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黒炭岩手一号窯製炭法

2.築窯の順序
  (6)点火室の構造 (7)排煙口及び排煙口の構造


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2 築窯の順序

  (6) 点火室の構造

点火室は、炭材の立て込みや焼き上がった木炭を出したりするための出入り口を兼ねている。
点火室の床面は炭窯の前方に緩く傾斜するように作られる

これは、炭化末期における灰化防止と炭材の立て込みや木炭の排出などの作業を容易にするために、点火室床面に緩傾斜を擦り付けるのである。

  1. 点火室の奥行きは2尺(60cm)とし、窯奥に向かって緩傾斜を擦り付ける。

  2. 窯口前方の点火室の高さは2尺(60cm)内外とする。奥に行く程高く作る。

  3. 点火室の最奥の高さは、炭材の高さ(2尺5寸、75cm)より2〜3寸(6cm〜9cm)高く作る。

  4. 点火室の口幅は1尺4寸〜1尺8寸(42cm〜52cm)とする。また、奥幅は口幅より広く、2尺(60cm)とする。
      また、点火室の高さ・幅ともに、口部(入り口)と最奥部に変化を付けずに、2尺角(60cm正角)にしてもかまわない。

  5. 点火室の天井を造るには、点火室の前後に鳥居形を立て、鳥居の上に割木または丸太を窯に向かって縦に並べ、その上に枝条材などで凹凸を均し、点火室と天井とを釣り合いよく造る。

  (7) 排煙口及び排煙口の構造

排煙口は、台石を直立するように置き、その上に掛石を乗せる。その際、掛石の下面が窯底の面と同一水平面となるように、台石と掛石を設置する。
その上に、粘土、小石または小板を交互に巻き上げるように積み重ねて煙道を造る。

煙道の高さは、窯壁の高さに窯の奥行きの1割の長さを加算した高さを標準とする。

用石または小石の使い方
  1. 用石の場合は、尖っている方を煙道内部に向けて煙道の高さまで積み上げる。

  2. 小石の尖った部分が煙道の内面に出ないように粘土で包み込み、丁寧に仕上げる。

  3. 小板を用いる場合は、煙道の両側に小板を打ち込んで骨組みとし、小板が煙道の内面に出ないように粘土で包み込み、丁寧に仕上げる。

  4. 排煙口台石の高さは炭材の長さの1割高とするのが一般的であるが、煙道口で焚き火をし、煙道口からの煙の引きの強さを見ながら、適宜調整する。

  5. 排煙口の横幅は、炭窯の奥行きの1割とする。

  6. 掛石は、厚さ3寸(9cm)、高さ5寸(15cm)のものが適当である。

  7. 煙道口と窯壁の間の距離は1尺とする。

  8. 吹き付けと煙道口掛石との間は排煙口掛石の厚さの2倍とする。
    掛石の厚さ3寸(9cm)の場合は、6寸(18cm)となる。

  9. 煙道の勾配は、吹き付けの下部より煙道口に糸を張り(垂直に糸を垂らす)、吹き付けより1尺2寸(36cm)の高さの位置で3寸(9cm)の勾配を標準として、傾斜させて造る。

  10. 煙道の直径は底面より1尺2寸(36cm)の高さの位置で、排煙口の横幅の寸法(炭窯の奥いきの長さの1割)に窯の大小に係わらず3寸(9cm)加えた広さの直径とする。

  11. また、吹き付けの底面より2尺4寸(72cm)の高さの位置で排煙口の横幅の3割引きの寸法に煙道の直径を狭める。

  12. また、吹き付けの底面より2尺4寸(72cm)の高さの位置から煙道口かけて、煙道の直径を絞り込んでいくが、煙道口の直径の大きさは大円形のの直径(炭窯の奥いきの7割5分)の20分の1とする。

     このようにして煙道が完成したら、煙道口付近で焚き火をし、煙道口、窯底、窯壁の乾燥を図る。

     煙道口、窯底、窯壁の乾燥が終わったら、炭材を立て込む。
    炭材の立て込む際には、窯壁に接する部分が動かないように注意することが肝要です。
      

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