、植物におけるncRNA によるDNAメチル化やヒストン修飾を伴うエピジェネティックな遺伝子発現制御に関する最近の知見を解説するとともに、植物におけるエピゲノムを介した生命現象の実態を紹介する。またncRNAを介したエピゲノム制御の実例として雑種強勢における遺伝子発現制御機構と自家不和合性で見られる対立遺伝子(アレル)間の優劣性現象について紹介する。
キーワード:DNAメチル化、ヒストン修飾、エピゲノム、転写抑制(Transcriptional Gene Silencing : TGS)、RNA-directed DNA methylation(RdDM)

鈴木悠也・南雲亜希子・荒江星拓・千葉由佳子:mRNA分解制御から植物の環境ストレス応答を考える……215
 生物にとって環境の変化に対する応答機構は、その生存を維持するために重要である。あらゆる生物が環境に適応するための機構をもっているといってよいが、なかでも植物は根をおろした場所から移動することができないことから、独自の環境適応機構をもつと考えられている。この総説では、モデル植物であるシロイヌナズナにおける研究を中心に、植物のもつ環境適応機構のうちmRNA分解などの転写後制御による遺伝子発現調節およびmRNA分解のメカニズムについて概説する。
キーワード:mRNA 分解制御、環境ストレス、シロイヌナズナ

平山隆志:植物オルガネラRNAのポリA制御機構……223
 オルガネラゲノム由来のmRNAの転写後調節機構の理解は、RNA編集をはじめめざましく進展したものの、不明の点も多い。筆者らは、シロイヌナズナのポリA特異的RNA分解酵素の解析から、陸上植物特有のミトコンドリアmRNAのポリA制御機構の一端を明らかにした。本稿では、オルガネラmRNAのポリA制御機構に関する知見を概説するとともに、植物特有のミトコンドリアmRNA制御機構を解説し、植物が独自の調節機構を持つ理由について考察する。
キーワード:共生性オルガネラ、mRNA安定性、ポリA制御

堀口吾朗:リボソームの生合成と植物の発生……232
 近年、リボソームの生合成と品質管理の仕組みが、出芽酵母を中心に明らかになってきた。一方、シロイヌナズナでもリボソーム関連の変異株が多数単離され、それらのさまざまな発生異常が報告されている。リボソームをめぐるさまざまな知見が蓄積していくことで、未知の発生制御機構の理解が進むと期待される。本稿ではリボソーム生合成と植物の発生異常の知見を照らし合わせ、今後の研究の方向性を探りたい。
キーワード:リボソーム、生合成、品質管理、発生、シロイヌナズナ

大谷美沙都:植物の器官再生におけるRNA代謝制御の役割……240
 植物は高い器官再生能力を備えていることが古くから知られており、傷害や植物ホルモンが重要な再生誘導因子であることも長く研究されてきた。近年、シロイヌナズナを中心とした分子遺伝学的研究によって、植物再生に関わる遺伝子が多く同定され、その分子機構の理解が進んでいる。本稿では、植物器官再生の分子機構の最新の知見を概説しながら、器官再生におけるRNA代謝制御機構の役割について論じたい。
キーワード:植物器官再生、脱分化、分裂組織新形成、pre-mRNAスプライシング、リボゾーム生合成

河野和男:門外漢がひも解く伊藤嘉昭さんのキャリアと人となり……250

書評―『ヒトはなぜ協力するのか』『ホルモンから見た生命現象と進化シリーズIII 成長・成熟・性決定』『自然を楽しむ 見る・描く・伝える』『自然がほほえむとき』


English_conents

Kawahara-Miki Ryouka : Chicken, native chicken, and wild junglefowl (193)
Special feature : Front lines of studies on plant RNA metabolic regulation : toward to understand how plants live from the viewpoints of RNA
 Ohtani Misato :Introduction (194)
 Watanabe Yuichiro : How do land plants look like from the viewpoint of small RNA and RNA silencing machineries? (196)
 Sugi Naoya, Kawamata Tasuku, Shiba Hiroshi : Plant epigenetic regulation via non-coding RNA (206)
 Suzuki Yuya, Nagumo Akiko, Arae Toshihiro, Chiba Yukako : Impact of mRNA turnover on environmental stress responses in plants (215)
 Hirayama Takashi : Regulation of poly(A)status of plant organellar RNA (223)
 Horiguchi Gorou : Ribosome biogenesis and plant development (232)
 Ohtani Misato : Roles for RNA metabolic regulation in plant organogenesis in vitro (240)
Kawano Kazuo : The career and personality of Prof. Yoshiaki Ito viewed from an outsider (250)
Book review (252)


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