現代農業 特別号
 
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2009年1月別冊 購入する

農家が教える 発酵食の知恵 漬け物、なれずし、どぶろく、ワイン、酢、甘酒、ヨーグルト、チーズ

B5版 196ページ 定価1200円

発酵食品は、食料を長期に保存するためにつくりだされた、先人たちの生きるための知恵の結晶である。漬け物、味噌、醤油、納豆、鮨、酒、ワイン、焼酎、酢、ヨーグルト、チーズなど、その幅の広さははかりしれない。

はじめに目次編集後記

別冊現代農業2009年1月号

はじめに

 発酵食品は、食料を長期に保存するためにつくりだされた、先人たちの生きるための知恵の結晶である。漬け物、味噌、醤油、納豆、鮨、酒、ワイン、焼酎、酢、ヨーグルト、チーズなど、その幅の広さははかりしれない。その技は保存のためだけでなく、乳酸菌や酵母など微生物の働きを利用して酸味やアルコール、うま味などを醸成し、食べ物を美味しくもした。

 発酵食品の製造には、きわめて高度の知識と経験を要する。そのため、製造方法は、世代から世代へと長い時をかけて伝承されてきた。かつては多くの発酵食品が家庭でつくられていたが、現在は一般の家庭でつくられることはまれで、ほとんどが、食品企業の工場で製造されている。しかし、続発する食品企業の事故や偽装をみると、激しい価格競争、利潤競争に邁進するあまり、食べ物の生産者としての倫理が後回しになっているようだ。食品企業への信頼が大きく揺らいでしまった現代では、自分や家族が食べる食品を自分でつくりたいと思うのはごく自然なことであろう。

 「食べるための知恵と技術」を多くの人々が見直し、実践することで、少しでも製造者の信義と消費者の信頼が回復し、良質で安全な食品が適正な価格で提供されることにつながっていくのではないか。そのような願いを込めて、本書を発行します。

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 農家が教える 発酵食の知恵

発酵の世界は,漬け物,なれ寿司,さらにはどぶろく,ワイン,甘酒などの飲料,話題のヨーグルト,チーズなど,食べ物の保存・貯蔵の技であるとともに,うま味や栄養価をさらに高めていく奥深さを持っている。食の安全性が脅かされ,ほんとうに安全で安心できる食は,地域を見直し,食に対する自らの知恵と工夫なしにはあり得ない。本誌では,農家が暮らしのなかで築き上げた発酵食つくりの技と最新の研究成果をもとに,野菜,果実,穀物,乳を材料にした発酵食の世界お届けします。 [本を詳しく見る]

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目次

別冊現代農業2009年1月号

農家が教える 発酵食の知恵

カラー口絵

発酵食の豊かな世界 …… 1

秋田―発酵文化の息づく国 『聞き書 秋田の食事』より 撮影・千葉寛 …… 2
なすずし/あけびずし/こはぜずし/大根の漬物3種/けいとまま/漬物小屋/山菜ときのこの塩蔵もの/炒り
大豆入りかぶ漬/えびの塩辛/なめ味噌のいろいろ

果実酢で健康 果実酢のつくり方 撮影・赤松富仁 …… 4

たくあんの漬けこみ 『聞き書 石川の食事』より 撮影・千葉寛 …… 6

すぐき漬 『聞き書 京都の食事』より 撮影・千葉寛 …… 8

鮒ずしをつくる 『聞き書 滋賀の食事』より 撮影・岩下守/小倉隆人 …… 10

あゆのくされずし 『聞き書 栃木の食事』より 撮影・千葉寛 …… 12

麹菌 文と写真・山下秀幸 …… 14

台所でチーズづくり 北海道・高橋昭夫さん …… 16

前文 …… 17

目次 …… 18

Part1 酵母発酵 たくあん・味噌かす漬・ぬか漬など23

【図解】ツワブキの粕漬け 宮崎県・川崎ユリ子 え・近藤泉 …… 24

【図解】ゴーヤー(ニガウリ)の味噌漬け 大分県・阿南具子 え・近藤泉 …… 26

【図解】ダイコンの熟し柿漬け 千葉県・露崎春枝 え・近藤泉 …… 28

【図解】おからのたくあん漬 青森県・山田フジエ/紹介・上田節子 え・竹田京一 …… 30

【図解】タカナのみそ漬け 宮崎県・宮崎トミ え・近藤泉 …… 32

【図解】山菜のドブロクもろみ漬け 山形県・藤原静代 え・近藤泉 …… 34

減塩・おいしい・長持ちの味噌粕漬け たくあん 高森勍 …… 36

プロの手ほどき ぬか漬 ぬか床のつくり方 針塚藤重 …… 43

【図解】わが家の特製たくあん漬け床 共同執筆 …… 46
山本スミエ/山井英世/宮下毬子/梶原マツ子/重永砂子/関 ナカ/浜本通恵

【図解】飲みたいときに飲みたいだけつくる、速醸づくりを楽しむ
新潟県・片桐武夫さん えと文・貝原浩 …… 50

【図解】自然の恵みを寿ぐ米屋さんの濁酒 奈良県・本山敏さん えと文・貝原浩 …… 52

【図解】こだわり続けよう ドブロク発酵は農の最前線だ
宮城県・亀尾俊晴さん えと文・貝原浩 …… 54

【図解】すやし酛ドブロク 高知二郎 …… 56

〈かこみ〉野生酵母の培養法 編集部 …… 59

焼きおにぎりで酛づくり 宮城三郎 …… 60

生酛─伝統的な酵母の培養法 編集部 …… 60

ジュース加工のおまけの楽しみヤマブドウワイン 山形四郎 …… 62

日本列島の発酵食 『日本の食生活全集』より 撮影・千葉寛/小倉隆人 …… 64
〈秋田県〉しょっつる/すしはたはた 〈山形県〉いかの塩辛/すし 〈栃木県〉くされずし 〈東京都〉くさや 〈石川県〉かぶらずし/ひねずし 〈福井県〉若狭のなれずし〈滋賀県〉ふなずし/さばのなれずし/にしんのこうじ漬 〈京都府〉すぐき漬/へしこ 〈高知県〉碁石茶

Part2 乳酸発酵 キムチ・ヨーグルトづくりなど

【図解】キムチ 秋田県・松井マサ子 え・近藤泉 …… 78

【図解】なすのからしづけ 岡山県・備南生活改善グループ/紹介・宗高美帆 え・竹田京一 …… 80

【図解】ゴーヤーのあっさり漬け 群馬県・武藤文子 え・近藤泉 …… 82

【図解】雪菜のふすべ漬け 山形県・吉田長子 え・近藤泉 …… 84

乳酸菌スターターによる本格キムチづくり 細谷幸男 …… 86

乳酸発酵漬物 橋本俊郎 …… 90

乳酸菌スターター利用の発酵漬物 橋本俊郎 …… 93

発酵漬物に向く野菜品種 針塚藤重 …… 96

自家採種で挑戦 タカナ・カラシナの通年浅漬け 熊本県・西恒美さん …… 98

【図解】〈牛乳〉一晩で固体に変化・ヨーグルト 鈴木俊宏 …… 102

独自性のあるヨーグルト開発のための乳酸菌の選択 告田幸子 …… 104

【図解】簡単手作りヨーグルト トミタ・イチロー …… 107

漬物石は小石がいい/誰でもできるヨーグルト作り …… 108

Part3 酢酸発酵 柿酢・穀物酢など …… 109

秋の果物で酢をつくる 寺田信夫 …… 110

柿酢 柿の実を丸ごと発酵、熟成 小池芳子/本田耕士 …… 117

私の人生柿サマサマ 丸ごと柿酢生活 久留飛富士恵 …… 122

穀物酢―福山黒酢 水元弘二 …… 124

コンニャク菌でつくる「ナタデカキ」 神津公 …… 128

酢酸発酵について 本田進一郎 …… 130

酢酸菌 柳田藤治 …… 132

あっちの話 こっちの話
おいしくて長持ち! 漬け物の塩抜きはオカラで/
柿と白菜が合う! 柿を使った白菜の漬け物 …… 136

Part4 麹づくり 黒麹利用・甘酒など …… 137

【図解】ナスの麹漬 山形県・池田姚子 え・竹田京一 …… 138

【図解】ナスのふかし漬け 秋田県・富樫厚子 え・近藤泉 …… 140

【図解】キャベツのニシン漬け 北海道・政田トキ え・近藤泉 …… 142

【図解】うらなりカボチャのこうじ漬 岩手県・斉藤フジ子 え・近藤泉 …… 144

健康食 甘酒をつくる 石野十郎 …… 146

黒米、ソバ、大麦…なんでも麹に 千葉県・岡部弘安さん 山浦信次 …… 148

白菜の麹漬 針塚藤重 …… 151

黒麹でクエン酸酢をつくる 永田勝也 …… 156

小型発酵器で米麹づくり 小清水正美 …… 159

麹づくりの原理と加工方法 山下秀行 …… 164

Part5 チーズ 手軽なチーズづくりから本格派まで173

台所でお手軽「ザルチーズ」 北海道・高橋昭夫さん 編集部 …… 174

酪農家のためのチーズ作り指南 河口理 …… 178

チーズの素材 河口理 …… 184

【図解】レモン汁で固めるカッテージチーズ 鈴木俊宏 …… 187

〈付録〉菌株の入手先 …… 188

〈付録〉中古冷蔵庫を利用した麹発酵器の例 福島県・角田利夫さん …… 189

〈付録〉発酵のための恒温槽のつくり方 土合靖 …… 190

編集後記 …… 192


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編集後記

◆酒造りの歴史は古い。紀元前七千年ごろの中国の遺跡から、果実や穀物を醸造した痕跡が出土しており、紀元前五千四百年ころのイランの遺跡からも、ワインづくりの跡が見つかっている。日本では、紀元前三千年の三内丸山遺跡から、大量の果実の種が出土しており、醸造酒を造っていたのではないかと考えられている。ヒトが意図して醸造を始めたのは、一万年以上前のことであろう。

 また、羊が家畜化されたのは紀元前八千年以前とされ、ヨーグルトやチーズづくりも、その時期に始まったと考えられている。

 技術的にもっとも高度な発酵食品は、カビを利用したものであるが、穀物に生えるカビは有毒のものが多い。そこで、カビの中から無毒のチーズカビや麹カビを選抜育成して、チーズや麹に利用するようになった。チーズと味噌は、製造方法がとてもよく似ている。もともとは乳の保存法であるチーズづくりから、大豆を利用した味噌や豆腐が生まれたと思われる。

 一万年以上におよぶ、発酵食品の歴史は、ヒトの食文化と発酵微生物群が、「共進化」した歴史といえるのではないだろうか。(本田進一郎)

◆「発酵」と「腐敗」の違いは、ヒトにとって役立つものができるかどうかであって、そのメカニズムに変わりはない。食べ物に微生物を利用する技には、毒がなくてより美味しいものができるようにと、役立つ微生物さがしの膨大な時間がこめられていることだろう。本書に登場しているたくさんの発酵食に出会って、その地域地域の食材を発酵させることで、保存するだけでなくより美味しく生まれ変わらせる、暮らしの知恵のすごさを感じた。

 土づくりと呼ばれる世界のことを思った。土づくりでは、土塊の隙間やその内部に、その場の条件に順応しながら好気的な微生物や嫌気的な微生物たちが棲分けている。土に施された有機物は、分解しやすい部分から微生物の分解を受けて、さまざまに変化していく。性質の異なる多くの微生物が複合的かつ連続的にかかわる複雑な世界で、すべてを科学的に説明し尽くすのはむずかしいらしい。

 堆肥づくり、土づくり、そして発酵食、複雑な世界を日々の暮らしのなかで管理している「農家の知恵」に脱帽。本シリーズ『農家が教える 加工・保存・貯蔵の知恵』と合わせてご活用ください。(西森信博)

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